林鉄シリーズ
魚梁瀬の野村組製DL


魚梁瀬(やなせ)は高知県東部にかつて存在した森林鉄道で、田野・奈半利の両貯木場を目指して安田川線・奈半利線をメインに総延長250kmにも及ぶ国内屈指の路線網を有していました。
 そこで使われていた機関車は戦前にはシェイが余りにも有名。青森営林局から移管されたものの、あまり役に立たなかったようで、じきにポーターがその主力となっています。戦後になると内燃機関車が使われるようになり、木曽のようにホイットコムが当初は使われ、若干ながら酒井や加藤も使われましたが、最大勢力となったのは地元高知の車輌メーカー「野村組工作所」の機関車たちでした。
 そもそも野村組とは高知県交通の前身で土佐の交通王・野村茂久馬が高知工作所を大正10年に買収したことに始まる会社。買収の翌々年に野村組を設立して、鉄工部門も設けたのが始まり。その後、高知鉄道へ2軸気動車を納入したのを皮切りに、鉄道車両部門を拡充するために「野村組工作所」として独立させました。
 海運関連の事業も行っていたことから、そのノウハウを投入して、機能のみならず多彩なデザインを盛り込んだ車輌は好評で、各営林署では歓迎されていたようです。しかし、昭和31年に解散。現在では土佐造船(現・新高知重工)がその血統を継承しています。





製品の構成はいつもの当社流。美しくエッチング加工されたプレス部品を中心に、細密なロストワックス部品で味付けをしていく、そんな流儀がこのシリーズでも受け継がれています。
 前後に張り出したステップを入れても46mm、エンドビーム部分ですと僅か36mmという小型さ。キャブ幅は16mmです。この小さな車体にその魅力を最大限に再現するべく、様々な工夫を盛り込みました。
 製品では大同小異のプロトタイプの中から、一般的なスタイルを抽出しましたが、キャブ後部の燃料タンクカバーは2種類作り分けられるようになっています。

塗装色に関しては知識のある方にお伺いしたところ、高知営林局のDLは基本的に濃いオレンジ色に塗られていたそうです。国鉄色で例えるならば、中央線モハ101系やキハ40系のような色が近いでしょうか?窓枠は生地の色合いを残したニス色、前後のステップは木地色だったそうです。
 ただ、これには例外があって、上回りが水色(白に少し空色が入っている程度)、下回りがマルーン色(上松運輸営林署のC4のような)というのや(恐らくこの色の塗り分けは、漁船などによくある上回りと喫水線下の鉛丹色に近いかそのものではないかと思います。土佐のカツオ漁船がこのような塗色だったのでしょう)、上回りがシルバーグレーに塗られていたものもあったようで、これも漁船か旧日本陸軍の戦闘機色を流用しているものと思われます。地方色が感じられる面白い色ではないですか。

塗装済完成品を御希望の場合は、オレンジ一色、ブルー+マルーン、シルバー+マルーンの3通りの中からお選び頂けます。
 また、キャブ前の砂箱は、装着されていない時代もあったようですので、塗装済完成品ではAかBかのタイプ指定や塗装色指定の他に、砂箱を装着するかしないかも予めご指定を頂きます。



この製品は御予約完売になりました。



製品では形態を重視するために朝顔カプラー用ピン・長いリンクが付属していますが、他社製品と連結させるためにはその車輌に別売の「朝顔カプラー(木曽用)」と「朝顔カプラー用ピン」を取り付ける必要があります。その場合には製品と一緒に御予約ください。

また、DCC化される方は超小型デコーダーのLenz Silver Miniが入荷していますので、併せてご用命ください。

朝顔カプラー(木曽用)\480(2個入)  朝顔カプラー用ピン\450(10本入)  Silver Mini\4200





ロストワックスの試作品が出来上がってきました。左上から順に、ラジエター・砂箱・ドアー・後部ライト・後部窓枠・エンドビーム・左右台枠・軸箱・動輪押さえ板です。これらの部品も本生産に入っていますので、出来上がりが楽しみです。



「魚梁瀬の野村組製DL」キット組立講座