皆さんの工作台から

進藤さんからのお便り

2015/09/04
いつもお世話になっています。進藤です。木曽の酒井10t122号機がようやく出来上がりました。
 愚作ではありますが自分なりのアレンジも多少はあるので、ご報告かたがた工作台に投稿したいと思います。
 今回の工作のポイントは「顔」でした。1両毎に個性的な表情を持つC4型の中でも122号機は左右の前面窓がハの字形に傾いた独特の“タレ目”顔が特徴です。
 キットでもこれが表現されていますが、どこか実車の印象と違うように感じるのは窓位置がやや低いためと思われるので、前面窓を少し上げる整形手術?を施しました。
 別付けの窓枠も前面パーツのヒンジ表現部分を削ってその分だけ上げることとし、これに合わせて作り直す窓上のヒサシも削り取りましたが、その際一部を薄く残して新たなヒンジ表現にしています。
 ハンドレールの穴も全部埋めたうえで開け直し、ノブは洋白の薄い帯板を割ピン状にしたものに変えました。
 また前面下部とボンネットのグリルは、外枠の太さが気になったので外周を削って細くしました。
 さらに周囲の断面と前面パーツ開口部の縁を斜めに面取りし軽く嵌り込むようにしています。
 因みに3枚目の写真に写っている富士重モーターカーNo.75も122号機とほぼ同時に完成したものですが、これも顔を少し整形しています。やや小さく感じた前面窓を拡大したもので、特に左右の窓間を細くしました。
 見た目の印象はちょっとしたところで結構違ってきますが、そのあたりを追求できるのはキットメイキングならではで、改めてその楽しさを味わいました。
 レイアウトに載せると懐かしい場面が甦ってきて嬉しくなります。
もりこー:おおお!相変わらず素晴らしいテクニックですね!(^^)! このような作品に仕立て上げて頂けるのはメカー冥利に尽きます(^^♪。






2015/02/22

もりこー:この正月に進藤さんの記事を掲載したところ、数多くの方々から異口同音に「あの材木の質感が凄い!もりこーさんから作り方を聞いて貰えないだろうか」というメールを頂きましたので、進藤さんに記事をお願いしてみました。
 企業秘密に当たるのでは?と心配しましたが(^^ゞ、快くお受け下さり、リポートが届きましたので、皆さんに御報告させて頂きます。
 改めて拝見すると凄い質感で、この製作方法はスタンダードになるのでは?と思います。皆さんも是非チャレンジしてみて下さい!(^^)!


モデルワーゲン 森川様 お世話になります、進藤です。お問い合わせをいただいていた運材車積荷の作り方がまとまりました。
 改めて記してみると作り方というほど大したものでもなく,皆さんには笑われてしまいそうな稚拙なものですが,何かしらの参考になれば幸いです。

 

紙を巻いて檜となるベースを作ります。紙は光沢のないものが良く,ありふれたコピー用の普通紙を使っています。写真では芯に木の丸棒を入れていますが,紙だけを丸めて作ってもかまいません。芯を入れる場合は周りの紙を二重以上巻くようにします。
 樹皮の表現のため長手方向にカッターで筋をつけます。この力加減が肝なのですが,一番表面の紙一枚が切れるか切れないか位のかなり弱い感じです。定規は使わずにフリーハンドでやります。全長にわたって一度でカッターを引くのはやりにくいので,三分の一か四分の一くらいに分けてやるといいでしょう。

 

カッターの作業を何度もしつこく繰り返します。ある程度筋が付いてくると刃がそれに誘われて同じ所ばかり深く切り込んでしまいますので,極力筋と筋の間に刃を当てるような気持ちで進めます。繰り返すうちに表面の紙が細く切れて剥がれてくるところやササクレだってくるところが出来てきます(今回は新しい刃に替えたところやや切れすぎて剥がれが大きくなりそうでしたので、一部をボンドで止めましたが,その辺は臨機応変に処理して下さい)。どうです?だんだんと檜の樹皮のように見えてきませんか?
 全長にわたってカッター作業が完了したら切り口の隙間をパテで埋め,ヤスリで仕上げれば形は出来上がりです(写真上段)。塗装はなるべく手軽に作りたいので,簡単に手に入りすぐ使えるクレオスの缶スプレーS43ウッドブラウンを使っています。これを全体に吹き付け(写真中段),そののち黒っぽい茶系のエナメルでウォッシング(写真下段)という手順です。切り口はエナメルの黄色がかったクリーム色を塗っています。


運材台車に積んだ完成見本です。台車は手持ちがプラ製品しかありませんでしたがお許し下さい。檜は木曽らしさを表現するのに欠かせないものなので 皆さんもこれをヒントに自分なりの檜を作ってみていただければと思います。


参考にできる実物写真があればと思っていたのですが,運材車だけを撮った写真というものが意外に無く,古いフィルムをチェックしていたところ,1976年7月に氷ヶ瀬で撮影した運材車の写真が見つかりました。
 決して良い写真ではありませんし,古い写真なので色も正しくないとは思いますが,実物のイメージを捉えるのに少しでも参考になればと思いお送りする次第です。


2015/01/11
いつもお世話になります。進藤です。
 新年あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願い致します。
 さて,正月休みにレイアウトの運転を楽しみながら少し写真を撮ってみましたので,お約束の「工作台から」向けに数点投稿させていただきます。チラッと見える酒井5t前期型と客貨車は他社製品ですが,その点は何卒ご勘弁下さい。
 このレイアウトはB1サイズのパネルがベースで,エンドレスと3線の停車場を組み合わせただけの簡単なものです。森林鉄道とその周りの豊かな自然風景をシンプルに作ろうと考え,特に山の大きさ,森の深さを実感的に表現することに力を入れました。
 実はシーナリー付のレイアウトを作ったのはこれが初めてで,おかしな点や不満な点は多々ありますが,それなりのイメージは出せたかと思っています。
 緑の濃い盛夏としたのは,木曽で実際の運材列車を見たのがその季節であったからにほかならず,ウグイ川線末期に訪ねた大鹿辺りの風景を思い出しながら製作しました。
 車両については特に述べるほどのこともありませんが,走行性能向上のため機関車はすべて可動式動輪に交換しています。値段がちょっとお高目ですが,大変効果が大きく旧製品をお持ちの皆さんには是非お勧めしたい優れたパーツだと思います。
 107号機は塗装済完成品を入手したものでしたが走行が不調であったため,動輪と合わせてモーターやギヤーも交換したうえで軽くウェザリングをして仕上げました。
 多少工夫したのは運材車の積荷です。丸棒そのままの質感に満足できず,自分流にペーパーを使って木曽檜の樹皮の感じを表現してみましたが如何でしょうか。
 仕事から帰ったひととき,こんな風景を眺めることができるのはちょっと幸せな気分です。
もりこー:新春一番にお届けするのは、上にも書かれているように、前々から進藤さんにラブコールをさせて貰っていた作品です(^^♪。「5tDLはこんな風に仕上がりました」というメールを頂き、DLのウェザリングや檜のケバ立ちなど、車両の仕上げの素晴らしさは勿論ですが、レイアウトの作りも超逸品で、ぜひ工作台に投稿して下さい!とお願いしていたものです。皆さん、今年も頑張って工作しましょう!(^^)!