キット組立講座

沼尻のサハ8・9・10U



「沼尻のサハ」は「沼尻のガソ」と共に人気のある製品だけに何回も再生産を繰り返し、2009年を最後に暫く製造しておりませんでしたが、今回ヴァージョンアップをしてUとして発売する事に致しました。
 基本的な相違部分は車体側面と雨樋ですので、この組立講座ではサハ8を中心に解説させて頂きます。
 似て非なるスタイルを楽しむ。それはマニアだけに許された特権ですので、そんな魅力あふれる「沼尻のサハ」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.車体本体の組み立てから始めます。側板のドアー部分は非常に華奢ですから、曲げてしまわないように充分注意して下さい。
 側板の内側に窓枠を半田付けしますが、左右方向は窓柱がきっちりと合うようにして、上下方向は窓枠エッチングの上辺が側板の上辺と合うように留意します。
 こうするとドアーの下側には僅かな隙間が出来ると思いますが、これでOKです。
 冬姿のドアーの1枚には桟が付いていますが、この窓枠は妻面にハンドブレーキ用穴がある側板に半田付けをし、サハ9以外を作る場合は桟を削り取っておいて下さい。



2.次に車体アングルの取り付けです。アングルの下辺が車体の裾と合うようにしながらシッカリと半田を流します。



3.ここまでやったら箱状に組み立てますが、妻面ドアーの上下部分で軽く半田付けをしておき、その後で妻面のエッチングヌキを半田付けします。
 妻面にはハンドブレーキが付く穴があるものと無いものとがありますので、間違わないようにしましょう。

 


4.ウィンドウシルとヘッダー(いずれも上2本がヘッダー、下2本がシルで、僅かに幅が異なります)を半田付けしますが、あらかじめシルとヘッダーの裏側に半田メッキをしておくと半田の流れが良くなるでしょう。
 但し、全長に亘って半田メッキをしてしまうと、コーナーで曲げた時にコーナー部分が綺麗に曲がらないでパキッと直角的になってしまう事はありませんか?それを防ぐにはコーナー部分には半田メッキをしないでおくと良いです。
 そのために車体にシル&ヘッダーを充ててみて、「ここいら辺だな」という部分に印をしておき、そこには半田メッキをしないでおくと良いです。



5.側板へは長いシルとヘッダーを側面ドアー右部のところから始めて、コーナー部分で曲げて、妻面のドアーの所まで半田付けします。
 余った部分はカットしてヤスリで仕上ます。
 そして次は妻面のシルとヘッダーです。その前に側板は2枚で微妙な違いがあることを確認して下さい。その違いとは、妻面の窓下に小さな穴が有るか無いかです。これに適合するように4本ある短いウィンドウシルとヘッダーのうち1本には、この小さな穴を避けるような欠き取りがあるのがお判りだと思います。
 ここまでが予習。さて半田付けです。それではこの小穴の部分から始めましょうか。まず側板にこのシルをあてがって、穴の位置を合わせます。そのまま持って、コーナー部分をギュッと曲げます(まだ半田付けはしませんヨ)。
 そして側面ドアー左部のところに何かで印をしておき、そこでカットします。そこまで出来てから半田付けをします。他の3本も同じようにしますが、小穴が無いので気軽です。最後に長いシルとヘッダーの時と同じように、妻面ドアーの所で余った部分をカットして仕上げます。



6.窓柱のエッチングで出っ張ったガイドを頼りに、ハンドレールを半田付けしますが、この線はエッチング両端に合うように、長さを調節して下さい。半田がボッテリと付かないように注意しましょう。



7.ランプ掛けを半田付けして、裏側に出っ張った部分を仕上ます。妻面ドアー下には(側板が突き合わせられている部分の上に)渡り板を半田付けします。写真のように僅かに斜めにすると良いでしょう。
 妻面の「例の小穴」をガイドにΦ1mmの穴を開けます。旧塗装に仕上げる場合には、ここにハンドブレーキ軸を半田付けします(車体の内側に出っ張った部分はカットしないで下さい)。
 ロストワックスの半田付けは接着面を予め磨いておいた方が半田の流れが良いのですが、こういった小さな部品はなかなかやりにくいもの。
 こういう場合にはピンバイスを利用すると「持ち手」がシッカリして格段に作業がしやすくなります(^^♪。
 ハンドブレーキ軸は首下9.5mmの所でカットして、φ0.6のドリルで穴をサラっておいたブレーキテコに差し込んで半田付けします。
 新塗装にする場合には、塗り分けの便を考えて半田付けしない方が良いでしょう。但し、この下のブレーキテコは半田付けをしておきましょう。旧塗装に仕上げる場合には、テスリ類もこの段階で半田付けして、裏側の出っ張った部分を仕上ておきます。

 


8.次はドアー蹴込み部分の組み立てです。コの字型の部品に凸型をした部品を「ほぞ組み」で半田付けします。そしてこの凸型をした板が出っ張った部分が、先ほどのドアー下に入り込むように素早く半田付けします。

 


