キット組立講座


木曽の酒井製7〜8tDLU


林鉄用DLは大きく分けて3つのクラスがありました。ひとつは5t以下の軽量機、ひとつは10tクラスの重量機、そしてもう一つは7〜8tクラスの中量機です。
 当然その役割分担もハッキリとされていて、軽量機は牽引力を多少犠牲にしても、路盤のしっかりしていなく軽いレールを使用している伐採線などに入って行けるもの。
 逆に重量機は専ら太いレールを敷いた本線で使用され、長大な運材列車の先頭に勇ましく立っていたものです。
 さて、本題である7〜8tクラスの中量機はどうかと云うと、流石に伐採線などには入って行けないものの、割とオールマイティーに使われていたようで、軽量機はまず上松には姿を見せない事から、本線奥地への軽列車の牽引や、上松ヤードの入れ換えなど、神出鬼没の活躍ぶりでした。
 そんな7〜8tDLの魅力をこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。


第1回
1.まず最初にやって頂くことはラジエターの加工です。今回の製品では84号機・107号機・137号機・王滝村有という4つのタイプを模型化しましたので、共通部品になっているものは若干の加工が必要だからです。何卒ご理解ください。107号機と137号機の場合は、左の写真のように、エアー配管が通るようにヤスリで削ってください。そのうえで107号機は向かって左側にコンプレッサー用よろい板を半田付けしますが、この板は若干大きめになっていますので、上合わせで半田付けしてから下と外側をヤスッて仕上げます。なお、84号機と107号機の上部の肩の部分は、写真のように四角く出っ張った部分をなだらかにヤスッておきます。また、総てのタイプ共通でネジ穴のすぐ後ろまで取付板をヤスッておいてください。
 


2.ラジエターとボンネットを組み合わせます。直角になるように留意しましょう。左写真の左は84号機、右は107号機ですが、107号機は全開ですので、枠板を継ぎ目表現の部分に半田付けします。なお、枠板をランナー板から切り離す時には、枠板の高さが一番高くなるような位置でカットしてください。この段階で137号機は向かって右側に菱型の板を半田付けします。

 


3.ボンネットに細かい部品を付けていきます。砂箱蓋のヒンジは内側になりますので、間違わないようにしてください。84号機の排気管は当初の設計では挽物だったのをロストに変えたので、穴が大きめになっています。恐れ入りますが段がついている部分を目安にして半田付けしてください。137号機にはバックミラーが付きますので、写真のようにミラーとステーとを組み合わせたものを半田付けします。




4.次はキャブの組み立てです。まず前妻板のディテールを付けていきます。最初に窓枠を半田付けします。プレス板の窓穴がちょうど合うような位置がガイドです。そうすれば中央の角穴の上に乗るような位置になると思います。84号機と137号機・王滝村有のヒサシは写真のように曲げてから小穴に足を差し込んで半田付けします。107号機のヒサシは複雑な形をしていますのでプレスで曲げてありますので、巾が前妻板と合うように軽く調整してから半田付けします。107号機のタイフォンはランナーを切り離し、妻板の小穴は無視してヒサシの上に半田付けします。妻板から0.5mm以上離しておきましょう。給水口も半田付け。王滝村有はタイフォンやワイパーも付けておきます。後妻板にはまず窓枠を半田付けします(塗装の便を考えて王滝村有Uは塗装後に接着する方が良いかも知れません。作例ではウッカリ付けてしまいましたが)。84号機と107号機・137号機には外観図から寸法を見て札差を半田付け、王滝村有にはやはり外観図を見て丸王プレートとタイフォンを半田付けします。タイフォンは半球状の部分がお椀を伏せたような向きに付けます。
 


第2回
1.出来上がった前後の妻板を側板と組み合わせます。84号機だけは構造がかなり違います。まず、妻板と側板とをL字に組み合わせます。妻板の板厚が見える方向でです。各々は下面合わせです。出来上がったLとLとを組み合わせて歪まないように箱状にします。ドアー後ろのテスリも付けておきます。屋根にはヘッドライトを半田付けして、裏側をツライチにヤスッて仕上げておきます。107号機と137号機・王滝村有は、側板に妻板が入り込むような組み合わせ方で半田付けです。やはり屋根にはヘッドライトをあらかじめ半田付けしておき、裏側をツライチに仕上げておきます。ただし前妻板は窓枠の板厚分だけ凹まないように注意しましょう。107号機はドアー後ろのテスリも付けておきます。





2.84号機には屋根の妻板を半田付けします(前後対称ですからどちらでもOKです)。屋根の板厚が見えるような組み合わせ方です。これをキャブに乗せて内側で半田付け。屋根の妻板が後部窓枠に当たるようにセットします。ここからは4機種同様です。雨樋をエッチング模様に合わせて半田付け(107号機は左右ありますので要注意)しますが、屋根側から半田を流すと良いでしょう。折れ曲がった内側にはドアレールを半田付けします。台枠に付くドアレールとはボルトの数が違いますので、間違わないようにしてください。
 84号機と107号機・137号機のドアーには縁板を半田付けします。先に上下を、そのあとに左右の板を付けるとやり易いでしょう。107号機の左右板は長目なので、余った部分はカットして仕上げます。ハンドルを付けて、裏側をツライチにヤスッておきます(これは王滝村有Uも同様です)。ドアーが出来たら、側板下部の階段状になった部分で半田付けします。これでキャブも出来上がりました。





