キット組立講座



井笠のホジ12

「シリーズ井笠」の最初を飾るのがこの「井笠のホジ12」です。小さなHOナローといえども決して手抜きをせず、精密な部品の積み重ねによる重厚なるクオリティーはきっと手にされた皆さまの御満足を得られるものと思います。そんな魅力を画面上でお楽しみください。

第1回
1.まず最初に側板に窓枠板を半田付けします。側板と窓枠板のドアー脇のテスリの穴を合わせるようにしますが、窓枠板の上辺は側板の上辺から1mm下がったところになりますので、側板の裏側の上から1mmの所にあらかじめ線をケガいておくと良いでしょう。この半田付けの位置は結構重要なポイントですので、傾いたりしないように注意して下さい。もしここで斜めになってしまったら、車体に対して床板も斜めになってしまいます。妻板にも窓枠を半田付けしますが、凹スジをあらかじめ谷折りにしておき、中央部と両脇で半田付けします。


2.その窓枠板に突き当てるようにして上下取り付けアングルを半田付けしますが、向きがありますので要注意です。アングルの中程にある切り欠きが、妻板に切り欠きの無い方に寄るようにセットします。妻板の窓枠には凹スジをあらかじめ谷折りにしておいたヒサシを半田付けします。


3.窓下にはウィンドウシルをドアーの右側から半田付けしていき、最後に向こう側のドアーの左側まで行ったときに、余剰になった部分をカットして半田付けします。窓上のウィンドウヘッダーも同様にドアー上から始めて、ドアー左部分で長さ調節をします。雨樋は上下方向中程の段になった部分が側板の上に飛び出すような位置でドアー上から始めて、正面の真ん中の部分で左右を合わせます。
 ドアーステップはドアーの厚みにステップの取付面段差が合うようにして半田付け、ヘッドライトケースやテールライトケースは所定の穴に差し込み、窓枠テスリは側板のガイド溝に嵌るようにして半田付けします。なお、末期になるとこのテスリは取り外されてしまいましたので、それを表現する場合にはガイドのエッチングを削り取って下さい。切り欠きのある方の妻板左右にはデッキドアーのヒンジを半田付けしますが、C型の開口部が内側を向くようにセットします。


4.屋根板はボディーに対して若干ルーズに嵌るように、僅かに長さを短くヤスっておき、ベンチレーターを半田付けします。ここで屋根板を側板に半田付けしても構いませんが、塗り分けの便を考慮して付けずにおきます。ただ、塗装後に填め込むので塗料の厚みを考えて、若干ルーズになっていた方が良いでしょう。これで上まわりの組み立ては完了です。
 


第2回
1.今度は下まわりの組み立てです。デッキはロストワックスで殆ど形になっていますので、作業は簡単です。まずデッキにラジエターを半田付けしますが、分解図に図解してあるようにボス部分は削り取ってしまい、半田付けに際しては向きに注意しましょう。デッキ上には枠やドアーを半田付けしますが、所定の穴はφ0.4のドリルでサラっておくと鋳造の際の被覆が剥がれて半田が流れやすくなるでしょう。
 


2.次は床板まわりです。床板にはボルスターやエンジン取付板を止めるためのリングを半田付けしますが、床板の表裏は間違わないようにしましょう。


3.エンジンの組み立てです。まずエンジンマウント枠にエンジンのステイを引っ掛けるようにして半田付け。次にミッションのステイを枠に載せるようにして半田付けします。あらかじめエンジンとミッションの接合面には半田メッキをしておき、両者を枠に半田付けしてから、サッと合わせ目に半田を流す方法が良いでしょう。出来あがったエンジンまわりを取付板に半田付けしますが、表裏や向きには注意しましょう。ミッション側が長穴になります。


4.床板にはラジエターとカプラーを半田付けしますが、ラジエターの向きには注意をしましょう。エンジンミッションのドライブシャフトは、細い部分で2mm程度の所でカットしておきます。エンジンユニットは1.4x2mm(小頭)で床板に止めます。
 


