キット組立講座



魚梁瀬の野村組製DL


「林鉄シリーズ」の一番手「野村組製DL」です。大きさは「ホイットコム」とほぼ同じの小さな躯体に、立体的でディテール豊かなロストワックスを散りばめた様は見応えがあります。「ハイディテールを組み立てやすく」という当社の設計理念に則ったこの製品は、組み立てる楽しさを充分に楽しんで頂け、また適材適所の素材選びから作られた部品のひとつひとつは、持つ喜びをオーナーの皆さんに御提供できるものと信じております。そんな野村組の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。


第1回
1.まず最初に前妻板に窓枠を半田付けします。ランナーから切り離すときには、ヒンジの部分を落とさないように注意して下さい。但し、写真真ん中のように窓が開いた状態にする場合は、ヒンジも切り落として下さい。それから窓上のヒサシをランナーから切り落として、裏面の凹部で直角に曲げて、その部分に半田を流して補強してから妻板に半田付けします。後妻板にはロスト製の窓枠を半田付けします。多少ガタがありますので、なるべく上の方に寄せるようにしましょう。


2.側板にはまずドアレールを半田付けします。両端部の裏側だけでOKでしょう。それからドアーを半田付けしますが、ハンドルは片方ずつ削り落としておいて下さい。


3.次にボンネットとラジエターとを組み合わせます。それからハンドルを半田付けしますが、握る部分が後ろになるようにして、ボンネットの内側に出た足はツライチに仕上げておいて下さい。


4.キャブ後部の組み立てです。AタイプとBタイプの両方の部品が入っていますので、お好みでお選び下さい。箱状にしたら折り目や合わせ目に半田を流しておきます。その後にハンドレールノブにハンドレールを通しておき、ノブを箱に半田付けしてからレールを半田付けします。


5.出来上がった側板と妻板とをL字型に組み合わせてから箱状に組みます。そしてボンネットやキャブ後部を半田付けします。ボンネットの先からキャブ後部まで下面は一直線に揃うように留意しましょう。この段階で前後妻板にタイフォンやヘッドライトを半田付けします。後妻板に付くヘッドライトは3個あいているい小穴の右端に、タイフォンは左端の小穴に半田付けします。ラジエターの前の突起にはプロテクターの穴を合わせて半田付けします。プロテクターは2種類入っていますので、お好みでお選び下さい。長穴の場合はセンターを山型に折ってから半田付けしましょう。プロテクターの上部左右の凹部にテスリを半田付けします。未塗装キットや塗装済完成品をご希望の方は、プロテクターも選択頂けます。既に御予約を頂いている方は、ご連絡ください。ご連絡が無い場合には、総て標準の「蜂の巣穴」タイプに仕上がります。


6.上まわりの最後に屋根板を半田付けします。屋根板にはリベット表現がありますので、それが妻板の位置にくるようにして、センターラインは妻板のセンターと揃うように留意します。キャブの内側から半田を流せれば良いのですが、コテ先が届かない場合には前妻板の外側からだけでも充分でしょう。これで上まわりは出来上がりです。




第2回
1.下まわりの組み立てです。側台枠に軸箱を半田付けしてから、エンドビームとLの字に組みます。このL字同士を組み合わせて箱状にします。歪みがないように充分注意しましょう。


2.床板を後ろ上から嵌め込んで半田付けします。台枠の上面と床板の上面とはツライチになります。前後の向きには充分注意しましょう。台枠がしっかりしたら、前側のエンドビームにピンバイスを使ってテスリ用の穴を、φ0.6のドリルで(φ0.5でも良いのですが塗膜を考慮して)両端から0.5mmの位置に深さ2mmほど開けます。試しに上まわりと組み合わせて深さを確認しておきましょう。
 


3.床板にモーター止板を1.4x2mmビス(小頭)で止めます。モーター止板は部品図の斜線部分を0.5mm程度削っておいて下さい。



4.ギヤーフレームを組み立てます。まず写真左のようにフレームと角型スペーサーとで箱状に組んでから、前後に取付板を半田付けします。この部分は「ほぞ組み」になっているので、作業はしやすいでしょう。歪みの無いように充分注意して下さい。



5.写真で赤く塗ったモーターの一部はヤスッておいて下さい。とにかく小さなロコですので、小さなモーターを使ってもギリギリの設計を強いられていますので(^^ゞ。ウォームギヤーにはアジャスターを瞬間接着剤で差し込み、これをモーター軸に瞬間接着剤で止めますが、ウォームの先端部とモーター軸の先端部が合う位置でセットします。
 


