もりこーの木曽路日記

平成25年6月26日

「木曽の貴賓車を採寸に行く」の巻


前々から作りたかった貴賓車。冬の間は閉まっている赤沢が再開されたので、採寸に行ってきました。
 水曜日ならば観光客も少なくて、落ち着いて採寸できるだろうと思ったのですが、天気はザーザー降りの雨。
 普通だったらエーッ!となってしまうところですが、今回の現場は室内なので全くお構いなし(^v^)。観光バスに乗ってきた運の悪いツアー客以外は居ないだろうし、余計ラッキーでした(^_-)-☆。



 

11時頃に家を出て、松本でゆっくりとランチを済ませて赤沢に着いたのは2時チョイ前。広い駐車場には観光バスが1台停まってるだけでした(^^ゞ。
 ここには何度来たか判らないくらい来ていますが、この看板を見ると何となくワクワクしてしまいます(^_-)。
 2時出発の列車には、その運の悪いツアー客が傘なんか差して乗ってたりして(^-^;;。そこまでして「森林鉄道」に乗りたいか?ったってツアーですから仕方ない・・・。

 

いつもの見慣れた風景。日本農林機械製の運材台車に板を渡してフラットカー化されてたり、こないだ来た時に採寸したロータリーヘッドや大型楕円タンク車が無造作に置いてあります。

 

そして今日の目的地はここ、森林鉄道記念館です。今までに一度も行った事がない方は、ぜひ行ってみて頂きたいですね〜。やっぱり実物を見て触れるというのは格別なものがあって、(エッ!10tボギーDLってこんなに背が低かったの!みたいな)新しい発見や(エッ!キャブフォワードってこんなに立派だったの!みたいな)驚きがありますから!(^^)!

 

こんな標識も保存されてたりします(因みに円盤の大きさはφ400です)
 キャブフォワードの122号機の塗装が剥げて、下から草色の塗料が・・・。このままにしておいたら、何も知らないのちの研究家が「ホントは122号機は王滝色に塗られていたんだ!」なんて勘違いしてしまう可能性もあるので(んな訳ないか?)、チャンとしておいて欲しいな(^_-)。

 

そして今日のお目当てはこの貴賓車。外で雨ざらしになってるB客と違って特別待遇。流石にピッカピッカです^\^)。
 実は「森林鉄道」に乗って行った終点の丸山渡にこの貴賓車と双子のC客があって、それは10年以上も前に採寸してあるので、それとの相違点を確認するのが今回の目的でもありました。
 片や山の中で雨ざらしになってて放ったらかし、片や記念館の中でピッカピッカ。形はそう違わないんですけどネ(^^ゞ。

 

貴賓車の貴賓車たる所以が車内の回転椅子。6脚あってヒラヒラレースまで付いた白いカバーが目を惹きます。
 模型化する時にはこの椅子は避けられませんネ(^v^)。逆に云ったら、これが無かったら唯の山中のC客と同じですからネ(^-^;;。
 製品化したら「ウチの軌道の社長専用車にしよう!」なーんていう方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?
 でもこの保存車、内装の板張りが何とデコラのベニヤ(>_<)。きっと展示する際にボロくなってたので、張り替えたんでしょうネ(~_~メ)。

  

双子のC客と違うのがここ。デッキの上には白熱灯が装備されています!屋根先はスパッと直線で切れているのに対して、アールが付いた幕板、というところにデザインを感じます。
 同じようにデッキもデッキテスリもアールを描いていますが、反対エンドは無造作。でも非デッキ側の貫通ドアーが観音開きになってるのが「山の中のC客」との相違点です。

 

これがその緩いデッキのアール状態を示しています。たった一回こっきりの使用(今上天皇が皇太子のとき、赤沢の神宮備林御視察の折に使用)のためとはいえ、台枠への止ボルトの隠し方など、実に丁寧に作られています。

 

屋根上には小型のガラベンが乗っています。木曽の客車で通風器があるのは、この車両だけです。
 貴賓車ですから軸バネもシッカリ入っています。ただこのバネが見える部分は1/87にすると僅か0.6mmなので、表現しても殆ど意味が無くなってしまうのが辛いところです(^^ゞ。
 改めて双子のC客の軸箱を見ると、これも全く同じようです。イメージでは貴賓車だけが軸バネ入りという感じでしたが、そうではないようで、もしかしたらこの双子のC客は万が一の場合に備えて予備で作られたのでは?とも思いたくなってしまいます。
 記念館の方と少し話をしたのですが、貴賓車の材料は特に厳選された桧が使われているそうです。

 

記念館の外には上松の理髪車が保存されています。今は何故かモノコック台車に振り替えられていますが、正しくは岩崎製後期型台車を履いていました。
 実はこの理髪車、元は貴賓車とペアーで使用された「供奉車(ぐぶしゃ。お付きの人達が乗る車両)」だったそうで(その当時は木製台車。つまりスパルタンな乗り心地)、だからこの車両も唯一無二のスタイル(引き違い式でなく一段下降式の窓、屋根のカーブなど)をしているのです。
 貴賓車と一緒に木製台車を履いた供奉車も製品化したくなってしまいました^\^)。
 待合室として使われているB客は、当社の製品でもお馴染みの「王滝型No.11」です。
 向かって左側にあるドアー、ドアーの下の部分は3枚仕立てになっているNo.11そのものです。

 

取材を終えたのは3時でしたが、もう人っこ一人居ない状態(>_<)。この雨じゃあネ。
 帰り道の途中で面白いものを見つけました。大きな石を抱え込む巨木の根っこ。果たしてこの木の生長過程のどの時点で石を抱え込むようになったのでしょうか。
 脇に立てられた「落石注意」の札が面白かったです(^O^)。

 

木曽福島の街に寄って御当地の旬のお菓子「朴葉もち」を買って帰りました。大きな朴の葉っぱで餅を包み蒸かしたものなのですが、この季節だけしか味わえない素朴な和菓子。
 帰宅後に頂いたら、ほのかな木曽の香りがしました(^_-)。