キット組立講座

助六の2線機関庫



当社初の木造建築物のトータルキットです。製品名は「助六の・・・」となっていますが、「火気厳禁」の文字を「安全第一」にすれば、どこにでも居たような「軽便用」に変身するのがイイところ。一切手抜きをせずに真正面から取り組んだ柱構造などの魅力を、この組立講座で楽しんで頂ければ幸いです。



第1回
1.まずフレームの組立から始めます。フレームは向きが有りますので、入り口側へ彫刻の入った側をそろえます。梁は厚い物を先に4本取付固定し、端の2本は最後に取り付けます。薄い方の梁は中心の梁の真下に柱を挟むように取り付けます。真ん中の梁は屋根と接合しますので付けません。
 


2.次は妻板の組立です。後ろ側は裏面どうし、前側(ドア側)は柱と板が外側を向くようにしてください。
 


3.フレームに妻板を取り付けます。中心付近の薄い梁が引っかかりやすいので注意しながら取り付けます。
 


4.ベースに基礎を貼り付けます。ランナーを切らずに孔に合わせ貼り付け後、ランナーを切断します。ご自身のレイアウトに設置の場合はベースそのものを埋め込むか、ベースの穴をガイドにして柱の孔をレイアウトにあけ、基礎を貼り付けます。なお、この製品は外観を重視した設計ですので、組立後はドアが開いたままの雰囲気を重要視しています。ですから、PECO製等のフレキシブルレールを設置しますと、ドアー下部分とレール上面が干渉します。閉めた状態を演出したい場合は、この時点でベースのレール設置部分を切り取り、レールを約1mm強下げるか、40番等の細いレールを使用する等の事前の検討が必要です。完成後はドアー下のクリアランスは約2mmです。


5.ベースに借り組します。まだ接着はしません。基礎の部分は厚紙ですので、外すときにはがれる危険が有りますので、仮組前に瞬間接着剤を染みこませ、固めておくと良いです。
 


6.側板を取付けます。柱のゆがみを矯正しながら側板を取り付けます。全ての柱に接着剤を付けてください。基礎やベースに接着剤が着かないように注意してください。側面に窓枠を接着します。ガラスはまだ付けません。
 


7.屋根の組立に入りましょう。屋根板のスジに合わせてシールを下から貼り込んでいきます。一番上のシールは左右の突起に合わせ、中間部分は少し飛び出した形になります。一番下も同様に少し飛び出した形です。中央の梁の組立補強板は載せた後正面から柱になるべく隠れるように配置します。
 


8.続・屋根の組立です。梁を中心にして補強板と屋根を組み立てます。接着剤を多めにしてなるべくしっかり組んでください。また、補強板が直角になるように注意してください。 乾燥後本体に合わせ、きちっと載せられるように確認修正をしてください。緩すぎますと屋根が反って隙間が出ますので、きついぐらいに調整します。ここで本体に借り置きして見ます。
 


9.ドアーの組立です。ドアー用金具パーツはランナーのまま水に浸し、カバーペーパーを完全に取り除いて、乾燥後、ランナーのまま先に塗装します。アクリル素材ですので割れやすい為注意しながら、切り出しながら瞬間接着剤で貼り付けていきます。このパーツは破損の危険が有りますので予備が入っています。電灯はガイドに従い洋白線を曲げてから接着剤、もしくはハンダ付けで組み立てます。窓上のひさしは2つのパーツを重ねますと斜めに角度がつきますので、その上にシールを貼り窓上に接着してください。
 


10.屋根を本体に載せて破風板を取り付けます。梁の飛び出しとジャストのサイズに設計されてますので、組立時の多少のゆがみが有りますと破風板が飛び出します。その場合は梁の方を削って対処してください。本体を基礎から外し、窓ガラスを接着してください。最後にドアーと電灯を取り付け、同梱の角材をドアーに差し込めば完成です。