3.最後にボンネットと組み合わせます。ボンネット後部の凸部をキャブ前妻板の角穴に差し込んで半田付けします。107号機のような全開ボンネットの場合は前妻板に枠板を半田付けします。下部はキャブの下面と合わせてヤスッておきましょう。王滝村有のプロテクターには丸王マークを半田付けしておきます(マークの裏側を半田メッキしておくと良いでしょう)



 




4.107号機には砂箱が付きます。ハイディテールな部品ですが、それゆえに若干工作して頂く必要があります。ボンネット上部の内側に入りやすいように、現物合わせで若干ヤスッて巾を狭めておきます。


5.最後に後妻面へ窓枠をはめ込みます。今回の製品では窓枠を別パーツにしたため、今までのように閉じた状態のみならず、少し開いた状態も表現できるようになりました。枠には溝が彫ってありますから左右にスライドが可能ですので、別に塗装をしておいて、最後にはめても良いのですが、作例では少し開いた状態で固定してみました。窓枠はランナーから切り離し、その部分をヤスリで仕上げ上の溝に入れてから下をスライドさせて入れるような感じで、固着は瞬間接着剤を溝に少し流してやると良いでしょう。「向かって右側の窓枠が手前」が基本です。これで上まわりの工作は完了です。



第3回
1.台枠の工作です。まず台枠に軸受をはめて半田付けします。そしてエンドビームと組み合わせてLの字に半田付けします。写真のように台枠を万力に咥えて、エンドビームの方をピンセットで保持しながらやれば、作業がしやすいでしょう。安物でも良いので卓上万力があると、「第三の手」となって活躍してくれるでしょう。エンドビームに小穴があるタイプは上下の向きを間違えないようにしてください。ここで台枠とエンドビームについて御説明しておきましょう。84号機の台枠は簡単に左右が判るでしょうが、107号機にも左右があります。エアー配管取付用小穴がある方が右側です。137号機と王滝村有には左右がありません。前後のエンドビームについてですが、84号機には前後共に小穴があります。107号機後側だけに小穴があります。137号機には前後共に小穴がありません。王滝村有は前側だけに小穴があります。外観図をよく見て、その組み合わせ方法を間違わないようにしてください。Lの字同士を今度は箱状に組み立てます。歪まないように充分注意しましょう。前後の床板を半田付けします。台枠のコーナーにあたる部分は斜めにヤスッて、ピタリとはまるように仕上げておきます。箱状にしたら、107号機と137号機・王滝村有の台枠では、軸受あたりの裏側にある0.5x1.5mm程度の突起をヤスリ取ります。前側だけを削り取り後側はそのまま残しておきます。

 


2.台枠にエアー配管をします。84号機の前後、107号機の後側、王滝村有の前側はエンドビームの小穴にエアーホースを差し込んで半田付けします。エアーホースの差し込む部分は、2mm程度にカットしておきましょう。84号機の左右、107号機の右側には配管が露出しています。今回の製品ではそれを表現しています。折り曲げ済みの真鍮線と割ピンとで組み立てていきますが、割ピンの足は2mm程度にカットしておきます。エアーホースの根元に接する部分は、現物合わせで0.5mm程度カットしてください。割ピンは配管のエアーホース側の方から差し込んで、台枠に差し込みます。位置が決まったら割ピンと配管とを軽く半田付けします。それから台枠の裏側で割ピンの足を半田付けします。107号機と137号機の前側は仮に上まわりを合わせてみて、ラジエターの脇に開けた切り欠きの位置に合うようにエアーホースを半田付けします。後部は写真のように下側に曲げておきます。137号機と王滝村有の後側はエアーホースのコック部から3mm程度でカットしておき、キャブ後妻板の切り欠きに合うようにエアーホースを半田付けします。107号機と137号機・王滝村有は外観図を見ながらドアレールを半田付けします。
 


3.エンジンの組み立てです。まず上部の湯口を平らに仕上げて、そこにエアークリーナーを半田付けします。次にミッションケースを半田付けします。84号機と107号機は角ばったマニュアル、137号機と王滝村有は丸みを帯びたトルコン付きオートマです。排気管も半田付けしておきます。この部分は半田メッキをしておくと、半田が流れやすいでしょう。ファンは瞬間接着剤で止めても良いでしょう。137号機と王滝村有では前側の床板に引っ掛けるコの字部分の上側を、写真のようにヤスッておきます。エンジン前部にある配管は、エンジンから下に向いて4mmのところでカットしておきます。また、137号機と王滝村有の排気管では上の突起を1mmほどヤスッておきます。

 