5.付随台車の軸穴には軸受メタルを半田付けしますが、メタルの先っぽにバリがある場合はヤスっておいて下さい。動力側の台車(実車はこちら側が付随台車ですが)の排障器は左右各々をカットして仕上げておきます。


6.ギヤーボックスの組み立てです。まず側板に角型スペーサーを半田付けして(垂直になるように留意)、スペーサー板を挟みながら左右を歪みなく組み合わせます。この段階で動輪を組み込んで動輪押さえ板で仮止めして、動輪の軸箱が上下にガタが無いかをチェックします。もしもガタがある場合にはギヤーボックス下面を僅かにヤスって、ガタが無くなるようにします。但し、ヤスり過ぎには注意しましょう。軸箱に負荷が掛り動きが悪くなりますので。これで下まわりの組み立ては完了です。
 


第3回
1.さて塗装作業に入ります。床板・台車・ギヤーボックスまわり・ウエイトをMWC-02で黒く塗り、デッキはMWC-05でグレーに、屋根板はMWC-05に黒を混ぜたダークグレーに塗り、ボディーやテスリとドアーハンドルはMWC-13で黄色く塗ります。デッキはグレーが乾いてから枠をマスキングして黒く塗り、最後にテールライトの反射板を赤く塗ります。ボディーはウィンドウシルヘッダーを含めて窓まわりをマスキングしてMWC-14で緑色に塗ります。この見本ではボクの好みで直線の塗り分けにしましたが、時代によっては金太郎の腹がけタイプの塗り分けもありましたので、これは皆さまのお好み次第ということで(^^♪。


2.別に塗っておいたテスリやドアーハンドル、屋根板をエポキシ系接着剤で止めてからヘッドライトケースの内側に銀色を差し、ヘッドライトレンズ&テールライトレンズを接着します。その後に別売のアルプスモデル製インレタを転写してからクリヤーラッカーでオーバーコート、そして軽くウェザリングでお化粧をします。最後にクリヤーとクリヤーレッドのプラカラーをレンズに塗って塗装作業は完了です。


3.モーター軸の軸受け部にはオイルを差しておき、ウォームギヤーとジョイント棒を瞬間接着剤で組み合わせておいたものを軸に差し込んで接着します。動力側の集電板には2本あるうちの短い方の配線コードを半分にカットして写真のように半田付けをして、両脇は写真のように少し曲げておきます。
 


4.動力側台車の組み立て手順は、まずギヤーボックスにアイドラーギヤーを組み込んでからセンターピンでボルスターに止めます。次にアイドラーギヤーとの噛み合わせ具合を確認しながらモーターを1.4x2mmビス(大頭)でギヤーボックスに止めて、集電板と台車枠をワッシャーを挟みながらギヤーボックスに1.4x3mmビスで止めます。なお、モーターのラベルはウエイト側になるように留意します。この段階で電気を繋いでみて回転をチェックしておきます。
 付随台車の組み立て手順は、あらかじめ長い方の配線コードを半分にカットして台車のラグ板に半田付けしておき、これを介しながら1.4x3mmビスで軽く図のように止めます。車輪を組み込んで軽く回るような位置でビスを固く止めます。なお、台車の軸受け部はφ1.1のドリルで軽く揉んで塗装を剥がしておきましょう。最後にスプリングを組み込みながらセンターピンで止めます。
 


5.床板にはウエイトを1.4x5mmビスで止めて、前後の配線を同じ側のモーターのラグ板に半田付けします。因みに写真で向こう側のモーターのラグ板はプラスです。


6.デッキは床板に1.4x2mmビスで軽く止めておき、上下を組み合わせた後に固く止めます。


7.さあ、これで出来あがりました。小さな車体ながらもボギー式のこのホジ12。丸っこい姿なので余計に小さく見えますが、深いヒサシや前後で違う表情など、なかなか侮れない千両役者です。
 




ホジ12 at Kitagawa Station











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