キット組立講座

助六の酒井製5tDL[*No.131&No.132



「助六の酒井製5tDL」はヴァージョンアップの度に新車種を加えてきましたが、今回は敢えて「131号機と132号機のY」の再生産としながら、今まで正式な発売のなかった全開ボンネットを加えた点にあります。
 全開ボンネットというのはとても魅力のあるスタイルで、エンジンのみならず砂箱までも丸見え。パッと見た時に黒い部分が多いので、とても新鮮な印象を与えます。
 しかもその砂箱やブレーキシリンダーはロストワックスで細密に出来上がっているものですから、皆さんもコレクションに加えたくなるのではないでしょうか?
 基本的に「助六の酒井製5tDLX」と共通設計になっておりますのでこちらも併せて御参照下さい。
 なお、ここでの説明は131号機の全開タイプとなっていますが、132号機との違いはタイフォンの形や排気管の位置ですので、混乱なさることはないと思います。
 そんな魅力あふれる「助六の酒井製5tDL[」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.ボンネットにラジエターを半田付けしますが、慎重に直角になるように半田付けしましょう。全開ボンネットの場合は枠をボンネットに半田付けしますが、2種類ある内の写真の方は使わずにもう一方の方のみを使います。これをボンネットの継ぎ目の部分にシッカリと半田付けします。

 


2.その後でエアークリーナーカバー・給油口・砂箱蓋・排気管・テスリ等の細かい部品をボンネットに半田付けしていきます。砂箱蓋・排気管・テスリの内側に出た部分はカットしておきましょう。



3.次はキャブの組み立てです。最初に前妻板や後妻板を側板に半田付けしておき、その後で細かい部品を半田付けしていきます。タイフォンは根元の部分を少しヤスってヒサシを避けるようにしてから半田付けをします。
 後ろの窓枠は工程上ピッタリの角穴を開けるのは困難なので、敢えて穴は小さくなっています。窓枠の裏側の凸部分が入るように少しヤスって広げて下さい。後部ガラス窓枠はランナーから切り落として、現物合わせで丁寧に仕上げながら窓枠のロストの溝に入るようにして、瞬間接着剤で止めます。

 


4.ドアーはまず短い方の縁板を上下に半田付けしてから側面をツライチに仕上げ、それから左右の長い縁板を半田付けします。最後にハンドルを半田付けしてから裏側をツライチに仕上げておきます。
 このドアーを側板の下面合わせでサッと半田付けをします。キャブ側板の裾部分の階段状になった部分だけでの半田付けでOKでしょう。



5.出来上がったキャブをボンネットと合わせて半田付けします。
 キャブ前妻板にはボンネット枠を半田付けして、キャブの裾から出た部分はツライチに仕上げておきます。
 また、ボンネット中央の枠も同じ長さでカットしておき、ボンネット裏の部分もカットしておきましょう。

 


第2回
1.下まわりは主台枠の組み立てからです。ロストワックスとりわけロスト同士を半田付けする際は、半田を流す部分をキサゲブラシなどでよく磨いておき、ステンレス用フラックスを水で薄めたものを使用すると良いでしょう。
 主台枠をエンドビームと組み合わせてL字にします。落ち着いて直角になるように半田を流しましょう。更にこれを組み合わせて箱状にしますが、四方から透かし見て歪みがないように留意しましょう。エンドビーム上に付いている「エンジン始動用クランク受」は後部には必要ありませんので、台形になっている所から上はカットして仕上げておきます。



2.そして前後の床板を半田付けします。幅方向はロストの縮み具合によって一定ではないので、現物合わせでヤスッてピッタリと合うように仕上げておきます。
 また、床板のコーナー部分は僅かにヤスっておくと台枠にピッタリと合うでしょう。
 これにエアーホースを付けますが、裏側に出っ張った部分はカットして仕上げておきましょう。



3.ドアーレールを半田付けしてから、全閉以外のタイプにはコンプレッサーを、全開にはブレーキシリンダーも半田付けします。
 ブレーキシリンダーは写真のような位置ですが、これはギヤーフレームと合わせた時に集電ブラシと干渉するのでミスでした。皆さんは申し少し2mmほど後退させて半田付けした方が良いでしょう。もしもギヤーフレームと組み合わせた時に干渉するようでしたら、写真のように若干裏側を削る必要があります。

 


4.この段階で上下を組み合わせてみて1.4mmビスで止めてみます。キャブの後部は浮きませんか?もしも浮いてるようでしたら、ラジエターの後ろ側のネジ穴がある板を僅かに上に向けてみましょう。
 この写真を見ると分かるように、あまり勢いよく前の窓を開けると給油口と干渉しますので、開ける場合はもう少し閉じ気味にしておいた方が良いでしょう。



5.エンジンは排気管などに歪みがあれば修正しておき、写真で赤く塗った部分を平らにヤスります。また、排気管は1mmカットしておき、後部ステイは写真のような具合に曲げておきます。

