キット組立講座

酒井製3.5tGL


酒井製のDL/GLの中で最小クラスのこの機関車。小さいながらも5t〜10tクラスと同じ流儀で作られており、軸受からイコライザーへの仕組みなどは、さながら「木曽のキャブフォワード」を見るかのようです。
 そんな「酒井製3.5tGL」。模型製品でもこの小ささながらも本格的な部品構成で、薄さを表現するための窓枠やドアーを除いて、エッチング処理されたプレス部品とディテール豊かなロストワックスの組み合わせ、という手抜きの無いものになっています。
 小さいながらも重厚な作りの魅力をこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まず表現豊かなロストワックス製ボンネットの脇に、点検扉を半田付けします。プレス製の点検扉は小さく出っ張りがある部分が後ろ下側になります。
 それからドアーハンドルを半田付けして、裏側に出た湯口をカットしておきます。排気管は写真のように上部を少し前側に曲げておきます。
 


2.前妻板にはワイパーの穴を揃えるようにして窓枠を半田付けします。写真のように少し開いた状態にすると動きが出て感じが良いのではないでしょうか?窓枠中央の凹みでカットして「片目」だけ少し開ける、などというのも個性が出て良いかも知れませんネ(^^♪。そしてワイパーと給水口を半田付けします。これらも裏側はカットしておきます。ヘッドライトケースはまだこの段階では着けない方が良いでしょう。
 後ろの妻板と共に側板と組み合わせて半田付けしますが、各々下面がツライチに合うように留意します。後ろの妻板にはまだ部品は着けない方が作業はやりやすいでしょう。
 


3.ドアーの組み立てです。エッチング抜きのランナーからドアーをカットして、最初に上下の縁板をドアーの板厚に引っ掛けるようにして半田付けして、その後に左右の縁板を同様に半田付けして、最後に平ヤスリで仕上げておきます。ドアーハンドルは半田付けしてから裏側をツライチに仕上げておきます。


4.ドアーは側板の下面から0.3mm(ちょうどドアー縁板の板厚と同じです)上がったところに下面がくるようにして側板に素早く(折角付けた縁板が外れてしまわないように)半田付けをします。ドアーの前後方向の位置決めは、後方に1mmほどスペースがあくようにします。作例ではドアーの後方だけに半田を流しましたが、小さなものだけにこれだけで充分でした。その後に雨樋をドアーの上面に乗せるような形で側板に半田付けします。
 後ろの妻板に窓枠を半田付けしますが、引き違い窓の向かって右側が手前にくるように留意しましょう。最後に前後にヘッドライトケースを半田付けします。
 


5.ボンネットとキャブとを組み合わせます。いわゆるホゾ組みになっているので、位置決めは楽でしょう。ボンネット内部にウエイトをエポキシ系接着剤で止めておきます。これで上まわりの工作は完了です。
 


第2回
1.2枚ある床板を組み合わせて半田付けします。前後は長さが同じですが、左右の幅が違うので、左右均等になるように留意しましょう。4個あるネジ穴には半田が流れ込まないように注意して、左右の段差部分には余計な半田が残らないように仕上げておきます。
 エンドビームにはカプラーを半田付けします。前側のエンドビームにはクランク受も付きます。裏側はツライチに仕上げておきます。
 


2.床板とエンドビームとを組み合わせて半田付けしますが、前後を間違わないよう、直角になるように注意しましょう。


3.床板の段差部分に主台枠を半田付けしますが、長さは現物合わせでピッタリと合うように仕上げておきます。前後方向は間違わないように!
 アングル状のドアーレールは、網目の床板の板厚に引っ掛けるような上下方向で(床板の上に0.3mm飛び出るような感じで)後端合わせで床板上面側から半田付けしてから仕上げます。水平度には留意して曲がらないように注意しましょう。出来あがった下まわりの内側に残った半田があれば、綺麗に仕上げておきます。
 


4.ギヤーフレームの組み立てです。まず歪みの無いように角型スペーサーで組み立てていき、さらに板状の補強板を組み込んでいきます。この部分はホゾ組みになっているので、組み立てもさほど難しくないでしょう。
 


5.動輪押え板に付けるウエイトは写真で赤く塗った部分(穴から端までの寸法が長い方です)を1mmほどヤスッておき、1.4x4mmタッピングビスで止めます。
 モーター軸にはウォームギヤーとスペーサーとを瞬間接着剤で止めたものを差し込んで、瞬間接着剤で止めますが、モーター軸端とウォームギヤーの端とが合うような深さまで差し込んでやります。
 配線コードは6cmありますので、それを2.5cmと3.5cmに切り離して、集電ブラシに半田付けします。さらにモーターに書かれた文字が前側になることを思い浮かべながら、モーターのラグ板に配線コードを半田付けします。
 


第3回
1.塗装に掛かります。全体にプライマーを下塗りしてから、ギヤーフレーム・ウエイト・動輪押え板・モーター台は黒に、ボディー・床板まわり・ラジエター保護枠を白く塗ります。ボディーに白いストライプがあるので最初に白く塗ったのですが、床板や保護枠も白く塗る理由は、あとで緑色に塗ったときに色調が揃うようにする為です。


2.ボディーの塗装が乾いたら、白いストライプの部分と緑の部分をマスキングして重機用イエロー(当社製塗料WMC-12)で塗ります。それも乾いたら今度は床板や保護枠も含めて緑色に塗ります。緑色は作例では「東急グリーン」を塗ってみましたが、「湘南グリーン」でも良いかも知れません。
 


3.塗料が乾いてマスキングテープを剥がしたら、ラジエター・排気管・窓のHゴム部分を黒く塗り、ヘッドライトケースの全体を銀色に、ワイパーは塗料を剥がしておきます。ドアーのテスリには筆で緑色に塗っておきましょう。最後にライトリムとレンズをエポキシ系接着剤で止めてから、クリヤーラッカーでオーバーコートして艶具合を整えてから、さらに軽くウェザリングもしておくと良いでしょう。窓ガラスはプラ板などで切り出して貼り、レンズにはプラ用塗料のクリヤーを差しておきます。
 


4.アイドラーギヤー軸の先端部(太い部分)は写真のように一部をカッターで切り取っておき、ギヤーフレームに組み込んだときに、この欠いた部分が上になるようにセットします。モーターにモーター台を1.4x2mm(小頭)ビスで止め、それを床板に1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。大体長穴の中心でOKだと思いますが、実際に動輪とギヤーフレームをセットして噛み合わせ具合を調整しましょう。ギヤーフレームは床板に後部の1.4x2mm(大頭)ビス2本で止めます。写真はさらに動輪押え板を1.4x2mm(小頭)ビスで仮止めした光景です。なお、ウォームギヤーにはセラミックグリースなどを塗っておくと、回転が滑らかになるでしょう。
 


5.モーターにはウエイトを接着しますが、下部はアイドラーギヤーと少し干渉しますので、写真のようにカッターで削り取っておきます。モーターの上面とウエイトの上面とが合うぐらいのところで接着しておきます。モーターの文字が前側に来るようにして、写真のように配線しておきます。
 


6.上まわりと下まわりとは1.4x2mm(大頭)ビスで止めて出来上がりです。試しに5tDLと並べてみましたが、1.5tの差はこんなに違うのですね(^^♪。
 








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