キット組立講座



青森営林局の協三製4.8tDL2種(大畑&津軽)


酒井製の小型DLとはまた違った雰囲気を持つDL、それがこの協三製DLの魅力です。同じ鋳鋼製台枠ながら、エンドビームを止めるボルトは酒井が横からなのに対して、協三は前後からだったり、台枠下部の前後が微妙に傾斜していたり、はたまたキャブの四隅には僅かにRが付いていたり。そこここに小さいながらも協三らしさが発揮されています。そんな小型協三製DLの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。


第1回
1.まず最初にボンネットにラジエターを半田付けします。仮に組み合わせてみて、各々の裾が揃わない場合には、写真で赤く塗った部分の上部、斜めの部分を少しヤスッてピタリと合うように調整して下さい。更にボンネットの前端の位置に揃うように、赤く塗った部分をヤスッて、ツライチに仕上げておきます。


2.細かいパーツをボンネットに半田付けしていきます。砂箱蓋の向きは、ヒンジが後方にくるように注意して下さい。


3.キャブの組み立てです。まず最初に前妻板に窓枠を半田付けします。上端はヒンジ表現の部分に引っ掛けるようにして、左右方向は均等になるようにします。少し開き気味にすると動きが表現できて良いでしょう。但し、窓ガラスを貼るときに苦労しますが(^^ゞ。その後でワイパーや津軽の場合はヘッドライトケースを半田付けします。後妻板にも窓枠を半田付けしてから(右側の窓枠が手前にくるようにして)、ヘッドライトケースを半田付けします。


4.側板と妻板とを組み合わせます。各々の裾がツライチになるように留意しましょう。組み合わせたら、キャブの四隅に平ヤスリを充てて、軽くRにヤスッて仕上げます。雨樋を半田付けしてから、テスリを半田付けして、裏面をツライチに仕上げたドアーを半田付けします。ドアーの下部には滑車カバーがありますので、そこをキャブ裾とツライチになるようにヤスッて仕上げます。
 


5.ボンネットとキャブとを組み合わせます。ホゾ組みになっているので、位置決めは容易でしょう。総ての裾はツライチになるように留意しましょう。これで上まわりは完成です。



第2回
1.ギヤーフレームを組み立てます。最初にフレームを平らな板の上に置いた400番くらいの紙ヤスリの上でプレスのバリを仕上げます。角型スペーサーを介して左右のフレームを半田付けしますが、角型スペーサーはネジ穴がある方が前側(写真左側)になります。とにかく歪まないように注意する、これが一番大事です。この段階でも側面を紙ヤスリの上で仕上げておきます。下面も角型スペーサーが光る程度まで紙ヤスリの上で仕上げておきます。次にフレーム取付板を半田付けします。津軽と大畑とでこのパーツは異なりますので、両方お求めの方は混ぜないように注意して下さい。


2.仮に動輪を組み込んでみましょう。軸箱が可動式な動輪は前側にセットします。軸箱の向きには注意しましょう。動輪軸は上下にちゃんと動く方向にセットしましたか?動輪押さえ板は付けなくても良いでしょう。レールの片方にわざと隙間を作ったレールを見本用に作ってみました。特に荷重は掛けていませんが、ギャップに動輪がくると、ちゃんと落ち込んで追従しているのがお判りだと思います。このようなギャップは実際には稀でしょうが、一見平らにセットしたつもりのレールも、実際には歪んでいたりするもの。とかく集電不良になりがちなナロー車輌ですが、この可動軸システムですと、常に4輪がレールに接していますので、集電効果は向上するはずです。また、牽引力も向上するでしょう。皆さんもこのようなレールを作ってみて、可動状態を楽しんでみては如何でしょうか?

 


3.台枠の組み立てです。側台枠とエンドビームとは角穴に角ボスを填め込んで位置を決めるように設計しましたが、残念ながら鋳物の精度がそこまでいきませんでした。したがってこの角ボスは削り取って下さい。エンドビームは一見上下対象のようですが、カプラースリットの上の部分の厚みが厚い方が下です。側台枠とエンドビームとは上面がツライチになるように留意して、歪まないように半田付けしましょう。前後の床板を台枠に落とし込んで半田付けします。出来上がったら、平らな板の上に置いた400番くらいの紙ヤスリの上でツライチに仕上げます。前側の床板は津軽と大畑とで異なりますので、両方お求めの方は混ぜないように注意して下さい。
 


第3回
1.塗装にかかります。津軽は全体に京浜東北ライトブルーを塗ってから、軸受まわりを黒に塗ります。台枠四隅のステップ、エンドビームのカプラー部、軸箱周りのボルトの頭を黄色く塗ります。大畑は全体に20系用紺色を塗ってから、軸箱まわりを黒く塗ります。共にHゴムとヘッドライトケース、ラジエターコアーやオイルクーラーコアー、津軽の排気管も黒く塗ります。こういった色差しは、プラカラーが良いでしょう。失敗した時も、プラカラー用シンナーで剥がせますので。但し、最後にクリアーラッカーでコーティングしておく事を忘れずに。
 


2.ウエイトは写真で赤く塗った部分をカッターで削り取っておきます。左が津軽用、右が大畑用です。これをキャブ前妻板に突き当てるようにして、ボンネット内に接着します。若草色に塗って、メーターに白を指しておいた計器盤も前妻板に下から引っ掛けるようにして接着します。ヘッドライトケースの内側は銀色に塗っておき、リム+レンズをエポキシ系で接着します。
 


3.ギヤーフレームは動輪軸箱が入るUの字型部分の塗装をカッターで剥がしておきます。次に大きなアイドラーギヤーをプラ製のギヤー軸で、集電シュー+ワッシャ+フレーム+ギヤー+フレーム+ワッシャ+集電シュー+Eリングと組んでいきます。集電シューの突起は外側を向かせ、ワッシャは表裏がありますので注意して下さい。段付きに細くなっている方が、集電シューの穴に入ります。Eリングで止める前に、シュー廻り止めピンを下方に組み込んで下さい。小さなアイドラーギヤーは、金属製のギヤー軸を使いEリングで止めます。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、可動軸の方は前側になるように、しかも軸箱の向きに注意しましょう。ちゃんと動輪は上下方向に可動しますか?集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。動輪押さえ板は1.4x1.4mmビスで前側だけ止めます。


4.ウォームギヤーの穴に軸アダプターを差し込んで瞬間接着剤で止めます。これをモーター軸にも瞬間止めしますが、ウォームの穴から1mmほど軸の先端が引っ込むように留意しましょう。このモーターはロスト製のアジャスターを介して床板に1.4x4mmビスで止めます(長穴のちょうど真ん中あたりが良いでしょう)。モーター端子の+が左側にくるようにして下さい。出来上がったギヤーボックスを前は1.4x1.4mmビスで、後ろは1.4x6mmビスで床板に止めます。このモーターは12V仕様ではないので、配線の中間に抵抗を入れます。写真のようにセットすると納まりが良いでしょう。但し、配線も含めてモーターから後ろには飛び出さないようにして下さい。ここまで来たら、カプラーピンを上から差し込んで、エポキシ系で接着しておきます。窓に塩ビ板などでガラスを貼った上まわりと下まわりとは1.4x3mmビスで止めて出来上がりです。
 






















酒井製5tDLと並べてみました。全長では酒井よりも短くボンネットが高いので、スリムな酒井に対して、ずんぐりむっくりした感じです。これが協三の魅力です。カラーリングを工夫すれば(例えばライトグレーに塗るとか)、林鉄のみならず石灰運搬用軌道などにも似合いそうですね(^^ゞ。