 


6.ギヤーフレームの組み立てです。まず片側のギヤーフレームに角型スペーサーを2個垂直に半田付けします。次にもう一方のギヤーフレームを半田付けして箱状にして、更に上方にスペーサー板を半田付けします。ここで一番大切な点は、歪みなく組み立てるということです。スペーサー板は水平になっていますか?いま一度確認をしておきましょう。



第3回
1.塗装に掛かります。塗装する総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、上まわり全体・台枠・ギヤーフレームをMWC-02 ブラックで塗ります。132号機の屋根、ラジエター(うっかりマスキングするのを忘れました)、排気管、全開の場合はキャブ前妻板の枠の内側など黒を活かす部分はマスキングしてMWC-01 グリーンを塗ります。

 


2.ヘッドライトケース・タイフォン・Hゴム窓を黒のプラカラーで塗り、ヘッドライトケースの内側を銀に塗ってからリムとレンズを接着します。
 別売のアルプスモデル製インレタ(木曽B)の中から当該番号を転写しておきます。



3.全開の場合はエンジンと砂箱をボンネットに接着しますが、これにはコツが要ります。どちらが先ということではなくて、一緒に組み込みます。
 これは塗装前に予行演習をしておき、砂箱の排砂管を曲げておいた方が良いでしょうが、エンジンの後部ステイの上に排砂管が乗る位置関係となります。また、後方の排砂管は出来るだけ垂直に下ろして、キャブの裾から2mmぐらいでカットしておきます。
 エポキシ系接着剤で止める部分は砂箱の上と、エンジンの前方のラジエター後部の板に乗る部分だけです。
 重要なことはエンジンや砂箱が傾かないようにすること。写真のように台枠とネジ止めして組み合わせた状態で接着剤の硬化を待つと良いでしょう。

 




4.この部分は半開に関してです。
 ボンネットのウエイトは一部を写真のようにカッターで落としておき、黒く塗ったものを接着します。このウエイトは完成後、砂箱のように見えるハズです。
 エンジンはラジエター後部の板にエポキシ系接着剤で止めますが、写真のように妻楊枝を使うと保持しやすいでしょう。エンジンが傾かないように注意しましょう。
 全閉の場合はウェイトを2個接着します。
 




5.ギヤーフレームは黒く塗り、動輪の軸箱が入るU字型の部分はカッターで塗料を剥がしておきます。大きなアイドラーギヤーをプラ製アイドラー軸で止めますが、間に細かい部品が入りますので、なくさないように注意しましょう。集電ブラシ両端のポチっと出た部分は外側を向いていますか?Eリングで止めてみてギヤーの回転が固い場合には、ギヤーフレームが少し歪んで組み立ててしまった証拠ですので、大きなアイドラーギヤーの側面をカッターで少しケズって対処しましょう。ヤスリですと摩擦熱でギヤーにバリが出てしまうので、ヤスリで削ってはダメです。小さなアイドラーギヤーには金属製のアイドラー軸を使います。
 動輪は2種類あり、ギヤーが厚い方が可動軸動輪です。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、可動軸の方は前側になるように、しかも軸箱の向きに注意しましょう。ちゃんと動輪は上下方向に可動しますか?そうでなければ軸箱を回転させて、前後方向ではなく上下方向に可動するようにセットしましょう。集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めますが、小さいアイドラーギヤーのEリングは開口部が下側になるようにしましょう。

 


6.配線コードは約6cmの長さになっていますので、これを2.7cmと3.3cmにカットして、モーターのラグ板に半田付けしますが、短い方が+側になります。モーター軸にはウォームギヤーを瞬間接着剤で止めた軸アダプターを瞬間接着剤で止めますが、モーターの軸受に接着剤が流れ込まないように充分注意しましょう。モーター軸への差し込み具合は、写真のように軸端とウォームギヤーの端が合う位置まで差し込みます。なお、この際の瞬間接着剤は「ゼリー状」のものを使うと、僅かですが「瞬間」ではなくなるので作業しやすいでしょう。



7.集電ブラシにコードを素早く半田付けしてから(モーターは+端子を左側にセットしておきます)、ギヤーボックス&モーターと台枠を組み合わせます。



8.モーターと台枠の間には黒く塗っておいたスペーサーを挟んで、ギヤーの噛み合わせを調整しながら1.4x4mm小頭ビスで止めます。前の長穴はできるだけズレないようにしましょう。
 このあと窓ガラスをプラ板などで切り出して貼り、最後にレンズにプラカラーのクリヤーを差して画竜点睛としますが、乾くと若干縮みますので、乾かしては塗りを3回ほどやると、まさに生きたレンズになります。
 上まわりとは台枠用ウエイトを挟んで1.4x5mm大頭ビスで止めて出来上がりです。













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