キット組立講座

杉沢の協三製4.8tDL


杉沢森林鉄道のDLの特徴は何と云っても屋根上に載せられた大きな砂箱と水タンク。いかに過酷な条件下で使われていたのかが窺われます。しかし趣味的に見れば、それがこの機関車の最大の魅力になっており、あたかも重油併燃タンクを背負い、集煙装置を着けた矢岳越えのD51にような重装備感を演出してくれています。
 そんな「杉沢の協三製4.8tDL」の魅力をこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まずボンネットにラジエターを半田付けしますが、その前にラジエターを若干加工して頂きます。裏側の丸いファンカバーを1mm弱薄く削って頂くのと、ネジ穴がある板をネジ穴ギリギリまで削って、その板の上の方の後方を斜めに削っておいて下さい。また、ボンネットと組み合わせる場合には、その段差が若干大きいので、ラジエターは少し浮き気味にして、ボンエットの上面とツライチに揃うように留意して下さい。ロストワックスの半田付けには、ステンレス用フラックスを水で薄めたものを使うと、半田の流れは良くなるでしょう。
 


2.ボンネットに細かいパーツを半田付けしていきます。バックミラーは丸と長丸2種類がありましたので、お好みで選んで下さい。また、砂箱蓋の向きには注意して下さい。小さな突起(ヒンジ)がある方がボンネット中央寄りになります。それぞれを半田付けをしたら、ボンネットの内側に出っ張った部分はカットしておきましょう。


3.キャブの組み立てです。前妻板には窓枠とワイパーを、後妻板には窓枠を半田付けします。これらを側板に半田付けしたら、側板から僅かに出た妻板の下部をツライチに仕上げておきます。更に協三らしさを表現するために、キャブ四隅のコーナーを幅の広い平ヤスリで気持ちRに仕上げておきましょう。
 


4.雨樋は左右に注意しながら屋根の肩の部分に半田付けをします。ドアーにはテスリを半田付けして裏側をツライチに仕上げたものを側板に半田付けしますが、ドアー下部の戸車カバーの下部が側板の裾に合うような位置にセットします。作例ではドアーの前側だけに半田を流しましたが、それで充分でしょう。


5.屋根上の工作です。まず砂箱に水タンクを半田付けしますが、ハッチは後方にくるようにします。これを屋根上に半田付けします。
 


6.そしてキャブとボンネットとを組み合わせて半田付けします。ボンネットの裾はキャブの裾とツライチになるように仕上げておきます。


第2回
1.主台枠を組み立てます。まずLの字に組み合わせておき、さらに四角く組み立てていきますが、歪みの無いように留意してじっくり落ち着いて組み立てましょう。そこに前後の床板を落とし込むようにして半田付けしますが、幅方向は現物合わせで少しヤスッてピッタリと嵌まるようにしましょう。前の床板は切り欠きのある方が左側になります。
 


2.前の床板のスリットには前用エンジン座を半田付けしますが、スリットにボスを嵌め込んで出来るだけ後ろ側にセットするように留意します。次は後ろ側のエンジン座ですが、台枠の「協三工業」の文字と前側のバネカバーとの真ん中より少し後ろ側に半田付けします。仮にエンジンを載せてみてちょうど良い場所を掴んでおきましょう。但し、エンジン前側のステイでアングル状になってる部分は座の上ではなく、ステイの前側だけが座に乗るようにします。
 




3.ドアーレールは台枠の後部に半田付けしますが、その前側の出発点は後部動輪のバネカバーの前端にセットします。


4.次にエンジンをエンジン座に半田付けします。半田付けをしたら上まわりを載せてみて、ボンネットの両肩と干渉しないように後部の両腕上部をヤスッておきます。また、排気管は1mmほどカットしておきます。ファンはエンジンの方の穴をφ0.8mmドリルでサラッておき、瞬間接着剤で止めれば良いでしょう。ここで上まわりと組み合わせてみて、どこか干渉していないか、を確認しておきます。感じが出てきましたネ(^^♪。
 