6.ボンネット内のウエイトはスッとボンネットに入るように脇をヤスッてから、写真のように中央の凹んだ部分を片側だけ斜めにヤスッておきます。


7.出来上がったウエイトをボンネットに押し込んで、瞬間接着剤で止めます。斜めに削った方が後側になります。四角いウエイトは3個を瞬間接着剤で止めます。これは最後にモーターの上に乗ります。
 


8.さあ、これで半田付け工作は配線を除いておしまいです。試しに上まわりを載せてみましょう。至福のときですね(^^♪。試しにタバコを横に並べてみましたが、こんなにも小さいことに驚かされます。しかもこの濃度の濃さ。鉄道模型って楽しいですね!



第3回
1.塗装に掛かります。塗り分けについてですが、確認できているのは3種類あったということ。全体がオレンジ色だった仕様、上まわりがライトブルーで下まわりがマルーンだった仕様、そして上まわりが銀で下まわりがマルーンだった仕様です。作例では前者2仕様で仕上げてみました。砂箱を装備して、上まわりを塗り分けにする場合には、写真のように別に塗ってから車体に接着する方が、マスキングしやすいでしょう。いずれの塗色の場合でも、プライマーで下処理をしてから、写真のようにライトグレーを塗っておくと、あとの塗りが楽になるでしょう。ギヤーフレーム・動輪押さえ板・各種ウエイトは黒く塗ります。


2.下塗りをして最初の色を塗った状態です。オレンジ色の方は塗り分けがありませんので、砂箱はエポキシ系接着剤で着けてあります。砂箱を着ける場合には、下まわりと組み合わせて、下合わせにするようにします。ライトブルーは白に青20号をほんの少し混ぜて色を作りました。研究家の御意見では、風呂場のタイルにあるような僅かに青みがかった白ということです。下まわりは阪急マルーンです。オレンジの方は上下ともにキハ40系のオレンジを塗りました。右はマスキングをして2色目を塗った状態です。エンドビームは「木部」の色ですが、作例では風化した感じを出したくて、薄茶色に塗りました。
 


3.塗装を終えたところです。総ての窓枠は木製ですので薄茶色に、タイフォンやヘッドライトケースは黒く塗り、ヘッドライトにはレンズリムとレンズを接着します。下まわりではカプラーやデッキ支え金具を黒く塗ります。この前の段階の写真と比べてみれば判りますが、強めにウェザリングを施してあります。このロコのように派手目な塗装の場合には、そのままでは各々の色が主張し過ぎて、オモチャっぽくなってしまうからです。ですから全体を彩度を落としたひとつのトーンで整えることにより、落ち着いた感じに仕上がります。


4.集電ブラシにコードを半田付けしてから、ギヤーボックスを組み立てます。動輪押さえ板は1.4x2mmビス(小頭)で止めます。集電ブラシは動輪の裏側に軽く当たるように調節しましょう。ギヤーボックス後部はウエイトを挟みながら、床板に1.4x5mmビスで止めます。
 


5.モーターは1.4x2mmビス(大頭)で止板に固定します。モーターの上にウエイトをゴム系で接着してから、写真のように配線をします。左側の集電ブラシからモーターの+側に、右側の集電ブラシからモーターのー側に結線します。どちら側の配線でも構いませんので、途中には抵抗を入れるようにしましょう。DCC用デコーダーを搭載する場合には、写真の位置に搭載すると収まるでしょう。赤いコードは左側の集電ブラシに、黒いコードは右側の集電ブラシに、グレーのコードはモーターの+側に、オレンジのコードはモーターのー側になるようにします。なお、デコーダーを搭載する場合は、抵抗は必要ありません。
 


6.窓ガラスを塩ビ板などから作って貼り、上下を組み合わせます。ウエイトを挟みながら1.4x6mmビスで止めて出来上がりです。カプラーにはピンを上から差し込んで、下部でエポキシ系接着剤で止めておきましょう。あっ、ライトレンズにはプラカラーのクリアーを差しておくことを忘れずに。画竜点睛ですから(^^♪。


7.この製品は「朝顔カプラーシステム」のリンクを使っています。外観上も好ましく連結開放も簡単、しかも確実なものです。ランナーから注意深く細密ニッパーでカットして、指先で先端部を狭めておきます。ピンにカコンと嵌め込み、相手方のカプラーにも同様に嵌め込むだけでOKです。