キット組立講座

立山砂防の5tDLW*北陸製57-10-28




この機関車はその名が示すように昭和57年製で、北陸製5tDLの中では比較的早い時点での製造機にあたります。
 したがってデビュー当初はボンネット前端の上部にヘッドライト、屋根上にベンチレーターという比較的おとなしいスタイルだったものが、数次に亘る改造で段々と武骨なスタイルへと変貌していきました。
 ヘッドライトはラジエターの保護枠内に移動され、ワイパーは強力なモーターが組み込まれた箱入りとなり屋根上へ、その後ろには一時期試用されたGPS装置の機器箱が乗り、後部には強力なライトが2灯備わり、救急搬送用の担架セットも標準装備されるようになりました。
 こうやって見ていくと、派手な更新型の方に目が行きがちですが、原型の端正な姿を愛するファンも少なくなく、これは好みの分かれるところ。
 そんな魅力あふれる「北陸製57-10-28」を作り分けてみましたので、その楽しさをこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
 なお、本機は旧奥飛騨温泉口に保存されていますので、実機に触れてみるのも一興ではないでしょうか?



第1回

1.キャブの組み立てから始めます。まず前妻板に窓枠を半田付けします。原型はそのあとでワイパーを半田付けします。
 後妻板は上下取付アングルを裾合わせで半田付けして、窓枠・ヘッドライトケース・テスリ・コンセントの順に半田付けします。下の方のテスリは妻板の裏側でツライチに仕上げておきます。
 側板はまず下のドアーレールを裾合わせで半田付けをしてからドアーを半田付け。次に上のドアーレールを半田付けします。

 


2.キャブを箱状に組み立てますが、妻板の板厚が見える向きで半田付けして、歪みが無いように注意しましょう。



3.屋根の組み立てです。原型はベンチレーターを、更新型には更にGPS箱とワイパーボックスを半田付けします。
 更新型にはワイパーも半田付けしてから、写真のように曲げておきます。

 


4.これをキャブ本体に半田付けします。この時に上のドアーレールの上部を斜めにヤスっておくと落ち着きが良いでしょう。
 最後に雨樋を半田付けしますが、写真のようにクランク状になった部分が下のテスリと合うように、雨樋の上方を僅かにカットして調整します。

 


5.ボンネットの組み立てです。ラジエターは原型はそのままですが、更新型はヘッドライトをカットして写真のように仕上げておき、ボンネットと組み合わせます。
 前部の2個の穴はφ0.4ドリルで少し掘っておき、テスリを差し込みやすいようにしておきます。



6.細かい部品を半田付けしていきます。テスリを半田付けしたあと、内側はニッパーでカットしておきます。
 更新型のラジエターですが、赤い丸の位置(横に出っ張った部分の下から5.5mm、後ろから1mmの位置)に塗膜を加味してφ0.6のドリルで穴を明けておきます。この部分に塗装後に消火器を付けますので、消火器の足を差したときに浮かない程度に掘っておきます。



7.これをキャブと組み合わせます。前から・横から見て歪みがないことを確認しておきます。
 ラジエターの上部の斜めの部分にラジエターキャップを瞬間接着剤で止めますが、細い出っ張りがある方が進行方向左側になります。
 また、ラジエター前部のテスリも接着しますが、現物合わせで足をカットして、隙間が1mmほどできるように調整します。

 




第2回

1.まず側台枠の組み立てから始めます。写真の上から順に原型の左右、更新型の左右です。一見同じように見える2枚の板ですが、僅かに切り欠きがあるのが左用です。
 軸受をまず半田付けして裏側を仕上げてから、他のパーツを半田付けしていきます。
 但し、排気管が僅かに軸受のバネ吊りと干渉しますので、このバネ吊りを現物合わせでヤスっておきます。



2.次はエンドビームです。写真の左から順に原型の前後、更新型の前後です。いずれも中央のカプラーを半田付けしてから左右のステップを半田付けします。



3.2枚の床板を写真のように前後左右均等になるように半田付けします。
 そのあと側台枠、エンドビームの順に半田付けしていきます。

 




4.握り棒を半田付けしますが、取付足の部分は僅かに残してカットして仕上げてから半田付けします。
 台枠前部に上下取付板を半田付けしますが、そのコの字の裾は側台枠の下面とツライチになるように留意します。

 


5.最後にステップを半田付けします。前部の左側は写真の位置に、後部の左右は床板とエンドビームに突き当てるようにセットしますが、この後部のステップは正方形(?)ではなく僅かに長方形です。長手方向を上下に向けます。



6.ここで上回りと組み合わせてみます。キャブ後方のビス穴は合っていますか?もしも合っていないようでしたら、床板の長孔を広げておきます。試しに1.4x2mmビスで止めてみましょう。