9.屋根には「サハ9〜10」に適合するような弧を描いた水切りが表現されていますが、「サハ8」に仕上げるには、この水切りを丁寧にヤスリ、直線状のものを右側が上がるように半田付けします。屋根の立ち上がり部分をヤスリで仕上ておきましょう。
 ハンドブレーキのある窓には保護棒を塗装後に接着しますから、ランナーから切り離しておきます。また、ホイールはライトグリーンに塗っておき、塗装後に接着するのですが、これもこのように下準備をしておくと塗装もやりやすいですし、ランナーをカットするにもしやすくなります。

 


10.これが出来上がった上まわりです。テスリが付く穴は塗装の厚みを考慮してφ0.5のドリルでサラっておきます。
 この段階で床板を充てがってみて、ビス穴がズレていないかを確認しておきます。
 上から順にサハ8、サハ9、サハ10です。

 


 


 


第2回
1.下まわりの工作です。まず、4個ある軸受に付いているブレーキシューを、片側づつ根元からカットして仕上ます。つまり、右側にブレーキシューが付いているものを2個、左側に付いているものを2個用意します。そして各々に軸受メタルを瞬間接着剤で接着しますが、軸受メタルの中心のバリは綺麗に取っておきます。
 また、ブレーキシューの裏側の小穴はφ0.6ドリルで僅かにサラっておきます。



2.ブレーキテコ受を床板に半田付けしますが、真ん中の部分は図では折り曲げるようになっていますが(原設計ではそうでした)曲げるのは難しいので、左右の三角部分は凹んだ部分を谷折りにして、折り目に半田を流しておくだけでOKです。
 このテコ受を床板のど真ん中に半田付けします。
 ロスト製のブレーキテコの両端には凹んだ穴がありますが、ここはΦ0.4のドリルで少し掘っておきましょう。このままでも良いのですが、ここに線を差して半田付けをするので、少しでも掘っておくと保持性が向上します。湯口が付いた状態で作業をすると、やり易いでしょう。
 真ん中の穴もφ0.6のドリルでサラっておき、ブレーキ軸に通してテコ受の三角の頂点の穴に差しておきます。ここで注意することは、ブレーキテコの向きです。イラストを良く見て下さい。



3.軸受を床板に仮に止めてブレーキ梁を組み込んでみてブレーキテコの角度を確認したら、その位置で瞬間接着剤で止めます。
 カプラーも1.4x4mmビスで止めますが、上まわりと組み合わせてみて、最適な位置を決めます。



4.塗装に掛かります。まず総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りをします。旧塗装に仕上る場合には、車体全体をMWC-08 沼尻旧塗装用グリーンを、新塗装の2色塗りにする場合は、全体をMWC-03 クリームに塗ってから、窓部分(シル・ヘッダーを含む)をマスキングしてMWC-07 沼尻新塗装用ブルーで塗ります。
 但し、サハ9だけはドアーの塗り分けラインが異なりますので要注意です。



5.屋根の色はチョット複雑なので説明が必要です(説明文の中で「説明が必要です」というのも変ですが・・・)。基本的には旧塗装の場合は黒に、新塗装の場合にはMWC-17 ダークグレーに塗りますが、ここからが重要。
「屋根の立ち上がり部分」の色に関してですが、旧塗装の場合にはダークグリーン、新塗装の場合にはダークグレー、但しサハ9だけは何故かライトブルーに塗られています。ですから、サハ9の場合には一旦車体色を塗ってから、立ち上がり部分をマスキングして、最後に屋根色を塗ります。



6.ハンドブレーキ軸について。旧塗装に仕上げる場合は、車体に半田付けして車体と一緒に塗ってしまいますが、新塗装の場合は塗り分けを楽にするために単体で塗ります。
 まず全体をライトブルーに塗ってから、上のギヤーカバーの上部の段が付いている部分をクリーム色に、ブレーキテコの部分を黒く塗ります。
 テスリもクリームに塗ってから、塗り分けラインに合うような位置までライトブルーに塗ります。
 これらを車体にエポキシ系接着剤で接着します。テスリの車体内側に出た部分はカットしておいて下さい。
 側面窓のハンドレールをライトブルーに、渡り板を黒く塗ってから、別売の「アルプスモデル製インレタやサボ」を貼っておきます。
 写真上から順にサハ8、サハ9、サハ10です。



7.屋根を車体にエポキシ系接着剤で接着してから、好みによってMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリアーでオーバーコートします。



8.窓ガラスを塩ビ板などで切り出して貼ってから、ブレーキハンドルのある窓には窓ガラスの内側に保護枠を接着します。
 さらにハンドブレーキ軸にブレーキホイールを接着します。ブレーキホイールは旧塗装の場合はクリーム色に、新塗装の場合はMWC-11 ライトグリーンに塗ります。
 ハンドブレーキのスポークの部分が見えるようにすると、存在感があって良いでしょう。



9.床板には軸受を6本の1.4x2mmビスで軽く止めながら車輪を入れます。その時に写真のようにあらかじめ黒く塗っておいたブレーキシュー梁を、長さを調整しながらブレーキシュー裏側の穴に差し込んで組み付けます。
 軸受は床板からはみ出すと、上まわりを被せたときに支障がありますので、留意して下さい。
 上まわりとは1.4x2mmと4mmビスで止めて出来上がりです。















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