5.ギヤーフレームを組み立てます。角型のスペーサーは2種類ありますので前後を間違えないようにして下さい。前側がネジ穴のある方です。その後でフレーム取付板を半田付けします。これも表裏ありますので注意して下さい。


第3回
1.塗装に掛かります。全体にプライマーを下塗りしてから、ギヤーフレーム・ウエイト(半分にカットしておきます)・動輪押え板・モーター台はMWC-02 王滝営林署DL用ブラックで塗り、ボディーとラジエター保護枠はMWC-01 王滝営林署DL用グリーンとMWC-07 沼尻新塗装用ブルーを1:1で混ぜたものを塗ります。ただし、旧塗装の姿を再現したい場合は、ボディーも台枠もMWC-01 王滝営林署DL用グリーンで塗ります。ラジエターのコアの部分はプラカラーの黒を塗り、布で出来た砂撒配管の途中部分はプラカラーの「デッキタン」を塗ってみました。ヘッドライトケースの内側は銀色のプラカラーで塗っておきます。こういう部分には爪楊枝を使うと良いでしょう。ラジエター保護枠をエポキシ系接着剤で固定して、Hゴム窓にはグレーを差して付属のディカールを転写したあと、好みでWMC-10 フラットベースを加えたWMC-09 クリヤーを吹き付けて艶具合を整えます。


2.台枠は市販の「20系客車用青色」に塗ってから軸箱周りはプラカラーの黄色を塗ります。青く一緒に塗られていたエンジンは、プラカラーの筆塗りで黒く塗ってやり、好みでWMC-10 フラットベースを加えたWMC-09 クリヤーを吹き付けて艶具合を整えます。


3.黒く塗ったギヤーフレームにギヤーを組み込んでいきます。動輪を仮に組み込んでみて、軸箱がきついようでしたら、U字型になっている部分の塗装をカッターで剥がしておき、それでもまだ渋いようでしたら、その縁の部分表裏も塗装を剥がしておきます。またアイドラーギヤーを組み込んで軸にEリングで止めてみて、ギヤーの動きが渋いようでしたら、ギヤーを少し薄くしてやりますが、これはヤスリで削るのではなく、必ずカッターで削るようにしましょう。ヤスリで削るとどうしてもその摩擦熱でプラが溶けてバリになるからです。集電シューの突起は外側を向くように留意しましょう。


4.ウォームギヤーには軸スペーサーを瞬間接着剤で組み合わせて、それをモーター軸に瞬間接着剤で止めますが、モーター軸の先端部がウォームギヤーの穴から1mmほど引っ込むような位置で固定します。


5.ボンネット内には半分に切って黒く塗っておいたウエイトをエポキシ系接着剤で止めます。ヘッドライトリムやレンズを接着して、タミヤのウェザリングマスターでお化粧をしたところです。「オイル」をブラシを使ってウェザリングをすると、ほど良い金属質の感じが出るでしょう。
 


6.モーターは文字が書いてある方を後ろ側にして、モーター台を挟みながら1.4x4mmビス2本で床板に固定します。大体長穴の真ん中あたりで仮に固定してから、ギヤーフレームを1.4x6mmビスで床板に止めてから前方を1.4x1.4mmビスで止めます。この状態でウォームの噛み合わせ具合を確認して、きつかったり緩かったりしたら、モーターの位置を調整します。配線コードは半分より少し+−のところでカットして写真のように配線します。電気を通してみて具合が良かったら、このモーターの位置を記憶しておき、ギヤーフレームを一旦取り外してモーターを止めているビスを緩めます。この状態で上まわりと下まわりとを組み合わせてから、モーターを元の位置で固定して、ギヤーフレームも取り付けます。最後にラジエターの部分で1.4x3mmビスで止めて出来上がりです。
 


7.追って発売になる「杉沢の鋼製運材台車」と組み合わせて、秋田杉を山から運び出す情景を描いてみて下さい(^^♪。







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