7.ギヤーフレームは角型スペーサーをまず半田付けしてから前後の板スペーサーを半田付けしますが、その組み合わせ方はバラシ図を参考にして下さい。
 この部分は最後に組み上げる際に意外と力の加わる所ですので、特に後ろの板スペーサーにはシッカリと半田を流しておきましょう。
 試しに動輪を組み込み、押さえ板を1.4x2mmビスで止めてみて、軸箱が上下にガタつかないかを確認します。ガタつく場合はギヤーフレームの下面を僅かに削っておきます。
 いずれにせよ、動輪が軽くギヤーフレームに入るかが重要で、そうでない場合には歪んで組み立てられている証拠です。



8.エンジンは若干の加工が必要です。まず、ミッションの両腕部分をニッパーでカットして写真のように仕上げ、中央部の凹み部分を斜めにヤスっておきます。
 また、ファンが付く部分はφ0.8ドリルでサラっておき接着、エンジン本体もギヤーフレームの前側の板スペーサーに接着します。なお、排気管は写真の程度にカットしておきます。
 モーターにはウォームギヤーを木工用瞬間接着剤で止めますが、写真のような深さになるようにして、これ以上には決してモーターとの隙間を開けないようにします。

 




9.バッテリー箱のテスリは上と横にありますので、上のテスリをカットして仕上げておきます。
 コンプレッサーは写真のように配管の一部をカットして、床板のヘリに載せたときに干渉するプーリーの一部を角型にヤスって逃げておきます。

 


第3回

1.塗装作業です。まずMWC-53 MWプライマーで下塗りをしてから、上まわりと床板まわりを原型はMWC-11 建設省グリーンで、更新型はMWC-18 国交省グリーンで塗ります。
 床板まわりは握り棒をマスキングして、ギヤーフレームやバッテリー箱・コンプレッサーと共にMWC-02 黒で塗ります。
 更にラジエターやHゴム、更新型のワイパーは黒のプラカラーで、後部窓枠(ガラスの窓枠部分)やヘッドライトケースの内側・原型のワイパーを銀色に、ラジエターファンは黄色く塗ります。
 消火器は赤く塗り、銀と黒を差したものをボディーに接着しますが、この消火器の湯口は塗装の際の掴みシロにしておき、塗装後にカットして切断面は赤く塗ると良いでしょう。



2.ヘッドライトにはリムとレンズを接着。ラジエターのプロテクターもボディー色に塗っておいたものをラジエターに下面合わせで接着します。
 ヘッドライトレンズにはクリヤーを差すとグッと良くなるでしょう。



3.黒く塗ったギヤーフレームの動輪軸箱が入るU字部分やヘリの部分は塗装を剥がしておき、半分にカットしたリード線を半田付けしておいた集電ブラシ挟みながら、アイドラーギヤーをバラシ図のように組み込みます。
 動輪を組み込んでから押さえ板を1.4x2mmビスで止めてみて、前の可動動輪が空転気味の場合には、写真のように軸箱にあたる部分に名刺程度の厚みの紙を接着してみると良い場合もあります。

 


4.ここからは知恵の輪のように手順が重要になります。
 まず、モーターの+端子が左側になるように1.4x2mmビスで床板に止め、半分にカットしたリード線を半田付けします。
 モーターに貼られたステッカーは剥がしておきましょう。完成後に窓から見えて目立ちますので。
 次に床板とボディーとをキャブの下で1.4x2mmビスで止めます。
 そして、ギヤーフレームを1.4x1.4mmビス4本で床板に止めますが、エンジン側の部分にはワッシャを挟みます。
 その後に動輪を組み込んでから動輪押さえ板を1.4x2mmビスで止めます。
 この動輪は2種類あり、軸箱が可動する方をラジエター側にセットします。また、その可動方向が上下になるように軸箱の向きを整えます。



5.コンプレッサーやバッテリー箱を床板に接着して完成です。
 残念ながら国土交通省のマークのインレタが見本製作に間に合いませんでしたので、これは届いてから添付してお見せすることにします(^_-)。

 


6.最近になって動力車には担架セットが積まれるようになりました。工作はさほど難しくはありませんので作ってみませんか?
 芯になるのは2mm角棒で、13mmにカットして担架を丸めたような感じで角をヤスっておきます。
 更にラップを被せて瞬間接着剤でコーティングします。
 これはクリヤーオレンジに塗り、担架の棒になる部分は1mm角を15mmにカットして緑色に塗ります。ベルトはコピー用紙を茶色く塗り細く切ります。
 これらを写真のように組み立てれば出来上がりです(^^♪。

 


 
















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