Nikon S3 5cm/f1.4 f11 T-MAX100
何の予備知識もなく名松線の列車に乗り込み、唯一の交換駅・家城(いえき)で何気なく降りてみました。
降りてみてまず驚いたのは、ローカル盲腸線にしては、今時珍しく駅員が配置されていること。更に驚いたのが、腕木式信号機が健在だったことです。
頑固一徹を具象化したような老駅長がこの駅の主で、タブレットの受け渡しから転轍機の指差点呼、豆粒のような列車が山端に消えるまでの直立不動姿勢、それらのどれもが「駅」を感じさせてくれました。
また炎天下の青空にスッコーンと突き出した腕木信号機は、それ自体が旧き佳き時代の「鉄道」を象徴するかのよう。長年の風雪に耐えてきたその姿は、平坦な田園風景の中にあって、「俺こそこの駅の主だゾ」と、老駅長に張り合っているかのようでした。
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