キット組立講座

木曽の協三製138号機


協三製DLの魅力は何か?と考えてみると「林鉄の世界で見慣れた酒井製DLとはひと味違ったテイストが感じられる」、それに尽きるのではないでしょうか?
 酒井製DLの低めで長いボンネットはサラブレッドを彷彿させるのに対して、どちらかと云うとずんぐりむっくりした協三のスタイルは泥くさい魅力に溢れています。
 しかしよく見るとキャブのコーナーには僅かにRが付いていたりして、それが寄り目の表情とともに愛嬌にもなっています。
 特にこの138号機はキャブ屋根上に大きなエアータンクを背負っているのが特徴で、これが大きなアイキャッチポイントにもなっています。
「似て非なるDLの魅力」だけでは済まされない、そんな協三製138号機の魅力をこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まずボンネットにラジエターを半田付けしますが、その前にラジエターを若干加工して頂きます。裏側の丸いファンカバーを1mm弱薄く削って頂くのと、ネジ穴がある板をネジ穴ギリギリまで削って、その板の上の方の後方を斜めに削っておいて下さい。また、ボンネットと組み合わせる場合には、その段差が若干大きいので、ラジエターは少し浮き気味にして、ボンエットの上面とツライチに揃うように留意して下さい。ロストワックスの半田付けには、ステンレス用フラックスを水で薄めたものを使うと、半田の流れは良くなるでしょう。
 


2.ボンネットに細かいパーツを半田付けしていきます。砂箱蓋の向きには注意して下さい。小さな突起(ヒンジ)がある方がボンネット中央寄りになります。それぞれを半田付けをしたら、ボンネットの内側に出っ張った部分はカットしておきましょう。


3.キャブの組み立てです。前妻板には窓枠とワイパーを、後妻板には窓枠を半田付けします。なお、前側の窓枠は折角別パーツになっているのですから、写真のように少し開いた状態にすると動きが表現出来て良いでしょう。これらを側板に半田付けしたら、側板から僅かに出た妻板の下部をツライチに仕上げておきます。更に協三らしさを表現するために、キャブ四隅のコーナーを幅の広い平ヤスリで気持ちRに仕上げておきましょう。
 


4.雨樋は左右に注意しながら屋根の肩の部分に半田付けをします。ドアーにはテスリを半田付けして裏側をツライチに仕上げたものを側板に半田付けしますが、ドアー下部の戸車カバーの下部が側板の裾に合うような位置にセットします。作例ではドアーの前側だけに半田を流しましたが、それで充分でしょう。


5.屋根上の工作です。エアータンクは台座が水平になるように留意しながら屋根裏から半田付けをします。タイフォンは座を屋根に半田付けしてから湯口の長さを0.3mm程度までカットしておき、サッと半田半田付けします。ヘッドライトの湯口も同様に短くしておき屋根に半田付けをします。最後に配管を半田付けしますが、エアータンクの凹部は0.5mmのドリルで軽くさらっておくと半田の流れも良くなるでしょう。
 


6.そしてキャブとボンネットとを組み合わせて半田付けします。ボンネットの裾はキャブの裾とツライチになるように仕上げておきます。


第2回
1.主台枠を組み立てます。まずLの字に組み合わせておき、さらに四角く組み立てていきますが、歪みの無いように留意してじっくり落ち着いて組み立てましょう。そこに前後の床板を落とし込むようにして半田付けしますが、幅方向は現物合わせで少しヤスッてピッタリと嵌まるようにしましょう。前の床板は切り欠きのある方が左側になります。
 


2.前の床板のスリットには前用エンジン座を半田付けしますが、スリットにボスを嵌め込んで出来るだけ後ろ側にセットするように留意します。次は後ろ側のエンジン座ですが、台枠の「協三工業」の文字と前側のバネカバーとの真ん中より少し後ろ側に半田付けします。仮にエンジンを載せてみてちょうど良い場所を掴んでおきましょう。但し、エンジン前側のステイでアングル状になってる部分は座の上ではなく、ステイの前側だけが座に乗るようにします。
 




3.コンプレッサーにも座を半田付けします。コンプレッサーの湯口の下側を仕上げてから、その部分を引っ掛けるようにして座の凹んだ部分に半田付けします。そして床板に半田付けしますが、コンプレッサー座の前側が、台枠前部ステップの凹みの中心に来るようにセットします。エアークリーナーの配管はエンジン側をカットしておきます。
 


4.ドアーレールは台枠の後部に半田付けしますが、その前側の出発点は後部動輪のバネカバーの前端にセットします。後ろ側のエアーホースは中心から4mmの位置に半田付けしますが、仮にキャブをあてがってみて確認しておきましょう。前側のエアーホースは写真のようにクランク状に曲げておき、やはり中心から4mmの位置に半田付けします。この時にラジエターと干渉しないかどうかも確認しておきましょう。


