尾小屋のキハ2 尾小屋のキハ1・2・3と在籍していましたが、デッキがあるのはこのキハ2だけで、そういう意味でも印象深い車両でした。 しかも日立製という実に珍しいもので、前後同じホイールベースの大き目のアーチバー台車も特徴でした。 このキハ2は映画「男はつらいよ」にも登場し、Youtubeでその場面が見られるのもファンにとっては嬉しい限りです(^^♪。 これだけ魅力的な車両だけに他社からも発売されておりますが、将来何10年と色褪せない決定版を目指した製品ですので、当社が自信を持ってお勧め致します。 そんな魅力あふれる「尾小屋のキハ2」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。 第1回 1.まずは側板に窓枠を半田付けする事から始めます。表側から見た時に戸袋窓の下窓枠の幅が上窓枠よりも僅かに広いような位置で固定します。 ドアーは側板に半田付けをする前にステップを半田付けしておき、そのステップの下側をボディーの欠き取り部に充てるようにして位置決めして半田付けします。ドアーにはハンドル用の穴がありますので、その穴が外側にくるように注意しましょう。 2.次はウィンドウシルとヘッダーを半田付けしますが、それぞれ裏側には半田メッキをしておくと良いでしょう。ウィンドウシル(窓の下側の帯材)は幅に対してリベットが僅かに片側に寄っていますので、向かって下側に寄るように留意します。 次は車体アングルの半田付けです。これは窓枠に突き当てるような上下方向で、左右方向はセンターに揃うようにします。但し、側板にもアングルにも左右がありますので注意。 チェックポイントとしては、アングルの中央部には欠き取りがありますが、その隣にも同じような欠き取りがあります。この欠き取りが上下ある外観図の下側に付くようにします。側板の相違点は燃料口の穴が有るか無いかの違いです。 3.次は妻板です。まず窓枠を裏側に半田付けしますが、僅かですが三面鏡のように丁寧に折り曲げておいて下さい。 窓枠を半田付けしたらウィンドウシルを半田付けしますが、これも側板の時と同じ要領です。ただ、物差しで長さを測って、ちょうどセンターになる部分に細いサインペンで点を記しておくと良いでしょう。そのセンターで半田をチョン付けして、徐々に左右に半田を流して行き、最後は余った部分をカットして平ヤスリで仕上げておきます。 4.ここまで来たら、まず側板と妻板とをLの字に組み合わせ、更に箱状に組み上げて行きますが、ここでも方向性があって、妻板の上部には小さな穴があり、それは1個のものと2個のものとがあります。外観図を良くみて間違わないようにしましょう。 箱状に組み上げたら、ウィンドウヘッダーを半田付けして、コーナー部で折り曲げて先が見えたところで(つまり写真のような時点で)、ちょうど良い長さにカットしてドアー上のヘッダーに突き当てるようにします。 5.細かい部品を付けていきます。まず、妻板上部の標識灯やヘッドライトケースを半田付けします。 それから車体側面に給油口を半田付けしますが、側板の小穴をガイドにしてピンバイスに咥えたφ0.6mmドリルを上から斜めに向けるようにしながら、注意深く穴を明けていきます。 この給油口は細くなっている部分をカットしてから、半田が流れやすくなるように肌を磨いておくと綺麗に半田が流れてシッカリと止める事が出来るでしょう。 6.ボディー上面をサンドペーパーの上で軽く平らに仕上げてから屋根を乗せてみます。恐らく捻じれや反りは無いと思いますが、僅かに隙間があるようでしたら、手で修正しておきます。屋根は塗装後に接着します。 ドアー脇のテスリやドアーハンドル、ワイパーは塗装後に接着しますので、ピンバイスで穴をサラっておくだけにしておきます。塗装の厚みも考慮して、穴の径は順にφ0.5mm、φ0.5mm、φ0.4mmです。 第2回 1.下まわりの組み立てです。まず床板にボルスターと床下板用ボスを半田付けしますが左右対称ではないので、写真を良く見て間違わないようにしましょう。 2.エンジンを枠に半田付けします。先にエンジンとミッションとを半田付けしてしまうと、枠の中に入らなくなりますので、まずエンジンを枠に半田付けしてからミッションを半田付けします。ただ、エンジンとミッションとを半田付けしようとすると、折角付けた半田が熱で外れてしまい可能性がありますので、瞬間接着剤ででも良いでしょう。 このエンジンユニットを床下機器取付板に半田付けしてから、ブレーキシリンダーを半田付けします。エアータンクは接着しますが、土台の部分が少しエンジン枠と当たりますので、カットしておいて下さい。 3.この床下ユニットを床板に1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。更にモーター側用ボルスターを写真のように1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。 