キット組立講座

酒井製8tボギーDL



「10tボギーDL」以来、久々のボギーDLのリリースです。箱型車輌の特徴を活かして、モーター2個搭載&ウエイト充分というコンセプトはそのままに、各部にリフレッシュ&改良を施されていますので、大型機らしい重量感溢れる製品に仕上がっています。そんなボギーDLの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。


第1回
1.まずは車体の組み立てから始めます。最初に車体側面のラジエター通風扉をランナーから切り離して半田付けしますが、このパーツはプレスによる隙間があっては格好悪いので(例え0.1mmにせよ)あえて少し大きめになっています。ラジエター通風扉の四辺を平ヤスリで丁寧に仕上げて、チョットきつ目に填まるようにして下さい。車体の裏面とツライチになるように(表から見ると、少し凹むはずです)メッシュ部分に半田を流さないように注意しながら、裏面で半田付けします。なお、113号機&魚梁瀬と125号機とではハンドルの位置が違いますので、外観図をよく見て向きには注意しましょう。


2.次に床板を車体に半田付けしますが、デッキ部分の上面が車体のデッキ部分の上面とツライチになるように位置決めします。床板は透かして見たときにプレスの反りが出ているようでしたら、指で軽く修正して下さい。車体の両端部はピッタリと合うように注意しましょう。半田付けの手順は、車体の両端部を合わせて軽く半田を流しておき床板を填めて、何か平らな板の上に逆さに置きデッキ部を半田付け、また逆側も同様にしてから、中央部で半田付けすると良いでしょう。


3.前面をこれに組み合わせますが、このパーツも上下方向には少し大きめに作ってありますので、裾部分を平ヤスリでヤスって車体とピッタリ合うように仕上げて下さい。 少しヤスってみて車体と合わせ、また少しヤスるといった作業を繰り返して。ヤスり過ぎると裾に隙間が出来てしまい格好悪いので、じっくり丁寧に落ち着いて。ピッタリ合うようになったら裾以外の部分に半田を流して止めます。なお、ロストワックスの半田付けには、プテンレス用フラックスを水で薄めて使うと、半田の流れが良くなるでしょう。


4.車体がシッカリしたところで、乗務員ドアー・点検ドアー・正面窓枠・ワイパー・通風口ハッチの順に半田付けします。排気管は黒く塗ってから、車体塗装後に内側から差し込んで接着します。点検ドアーは113号機&魚梁瀬と125号機とでは向きが違いますので、外観図をよく見て向きには注意しましょう。通風口ハッチの半田付けにはエッチングヌキパーツのランナーを写真のように使うと、作業がし易くなるでしょう。なお、113号機の乗務員ドアー窓には、肘掛(?)を半田付けします。


5.両サイド中央の4個のハンドルを半田付けします。ヘッドライトケースや他のハンドルは(テスリも)マスキングするときに邪魔になりますので、塗装後に接着する方が良いでしょう。魚梁瀬のみは屋根上にタイフォンを半田付けします。


6.デッキにテスリを半田付けしますが、最初に中央部を下から差し込んで床板に半田付けし、次に上部のテスリ(床板の下から差し込んで折り曲げ角度の微調整をしておいて下さい)を上から差し込んで半田付けします。これらの接点はイモ付けになりますので、塗装後何かの拍子に外れ易いもの。トータルキットには銀入半田を少量入れておきましたので、この部分だけはこの半田で半田付けしてみて下さい。フラックスは普通のものでOKです。半田に銀が入ることによって、普通の半田よりも強固になります。カプラーの後部(写真で赤く塗られた部分)は1mmほどカットしておいて下さい。このフォーク状になった部分を車体両端部に差し込み半田付けします。魚梁瀬はカプラーにステップを半田付けしますが、ステップの上面がカプラー最下段穴の下面とツライチになる位置にセットして下さい。その他の号機は床板両端部の斜めになっている部分に半田付けします。足掛けの出っ張りが車体外側を向くように注意しましょう。これで車体の工作はオシマイです。
 


第2回
1.床板にエアータンクと電池箱を半田付けしますが、外観図を見て付ける位置を逆にしないように注意しましょう。次にボルスターを1.4x2mm(小頭)ビスで止めて、床板から上に出たネジ部分をツライチにヤスって仕上げておきます。ヤスったらこのビスは外して、ボルスターと一緒にポリ袋にしまっておきましょう。床板にウエイトを止めますが、最初に床下の箱型を1.4x4mmタッピングビスで止め(少量のエポキシ系接着剤を併用しながら)、この上に大きな箱型をエポキシ系接着剤で止めます。さらに両端のウエイトを床板の切り欠きに合わせてエポキシ系接着剤で止めます。但し、この両端のウエイトは床板のネジ穴を接着剤で塞がないように注意しましょう。云うまでも無いことですが、ウエイトのバリは綺麗に取っておきましょう。
 


2.台車の組み立てです。ロストの湯口を仕上げておいたイコライザーを台車枠に半田付けします。半田を流すのは上の部分だけで充分でしょう。出来上がった台車を動輪押さえ板に半田付けします。
 