第2回
1.塗装に入ります。ここでまず肝に銘じておいて頂きたいのですが、「決して塗ってはいけない」ということを。「塗るのではなく染める」気持ちで仕上げて下さい。ベタッと塗ってしまったら、折角の質感が台無しになってしまいますから。シンナーで極く薄く溶いた艶消しの黒を染めるように塗っていきます。何度か繰り返しているうちに次第に色が付いてくるはずです。また、この色付けも均一にならないように、敢えてムラが出来るようにすると良いでしょう。屋根にも同様にサッと黒く塗っておきます。あとは、ひと通り塗り終わったら、ピースコンなどで地面に近いところや屋根を中心に、薄く溶いたグレーをサッと吹き付けて風雨にさらされた感じを表現しておくと良いでしょう。
 


2.レールを敷きます。作例ではPECOのフレキを使いましたが、ガッツのある方は引き抜きレールを手打ちしても良いでしょう。フレキの場合は数本に1本の割合で枕木の裏側にゴム系接着剤を塗って固着させます。実はウッカリ忘れていたのですが、ディカールの「火気厳禁」もしくは「安全第一」の鉄看板を転写します。本来ならばレールを敷く前でも良かったのですが・・・。
 


3.バラストを撒きます。作例では「KATO製バラスト濃茶(細目)」を使いました。Nゲージにはこれでも大きいのですが、HOですとちょうど良い感じです。バラストを固着するのには、木工ボンドを水で薄く溶いたものに、少量の中性洗剤を垂らしたものをスポイトで染み込ませていきます。ボンド作業のついでに、機関庫の周りの草も撒いておきましょう。作例は定番「ウッドランドシーニックのターフ」を使いました。
 


4.ボンドが乾くのを待っている時間を利用して、屋根や看板のウェザリングをしてみましょう。共に「タミヤウェザリングマスターC」のアカサビをパフで擦り付けました。ボンドはまだ半乾きの状態ですから、ここで雑草も植えてみましょう。これも定番「KATO製フィールドグラス」です。これは少し指で摘まんで穂先をハサミでカットして、そこに木工ボンドを付け、地面に立てて接着。そのままの状態でまたハサミでカットします。これの繰り返しです。写真では敢えてボンドが乾いていない状態で示してみました。
 


5.ここまでくれば完成も間近です。ちょっと余裕が出てきたところで、少し遊んでみましょう。写真のように人形を立たせるも良し、手持ちの残りパーツでDLのドアーを作って壁に立て掛けるのも面白いでしょう。痛んでしまったので交換した、という想定です。
 


6.これで完成なのですが、別売で「展示用ベース板」も用意されています。この機関庫のベースがピッタリと嵌まるような寸法に出来ています。レイアウトに組み込むのでしたら不要ですが、このままの状態で飾るのには額縁があった方が映えますから。展示用ベース板は黒く塗ってやり、ホームセンターで短い木ネジを買って6か所で機関庫を固定。さらにクッションを四隅に貼ってゲタとします。
 さあ出来ました!貴方は林鉄派?それとも軽便派?両刀遣いのこの機関庫はきっと貴方に「ナローをやってて良かった!」と思わせるアイテムとなることでしょう!
 














追記:

説明書で判りにくい部分がありましたので、追加説明をさせて頂きます。

窓上のひさしの組み方について

四角い長いロ型のパーツを、ひさし板の裏側の短い角材がレリーフで表現されている部分の書き取られている部分にはめ込むように落とし込みます。そうしますと、斜めに取り付けられることになりますので、ひっくり返してロ型のパーツが地面と平行になるように取り付けます。そうするとひさし屋根の部分がスロープになります。

21mmのパーツについて

これは実物の正面写真を見ていただくと解るのですが、助六の機関庫は右側の開口部の左上だけ補強に梁が見えてます。このパーツだけ正面の柱パーツを彫刻で表現するには困難なのと、大鹿と滝越だったか他の場所の機関庫(どうもこの形が木曽の標準型で他にもたくさんある様子)には無いパーツですので別付けにしました。したがって取り付けなくても構いませんし、どうしても助六で無くてはいけない方のためのパーツです。取り付ける場合は角度と位置を正面からよく見て他の斜め梁と同じ位置に付けて下さい。



「助六の2線機関庫」製品の御案内