デッキは欄干の部分に歪みがある場合は丁寧に仕上げておき、写真のように仮に1.4x2mm(小頭)ビスで止めてみて雰囲気を味わった後で外します。ウェイトは1.4x4mmビスで止めます。 4.ギヤーボックスは角型スペーサーを半田付けしてから上のスペーサーを半田付けしますが、歪まないように充分注意しましょう。この部分が歪んでいると走行にも影響しますので。 5.付随台車(ネジ穴の有る方)には軸受を半田付けし、動力台車は動輪押さえ板に半田付けします。 但し、動力側の台車は写真のように小穴の部分でカットしておいて下さい。 6.さてこれで一応半田付け作業は完了ですので、ボディーと床板とを1.4x2mm(大頭)ビスで止めて雰囲気を見てみます。 第3回 1.塗装に入ります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下処理してから、ボディーとデッキ・テスリとハンドルはMWC-03 クリームで、屋根はMWC-17 ダークグレーで、床板から下はMWC-02 黒で塗ります。 デッキはその後で赤く塗りますが、ボディーと色調を揃える為に一旦クリームに塗ります。 2.ボディーは外観図を見ながらマスキングをして、デッキと一緒にMWC-15 赤を塗ります。見本では新塗装に仕上げましたが、幕板部分も赤い旧塗装の場合は、窓枠1枚ずつにマスキングテープを貼って対応します。 そして塗り終えたら別に塗っておいたテスリやハンドルを接着します。更にヘッドライトケースは黒く、内側は銀に塗ってからリムとレンズを接着、標識灯は赤く塗っておきます。 そして屋根をエポキシ系で接着しますが、必要最小限の量で接着するようにしましょう。見えない内側だからと云ってテンコ盛りにすると、意外と浸透性が良くて表側にはみ出す恐れがありますので。 そして接着が乾くまでは必ずさかさまにしておくこと。窓枠などに垂れてきて往生する事がありますので(見本では苦労しました・・・)。 デッキは側面から上とカプラーハンガー前面をマスキングして黒く塗ります。 3.ボクが実際に尾小屋で車両を見たのは晩年だったためか、比較的汚れた状態でしたので、そのイメージを再現するべく、きつめのウェサリングを施しました。 その方法は極く極く薄く溶いたエナメル系の黒を筆に吸い上げ、ティッシュペーパーで良く拭ったあと、それを車体に塗り付け、半ば乾いたところでピンセットで摘まんだ小さなティッシュの丸めた物にシンナーを含ませ拭っていく、という方法です。 レタリングはシンナーで溶けてしまいますので、その後で貼り付けてクリヤーで艶を整えて、更にウェザリンググレーをサッと吹き付けてウェザリングの完了です。 そのレタリングはアルプスモデル製「尾小屋(A)」を使いますが、見本のように新塗装にするのでしたら、妻板用に赤い文字の「尾小屋(D)」も必要になります。 4.ヘッドライトレンズにはクリヤーを、標識灯にはクリヤーレッドを差します。 窓ガラスはプラ板などから切り出して貼りますが、夏姿の場合は段々があって少し面倒です。ただ、写真のように窓ピッチで縦筋を軽くカッターで入れてやり、上下寸法を測ってカットしてやれば、貼り付け自体は楽になります。 5.付随台車の組み立て手順は、台車のラグ板を介しながら1.4x3mmビスで軽く図のように止めます。車輪を組み込んで軽く回るような位置でビスを固く止めます。なお、台車の軸受け部はφ1.1のドリルで軽く揉んで塗装を剥がしておきましょう。 6.モーターの軸にはウォームギヤーを木工用瞬間接着剤で止めますが、深さは写真のようになるよう留意しましょう。この深さは意外と重要で、走行にも影響します。 ギヤーボックスの動輪軸箱が入るUの字型の部分はカッターで塗装を剥がし、アイドラーギヤーを分解図のように組み込み、集電ブラシも組み込みます。 外観図は動力台車が右側になっている図ですが、この見えている方にモーターの+の端子が来るような向きでセットして1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。必ずドンピシャの位置がありますので、そこを探って固定します。 7.配線コードは22cmありますので、まずそれを半分にカットして、更に3cmと8cmにカットします。短い方のコードは集電ブラシに写真のように半田付けをして、長い方は付随台車のラグ板に半田付けして、動力台車を段付きビスでボルスターに止めます。 8.ボディーに床板を1.4x2mm(大頭)ビスで止めてから、デッキを1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。 普通ならばこれで完成なのですが、この車両の場合は標識灯が1個の側のデッキにタンクを載せます。 妻板からホンの僅か離して写真のような位置にエポキシ系で接着しますが、ホンの僅かな量を塗って接着剤がはみ出さないように注意しましょう。 これで出来上がりです。冬姿だったら大倉山スキー場に向かう客のスキー板をデッキに載せてみるのもイイかも知れませんネ(^^♪。 夏姿だったらこのように集乳缶もイイかも(^_-)。 |