5.次にエンジンをエンジン座に半田付けします。半田付けをしたら上まわりを載せてみて、ボンネットの両肩と干渉しないように後部の両腕上部をヤスッておきます。また、排気管は1mmほどカットしておきます。ファンはエンジンの方の穴をφ0.8mmドリルでサラッておき、瞬間接着剤で止めれば良いでしょう。ここで上まわりと組み合わせてみて、どこか干渉していないか、を確認しておきます。感じが出てきましたネ(^^♪。
 



6.ギヤーフレームを組み立てます。角型のスペーサーは2種類ありますので前後を間違えないようにして下さい。前側がネジ穴のある方です。その後でフレーム取付板を半田付けします。これも表裏ありますので注意して下さい。


第3回
1.塗装に掛かります。全体にプライマーを下塗りしてから、台枠・ギヤーフレーム・ウエイト(半分にカットしておきます)・動輪押え板・モーター台はMWC-02 王滝営林署DL用ブラックで、ボディーはMWC-01 王滝営林署DL用グリーンで塗ります。ただし、晩年の姿を再現したい場合、台枠はMWC-04 上運営林署DL用マルーンで、ボディーはMWC-03 上運営林署DL用クリームで塗り、ボンネット上部のみをMWC-05 上運営林署DL用グレーで塗ります。いずれも車体裾の部分はマスキングして台枠の色を塗ります。雨樋から上は黒です。作例ではマスキングせずにプラカラーを筆塗りしました。経験上、プラカラーを塗る場合には、マスキングテープを使用すると剥がすときに塗装が割れてダメになってしまいます。ですから、ボディー下部のストライプはプラカラーではなく、ラッカーを少し薄めたものを置くようにして筆で塗っていきます。ラジエターのコアの部分も同様です。写真には出てきませんが、ラジエター保護枠は黒く塗ってから、アームの先半分ほどをボディーと同色に塗ります。Hゴム窓にはグレーを差します。ヘッドライトケースの内側は銀色、タイフォンの先端部内側は金色のプラカラーで塗っておきます。こういう部分には爪楊枝を使うと良いでしょう。
 右はラジエター保護枠をエポキシ系接着剤で止めて、別売の「アルプスモデル製インレタB」でナンバリングをした状態です。このあと好みでWMC-10 フラットベースを加えたWMC-09 クリヤーを吹き付けて艶具合を整えます。
 


2.首振りカプラーはエンドビームのスリットにスムースに入るように若干削っておいてから黒く塗り、エンドビームの下から2段目のスリットに差し込み、ピンで止めてエポキシ系接着剤で軽く止めます。こちらもボディーと同様に好みでWMC-10 フラットベースを加えたWMC-09 クリヤーを吹き付けて艶具合を整えます。


3.黒く塗ったギヤーフレームにギヤーを組み込んでいきます。動輪を仮に組み込んでみて、軸箱がきついようでしたら、U字型になっている部分の塗装をカッターで剥がしておき、それでもまだ渋いようでしたら、その縁の部分表裏も塗装を剥がしておきます。またアイドラーギヤーを組み込んで軸にEリングで止めてみて、ギヤーの動きが渋いようでしたら、ギヤーを少し薄くしてやりますが、これはヤスリで削るのではなく、必ずカッターで削るようにしましょう。ヤスリで削るとどうしてもその摩擦熱でプラが溶けてバリになるからです。集電シューの突起は外側を向くように留意しましょう。


4.ウォームギヤーには軸スペーサーを瞬間接着剤で組み合わせて、それをモーター軸に瞬間接着剤で止めますが、モーター軸の先端部がウォームギヤーの穴から1mmほど引っ込むような位置で固定します。


5.ボンネット内には半分に切って黒く塗っておいたウエイトをエポキシ系接着剤で止めます。ヘッドライトリムやレンズを接着して、タミヤのウェザリングマスターでお化粧をしたところです。「オイル」をブラシを使ってウェザリングをすると、ほど良い金属質の感じが出ますし、排気管などは「アカサビ」を使うと焼けたパイプの感じが出るでしょう。
 


6.モーターは文字が書いてある方を後ろ側にして、モーター台を挟みながら1.4x4mmビス2本で床板に固定します。大体長穴の真ん中あたりで仮に固定してから、ギヤーフレームを1.4x6mmビスで床板に止めてから前方を1.4x1.4mmビスで止めます。この状態でウォームの噛み合わせ具合を確認して、きつかったり緩かったりしたら、モーターの位置を調整します。配線コードは半分より少し+−のところでカットして写真のように配線します。電気を通してみて具合が良かったら、このモーターの位置を記憶しておき、ギヤーフレームを一旦取り外してモーターを止めているビスを緩めます。この状態で上まわりと下まわりとを組み合わせてから、モーターを元の位置で固定して、ギヤーフレームも取り付けます。最後にラジエターの部分で1.4x3mmビスで止めて出来上がりです。
 








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