3.ギヤーボックスの組み立てです。手順は写真の左から右の順で、最初にギヤーボックス板に角型スペーサーを半田付けし(垂直度に充分に留意しましょう)、もう1枚のギヤーボックス板を半田付けしてから上板を半田付けします。この上板とはホゾ組みになっているので、簡単かつシッカリと位置決めが出来るでしょう。この後で中心にボルスターを半田付けします。ウォームギヤーと軸アダプターとは少量の瞬間接着剤で組み合わせて、モーター軸と少量の瞬間接着剤で接着します。モーターの軸受け部分に接着剤が染み込んではダメなので、充分に注意しましょう。なお、モーター軸との組み合わせは、軸の先端部とウォームとがピッタリと合う位置にセットして下さい。
 


第3回
1.塗装に入ります。総ての部品をプライマーで塗ってから、上まわり全体をライトグレーで下塗りし、その上からスカ線用クリーム(マッハ模型15番)で塗ります。ライトグレーの下塗りをする理由は、クリーム色というのは隠蔽力が弱いからで、少ない塗料でスッキリ仕上げるための方便です。


2.マスキング作業です。この機関車は正面が「金太郎」になっていますので、面倒だなあと思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、さほどではありません。ひとつのヒントを書いてみましょう。説明書の外観図の上に90x20mmほどのプラ板を、その中心と前面の中心とが合うようにセロテープで止めます。次に定規を使って軽くカッターで塗り分け線をなぞっていきます。「金太郎」の部分はフリーハンドで良いでしょう。そうしたらマスキングテープをこれに貼って、いま付けたカッターの溝をなぞっていきます。余分な部分を剥がしたら金太郎姿のマスキングテープの出来上がりです。これを車体に貼り付けますが、上下方向は外観図を良く見て決めましょう。テープを貼り終えたら阪急マルーン(マッハ59番)を塗ります。
 


3.マルーンを塗ったらデッキテスリとワイパーの塗装をカッターなどで剥がし、Hゴム部分に黒を塗ります。別にクリーム色に塗っておいた側面のテスリやハンドル、黒く塗っておいた排気管やヘッドライトケースをエポキシ系接着剤で止めます。魚梁瀬以外の首振りカプラーは黒く塗っておき、短いピンをエポキシ系接着剤で付けておきます。そして長いピンでカプラーに止めますが、接着剤は長いピンの根元に少量付けるのが良いでしょう。魚梁瀬の長いピンも同様です。魚梁瀬の大きなステップは木の色に、タイフォンのラッパ部分は金色に塗っておきましょう。写真のように別売の「アルプスモデル製インレタA」を使ってナンバリングをすると、グッと良くなります。魚梁瀬のLは残念ながら入っていませんので、数字の1を組み合わせてみました。ライトケースの内側は銀色に塗っておき、リムレンズをエポキシ系接着剤で止めます。ここまできたら、クリヤーラッカーでオーバーコートして、更に軽くウェザリングをしましょう。塗装が終わったら、ライトレンズにプラ用塗料のクリヤーを差しておきましょう。グッと良くなるはずです。最後に車体内側に出っ張ったテスリやハンドルの余計な部分をニッパーでカットしておき、プラ板で窓ガラスを貼ります。


4.さて下まわりです。総てのパーツを黒く塗っておきます。ギヤーボックスの軸箱が入る部分はカッターで剥がしておき、分解図をよく見ながらギヤーを組み込んでいきますが、集電ブラシの出っ張ったピンの部分は外側を向くように注意しましょう。ブラシは気持ち外側に曲げておきます。


5.動輪はギヤーが固定されているタイプと、スウィングするタイプの2種類あります。固定されている方をモーター側に、スウィングする方を反対側にセットしますが、後者はギヤーボックスに組み込んで動輪が上下にスウィングするように軸箱の向きに注意しましょう。そして動輪押さえ板を1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。モーターにはモーター台を1.4x2mm(小頭)ビスで止めておき、これをギヤーボックスに1.4x2mm(大頭)ビスで止めます。ここでモーターのラグにパワーパックから電気を流して、軽く廻るようにギヤーの噛み合わせを調整しておきます。モーターをギヤーボックスに止める際には、写真で向こう側が+になるようにセットしましょう。


6.配線をします。18cmの長さのコードが入っていますので、まず半分にカットして、更に4cm・3cm・2cmにカットします。4cmのコードはあとで使いますのでとっておき、他のコードで写真のように配線します。集電ブラシへの配線は、ボルスターと干渉しないように、モーター側に出すようにしておきましょう。同じものを2個作ってから、ボルスターをコイルバネとセンターピンで止めます。


7.この動力台車を床板に1.4x2mm(小頭)ビス止めますが、一旦動輪押さえ板は外して作業します。このビスは以前先っぽをヤスッておいた物を使います。台車を床板に止めたら、台車間の配線を4cmのコードでします。コードはクロスしないように、レールと平行に配線します。念のためにレールに置いて走行チェックをしておきましょう。車体とは1.4x2mm(大頭)ビスで止めて出来上がりですが、この際にも動輪押さえ板は一旦外すようにして下さい。エアータンクのある側がラジエターの側ですので、間違わないようにしましょう。
 




さあ、これで出来上がりです!
充分なパワーを活かして、長大運材列車を思う存分牽かせてやって下さい!!



解説の写真では誤解を招きやすいので、あらためて配線図を掲載いたしました。参考になさって下さい。(2008.05.28)






木曽のNo.113




木曽のNo.125&秋田のD-29




魚梁瀬のL-115




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