標茶の釧路製自走客車
標茶線は釧路本線標茶駅とは川を挟んだ開運町から中御卒別（ナカオソツベツ）を経て、上御卒別（カミオソツベツ）と沼幌に分岐するYの字の路線で成り立っていました。あたり一面は殆どが根釧湿原の中にあり、その開拓民の足として活躍したものです。
そんな標茶線に昭和33年に初めて投入された自走客車がこの釧路製です。
当初は大きなVの字の白い飾り帯でしたが、後になって小さなVの字に変わっています。
真紅に彩られながらも野暮ったい正面の表情、そしてその下に装備されたスノウプロウ、珍しくガーランド型通風器を載せた姿などが魅力の釧路製。
そんな魅力あふれる釧路製自走客車の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。
第１回
１．まず、車体に窓枠を半田付けします。窓枠の四角い穴の上辺が、プレスで抜いた四角い穴と揃う位置になるように注意しましょう。次にドアーを半田付けしますが、片方のドアーは窓枠と若干干渉しますので、ヤスって仕上げてからにします。運転席横の窓枠はサッシ色なので塗装後に接着します。
車体アングルは窓枠の下辺に突き当てるようにして半田付けします。写真のようにネジ穴のある部分だけに半田を流しておけば良いでしょう。
２．次に妻板を半田付けします。まず天辺の部分でチョン付けして、裾部分でもチョン付けして、その間に半田を流すようにしましょう。実は作例では手抜きをしたため、側面に半田が流れておらず、これは塗装後にも目立つようになってしまいました(^-^;;。皆さんは手抜きなどせず、シッカリと半田を流すようにして下さい。
車体の最後にベンチレーターを瞬間接着剤で止めておきますが、バリは綺麗に仕上げてからにしましょう。
３．ギヤーボックスを組み立てます。まず側板に角型スペーサーを半田付けして（垂直になるように留意）、スペーサー板を挟みながら左右を歪みなく組み合わせます。この段階で動輪を組み込んで動輪押さえ板で仮止めして、動輪の軸箱が上下にガタが無いかをチェックします。もしもガタがある場合にはギヤーボックス下面を僅かにヤスって、ガタが無くなるようにします。但し、ヤスり過ぎには注意しましょう。軸箱に負荷が掛り動きが悪くなりますので。モーター軸の入る穴は左右に若干ヤスっておき、ウォームギヤーが入りやすいようにしておきましょう。
付随台車（ネジ穴のある方）の軸穴には軸受メタルを半田付けしますが、メタルの先っぽにバリがある場合はヤスっておいて下さい。
４．床下機器を取付板に半田付けします。まずエンジン・エアーフィルター・コックの順に付けてから、他の機器は瞬間接着剤で止めていきます。
５．床板にはボルスターや床下機器取付板座を半田付けして、さらにスノウプロウを床板の切欠きに引っ掛けるようにして半田付けします。
そして、さっき出来上がった床下機器ユニットを1.4x2mmビス（小頭）で止め、ウエイトを1.4x4mmビスで止めます。
第２回
１．塗装に掛かります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、床板から下はMWC-02 黒で塗り、好みにより若干のMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリヤーで艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーで軽く化粧しておきます。
車体はプライマーを塗ってからMWC-05 グレーで全体を塗り、屋根部分をマスキングしてからMWC-15 赤で塗ります。塗り分けの位置は前後方向が妻板の継ぎ目、左右は雨樋の上です。
２．車体が塗り上がったら、帯のディカールを水に浸して転写してから、マークソフターなどで密着させてやります。カッターで切り出す時には出来るだけ際で切るようにしましょう。転写する上下方向の位置は車体のリブの上です。
Hゴム部分にはグレーを差しておき、運転室横の窓枠を接着しますが、所定の位置に入りにくい場合は前後を少しヤスっておきます。なお、引き違いのこの窓は通常とは逆に前側が手前になります。
ワイパーはあらかじめブレードの部分を直角に曲げておき、根元を直角に曲げて穴に差し込みエポキシ系接着剤で止めます。固まるまでの間は写真のように爪楊枝などで固定すると良いでしょう。
ヘッドライトケースの内側はエナメル塗料の銀色に塗っておき、ヘッドライトにはライトリム＆レンズをエポキシ系接着剤で止めます。テールライトは穴にケースを差し込み、さらにレンズを差し込んでエポキシ系接着剤で止めます。
３．カプラー座からから先をプラカラーの黒で筆塗りします。見本では敢えて好みでエンドビームから黒く塗ってみましたが、本来はカプラー座から先が黒です。この段階で若干のMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリヤーで艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーで軽く化粧しておきます。
４．プラ板などで窓ガラスを貼ったら、ドアーガラスの内側には保護棒をゴム系接着剤で止めます。この保護棒はエッチングの裏側（腐食でテーパーが付いている方）を表にすると細く見えて良いでしょう。
５．別売のアクリル製窓ガラスを使う場合は、あらかじめ裏側にデフロスターをゴム系接着剤で止めておき填め込むと良いでしょう。このデフロスターも保護棒同様に裏側を表にします。
第３回
１．さて、最終組立です。ギヤーボックスにアイドラーギヤーをプラシャフトで止め、バラシ図を見ながら1.4x3mmビスで集電ブラシと台車枠を止めますが、ギヤーボックスの動輪軸箱が入るUの字型の部分の塗装は剥がしておきましょう。また、集電ブラシの向きは間違えないように注意しましょう。
２．モーターの軸受にはオイルを差しておき、軸の先端に僅かなゼリー状瞬間接着剤を塗って固定します。ゼリー状を使う理由は、普通の瞬間接着剤よりも僅かに硬化時間が長いためで、差し込んでいる間に硬化せずに作業が出来るからです。またその先には同様にしてウォームギヤーを固定します。
ギヤーボックスにはクランク状のボルスターを段付きビスで止めておき、モーターを1.4x2mm大頭ビスで仮止めしますが、マシマのラベルがボルスターと反対側になるように留意しましょう。動輪を組み込んでみてギヤーの噛み合わせが最適な位置を見つけてからこのビスを本止めします。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めます。
配線コードは24cmありますので、まずそれを半分にカットして、更に35mmと85mmにカットします。短い方のコードを集電ブラシとモーターラグに半田付けします。
３．付随台車はバラシ図を見ながら1.4x3mmビスで組み立てますが、台車枠の軸受部分はφ1.1mmのドリルで揉んで塗装を剥がしておきましょう。
動力台車のボルスターは1.4x2mm小頭ビスで床板に止め、コイルスプリングを挟んだセンターピンで付随台車を止めてから、長い方のコードで配線をします。そしてボディーと床板を1.4x2mm大頭ビスで止め、ヘッドライトレンズにはプラカラーのクリヤーを差し、テールライトレンズにはクリヤーレッドを差して出来上がりです！
