木曽の危険物専用車 木曽森林鉄道には木製運材台車や旧型の台枠を利用した車両が存在しましたが、この車両も黒に白帯という異彩を放っていました。 しかも「危険物専用車」と赤く書かれたレタリングは遠目で見てもそれと分かるもので、以前から模型化したいものだと思っていたものです。 そんな魅力あふれる「木曽の危険物専用車」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。 第1回 1.まずは写真のように上まわりのエッチングヌキパーツを丁寧にランナーから切り離して、切断面を平ヤスリで仕上げておきます。 ボクはもう30数年前からこのような鼻毛切り用のハサミでランナーを切っています。 今ではそれ用として売られてもいるようですが、「エッ?ハサミで金属を切って大丈夫なの?」と思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、30数年間大丈夫ですから、皆さんも試してみて下さい。 2.これが終わったら妻板や側板、ドアーを貼り重ねます。半田付けはそれぞれの外周だけで良いでしょう。 ドアーが付く方の側板には下のドアーレールを裾合わせで半田付けしますが、写真のように0.5mmほど右に飛び出させておきます。 そして、それに乗せるような位置でドアーを半田付けします。 3.ここで箱状に組み立てます。 側板も妻板も内側の板は僅かに幅が短いはずですので、それを利用して妻板の外側の板厚が見える方向で組み合わせます。 4.屋根板の裾合わせで上のドアーレールを半田付けしますが、妻面から1mm引っ込んだ位置にセットします。 その後で屋根の妻板を屋根板の内側に組み合わせて半田付けします。この作業はガラスなど平らな板の上に屋根板を立てるようにして行うとやりやすいでしょう。 5.ドアーハンガーの取り付けです。写真のようにランナーから丁寧に切り離し、@リベットのある側を下に向けてそのすぐ上でピンセットで直角に折り曲げます。 Aそれの裏側に半田メッキをしておきドアーに半田付け(写真の左側)。Bその後で上方向に折り曲げて(写真の右側)、C更に内側に折り曲げるので、B上方向に折り曲げた時に余分になりそうな長さをニッパーでカットしておき、C最終的に内側に折り曲げて半田付けをします。2枚はスペアーです。 6.最後に床板を半田付けしますが、台枠を治具代わりにして2mmビスで止めて車体とツライチに半田付けします。 但し、これには方向性があり、写真で見えている側板はドアーのない方です。 第2回 1.下まわりはまず台枠に軸受を少量の瞬間接着剤で止める事から始めます。 2.次に中枠にエンドビームを半田付けしますが、中枠の突起は位置決めが出来る程度までヤスっておきます。 それからブレーキテコを半田付けしますが、テコのボスが入る穴はφ0.6mmのドリルで少し掘っておいて下さい。 このようなロストワックス同士の半田付けは、接合面をキサゲなどで磨いておくと半田の流れが良くなります。 最後にブレーキテコの穴に軸を差し込んでブレーキポストを半田付けします。 3.これで半田付けは完了しましたので、車輪を組み込みながら台枠を中枠に1.4mmビスで止めて、更に2mmビスで上まわりに止めて歪みが無いかをチェックしておきます。 第3回 1.塗装作業に入ります。 総てのパーツをMWC-53 MWプライマーで下塗りをしてから、車体を白く塗ります。 羽目板の下から5枚目と6枚目の部分をマスキングして黒く塗るのですが、この羽目板のピッチは1.5mmですから、見本では3mm幅にマスキングしました。 しかし、これは失敗で、僅かに幅を狭く(2.7mm程度)にしておいた方が羽目板の凹んだ部分に塗料が入り込まなくなって、綺麗に仕上がると思います。 マスキング作業は凹んだ部分に面倒でも一度貼って、その後で全周をマスキングするとはみ出しが少なくなると思います。 ドアーの部分は写真のようにマスキングします。 2.マスキングを終えたら下まわりと一緒にMWC-02 ディープブラックで塗り、ディカールを水貼りします。 MWC-10 フラットベースを好みで僅かに加えたMWC-09 クリヤーでオーバーコートして艶を整え、MWC-17 ダークグレーで軽くウェザリングをします。 3.台枠は先ほどやったように組み立てて、ブレーキシューをエポキシ系で接着します。 4.台枠と車体とを2mmビスで組み合わせてから、デッキ板をエポキシ系で接着します。 これで出来上がりですが、黒い車体に白い帯というのはかなり強烈な対比ですから、タミヤのウェザリングマスターのマッドを使ってその対比を緩めておくと実感的になるでしょう。 |