4.台枠にエンジン、ブレーキシリンダー、コンプレッサー(84号機を除く)を半田付けします。エンジンは上まわりを被せてみて支障の無い位置に(出来るだけ前の方向で)セットしましょう。ブレーキシリンダーは台枠の中央、集電シュー取付板の直後に、コンプレッサーは内側の配管をカットしたのちに、プーリの位置がエンジン前面のプーリの位置と合うところでセットします。ブレーキシリンダーの後部(細くなっている部分)は上まわりを被せてみて、前妻板と干渉する部分でカットしておきます。





5.ギヤーフレームの組み立てです。まずフレーム板に角スペーサーを垂直に半田付けしてから箱状に組みます。とにかく歪まないように、これが最重要ポイントです。さらに前後のスペーサーを組み込みますが、これらは「ほぞ組み」になっていますので、作業はしやすいでしょう。動輪をはめて押さえ板で仮に止めてみて、動輪が上下にガタつくようでしたら、ギヤーフレームの下面を少しずつヤスッて調整します。但し、削りすぎると動輪の回転が渋くなりますので、充分に注意してください。

 


6.集電シューには半分にカットした配線コードを半田付けしますが、写真のような感じで付けてください。瞬間接着剤でウォームギヤーをギヤー軸に接着してから、モーターの軸に差し込んで瞬間止めします。モーターの軸受に接着剤が流れ込まないように、軸受にはオイルを垂らしておきましょう。

 


第4回
1.塗装に移ります。まずは上まわりから。全体を84号機はMWC-13 黄色に、107号機と137号機・王滝村有はMWC-02 ブラックに塗ってから屋根をマスキングして、107号機はMWC-03 クリームに、137号機はMWC-01 グリーン、王滝村有はMWC-15 レッドに塗ります。107号機のような全開ボンネットの場合は、キャブ前面に付けた枠板の内側もマスキングしておき、黒いままにしておくのを忘れないようにします。

 


2.排気管・ヘッドライトケース・ラジエター・タイフォンを黒く塗り、Hゴム窓にはグレーを差します。王滝村有Uの後妻面窓枠はクリームに塗ります。ヘッドライトの内側には銀を塗っておきましょう。ラジエターのプロテクターは、84号機と107号機・137号機は黒に、王滝村有Uはレッドに塗り、さらに丸王マークを黒に塗ってから、王の文字を磨き出します(これは後妻面の丸王マークも同じです)。84号機と107号機・137号機の札差は白く塗ります。137号機と王滝村有はオイルクーラーを銀色に塗っておいたものをラジエターに接着してから、この段階でプロテクターをラジエター前面に接着します。




3.台枠と組み合わせたときに、その上に出る部分を台枠と同じ色に塗り分け、MWC-09 クリヤーでオーバーコ−トをして、MWC-17 ウェザリンググレーで軽くウェザリングします。写真のように、別売のアルプスモデル製インレタでナンバーを入れると良くなるでしょう。





4.下まわりは全体を137号機と王滝村有は黒に塗り、84号機と107号機はMWC-04 マルーンに塗ってからエンジン(ステイも含めて)とコンプレッサー・ブレーキシリンダーを黒に塗ります。黒く塗っておいた朝顔カプラーにピンを差してからエポキシ系接着剤で止めて、クリヤーラッカーを吹き付けて艶を整えておきます。137号機ではラジエターファンを警戒色の黄色に塗ってみましたが、組み上がった時にチラッと見える感じが良くなりました。




5.塗り上がったらボンネット内部に黒く塗っておいたウェイトや砂箱をエポキシ系で接着します。107号機の砂箱はちゃんとボンネットの上部にはまっていますか?はまっていないと、下の方にせり出してミッションと干渉しますので、要注意です。接着剤がはみ出さないように注意しましょう。接着剤が乾くのを待っている間に、動力部分を組み立てましょう。まず、ネジ穴が凹んでいる部分にネジの頭が埋まるような方向で、モーターを取付板に1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。

 


第5回
1.いよいよ最終段階です。まず台枠に2種類の絶縁ワッシャを介して集電ブラシを1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。集電ブラシはハの字に少し開いておきましょう。次にアイドラーギヤーをシャフトを通して組み立てておいたギヤーフレームを1.4x2mm(大頭)ビスで床板に止めます。



2.モーターを床板に1.4x2mm(大頭)ビスで止めますが、ウォームギヤーと動輪のギヤーの噛み合わせは少し緩めにしておくのが良いでしょう。モーターに番号が印刷されている方が前に来ます。左側の集電ブラシからの配線がモーターのマイナス端子に、右側のがプラス端子に配線します。なお、可動軸箱式動輪は軸が上下動する方向で前側にセットします。



3.最後にラジエターの部分で1.4x2mm(大頭)ビスで止めて出来上がりですが、107号機の砂箱の配管は現物合わせで動輪や集電ブラシと干渉しないように曲げてみてください。さあ、出来上がりました。貴方ならどんな列車を牽かせたいですか?





















「木曽の酒井製7〜8tDLU」製品の御案内

「MWカラー」の御案内