キット組立講座

杉沢の酒井製5tDL(前期型&後期型)


杉沢のDLは過去、杉沢の協三製4.8tDLを製品化しましたが、今回はお馴染みの酒井製5tDLです。
 ただ、同じサカイでも屋根上に水タンクが乗り(これは急カーブを通過するため、レールに散水する必要があるからです)木曽のものとは風情が異なり、それがまた魅力にもなっています。
 しかも今回は前期型と後期型を同時にリリース。その違いを楽しむ事ができるように演出されています。
 そんな「杉沢のサカイ」の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まずラジエターの加工からです。このラジエターブロックは「助六の5tDL」などと共通部品になっていますので加工が必要になります。写真で赤く塗った肩の部分に四角い突起がありますので、これをヤスって仕上げます。


2.ボンネットにラジエターを半田付けしますが、写真のようにボンネットを万力で咥えると両手が使えて良いでしょう。慎重に直角になるように半田付けしましょう。あとはボンネットに細かい部品を半田付けしていきます。写真の左側が前期型、右側が後期型です。
 


3.キャブの組み立てです。まず前妻板にヒサシや窓枠などを半田付けし、後妻板にはロスト製窓枠を半田付けします。前側妻板の窓枠は、ヒンジの部分をランナーから切り落とさないように注意しましょう。ヒンジは0.3mmほど残しておきます。後妻板の窓枠は歪みがないか修正してから半田付けします。前後妻板が出来上がったら側板に半田付けして箱にします。
 


4.ドアーはまず短い方の縁板を上下に半田付けしてから側面をツライチに仕上げ、それから左右の長い縁板を半田付けします。最後にハンドルを半田付けしてから裏側をツライチに仕上げておきます。前期型には意味不明(^^ゞの板が付きますので、これも縁板の内側に半田付けしておきます。


5.そのドアーは側板の下部(鍵型に欠き取られた部分)で素早く半田付けしますが、その側板下部とドアー下部とはツライチになるように留意しましょう。その後に雨樋や屋根上のヘッドライト、前期型の場合は水タンクも半田付けしておきます。
 出来上がったキャブとボンネットとを組み合わせて半田付けしまが、キャブに対してボンネットが直角になるように留意しましょう。上まわりの半田付けが終わったら、後部ガラスの窓枠をロスト製窓枠に瞬間接着剤で止めます。この際にロストの窓枠に付いた溝にガラス窓枠がスッと入るように注意深く上下をヤスリって仕上げます。作例では窓を開いた状態にしてみましたが、お好みで閉じた状態にするのも良いでしょう。
 


第2回
1.下まわりは主台枠の組み立てからです。杉沢のDLはエアーホースが付いていなかったので、エンドビームの穴に付属の真鍮線を差し込み半田付けして仕上げておきます。


2.主台枠に軸受を半田付けします。ロストワックスとりわけロスト同士を半田付けする際は、半田を流す部分をキサゲブラシなどでよく磨いておき、ステンレス用フラックスを水で薄めたものを使用すると良いでしょう。出来上がった主台枠をエンドビームと組み合わせてL字にします。落ち着いて直角になるように半田を流しましょう。更にこれを組み合わせて箱状にしますが、四方から透かし見て歪みがないように留意しましょう。
 エンドビーム上に付いている「エンジン始動用クランク受」は後部には必要ありませんので、台形になっている所から上はカットして仕上げておきますが、前期型では何故か前方もこの部分がありませんので、後方と同様にカットして仕上げておきます。
 そして前後の床板を半田付けします。幅方向はロストの縮み具合によって一定ではないので、現物合わせでヤスッてピッタリと合うように仕上げておきます。実は作例の後部床板は、前後の向きを間違えてしまいました(^^ゞ。穴が縁に寄ってる方が前側ですので、皆さんは間違わないようにして下さい。
 


3.エンジンの下部は写真のようにオイルパンにあたる部分を平らにヤスっておいてからファンを瞬間接着剤で着けます。排気管は写真のように注意深く曲げておいて下さい。
 


4.左から順に・・・。まず片側のギヤーフレームに角型スペーサーを2個垂直に半田付けします。次にもう一方のギヤーフレームを半田付けして箱状にして、更に上方にスペーサー板を半田付けします。ここで一番大切な点は、歪みなく組み立てるということです。スペーサー板は水平になっていますか?いま一度確認をしておきましょう。さて、これで塗装作業に入ります。


第3回
1.まず当社の説明文に「プラカラーを塗ります」という言葉がときどき出てきますが、これは塗料の性質を利用したテクニックです。つまり塗料には強弱があって、ラッカー>プラカラー>エナメル系プラカラーとなっています(アクリル系は全く別の性質を持っているので、この話からは省きます)。つまりラッカーで塗った上にプラカラーを塗って、もし失敗してもプラカラーシンナーで消すことが出来ます。Hゴム表現などではみ出したときなどに便利ですね。ただ残念なことにプラカラーの被膜は弱いので、触っているうちに剥がれてしまいます。しかし、この上からクリヤーラッカーを吹き付けておけば、その心配もなくなります。「クリヤーでオーバーコートしておきます」というのはそのことですが、このクリヤーにももうひとつの利点があります。フラットベースを混ぜた艶消し塗料というのは被膜が弱くなってしまいます。ですから極力艶ありの状態で塗装を進行していき、最後に艶を揃える意味で、フラットベースを少し混ぜて色調を落ち着かせたクリヤーを塗ると良いのです。ウェザリングはこの後ですると良いでしょう。

2.ということで塗装に移ります。杉沢のDLは木曽のストライプ付きと違って簡単です。前期型は上下ともにMWC-01 王滝営林署DL用グリーンを、後期型も上下ともにMWC-16 沼尻のDC12用ダークブルーを塗ります。ラジエターとHゴムは黒の、ヘッドライトケースの内側は銀色のエナメル塗料で塗っておきます。
 ラジエター保護枠はボディーと同じ色に塗っておき、エポキシ系接着剤で止めます。後期型の水タンクはライトグレーですので、MWC-05 上運営林署DL用グレーで別に塗っておき、エポキシ系接着剤で止めますが、湯口を短くカットしてから、写真のようにボディーにあてがってみて、配管の具合を確認してから塗装します。
 ヘッドライトレンズとリムを組み合わせたものをヘッドライトケースにエポキシ系で接着します。この段階でなぜレンズを入れるのかというと、もしも接着剤がはみ出したとしても、クリヤーをあとで吹き付ければ目立たなくなるからです。
 


3.8cmある配線コードはまず半分にカットして、集電ブラシに半田付けします。ギヤーフレームは黒く塗り、動輪を組み込んでみてきついようでしたら軸箱が入るU字型の部分はカッターで塗料を剥がしておきます。大きなアイドラーギヤーをプラ製アイドラー軸で止めますが、間に細かい部品が入りますので、なくさないように注意しましょう。集電ブラシ両端のポチっと出た部分は外側を向いていますか?Eリングで止めてみてギヤーの回転が固い場合には、ギヤーフレームが少し歪んで組み立ててしまった証拠ですので、大きなアイドラーギヤーの外側に付くプラワッシャーをカッターで少しケズって対処しましょう。ヤスリですと摩擦熱でギヤーにバリが出てしまうので、ヤスリで削ってはダメです。小さなアイドラーギヤーには金属製のアイドラー軸を使います(写真で集電ブラシの下方に小さなピンがありますが、この製品では使いません)


4.動輪は2種類あり、ギヤーが厚い方が可動軸動輪です。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、可動軸の方は前側になるように、しかも軸箱の向きに注意しましょう。ちゃんと動輪は上下方向に可動しますか?そうでなければ軸箱を回転させて、前後方向ではなく上下方向に可動するようにセットしましょう。集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めますが、小さいアイドラーギヤーのEリングは開口部が下側になるようにしましょう。


5.ウォームギヤーを瞬間接着剤で止めたアダプターをモーターの軸に瞬間接着剤で止めますが、写真のように隙間と出っ張りが同じようになる位置で固定します。なお、このような作業には硬化時間が比較的長い「木工用(ゼリー状)瞬間接着剤」がお勧めです。
 ギヤーボックスと台枠・モーターを組み合わせます。ギヤーの噛み合わせを調整しながらモーターは1.4x4mm小頭ビスで止めますが、その際に動輪押さえ板を一旦外すとやり易いでしょう。モーターの+端子は左側にセットしておき、写真のように集電ブラシと平行に配線します。
 


6.上まわりには別に黒く塗っておいたエンジンをエポキシ系で接着しますが、ボンネットのウエイトが僅かに干渉しますので、写真のようにカッターで削いでおいて下さい。
 エンジンはラジエター後方のネジ穴のある板の上に乗せて接着しますが、水平になるように特に留意しましょう。
 


7.窓ガラスをプラ板などで切り出して貼り、最後にレンズにプラカラーのクリヤーを差して画竜点睛としますが、乾くと若干縮みますので、乾かしては塗りを3回ほどやると、まさに生きたレンズになります。
 上まわりとは台枠用ウエイトを挟んで1.4x5mm大頭ビスで止めて出来上がりです。
 














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