キット組立講座

助六の酒井製5tDLW

進化し続ける「助六の5tDL」の最新バージョンの組立講座を開設いたします。今回のバージョンは基本的に今までに発売した号機の再生産ですが、Vで発売した号機以外は、モーターをマシマ製カンタイプにスケールアップされています。更に今回は60号機を4灯時代の姿で再現しました。Uの時には裾が低いタイプでは実現できませんでしたが、Vを経て今回はそれが可能になりました。
 それでは、そんなWの魅力を60号機を中心に解説していきますので、この組立講座でお楽しみください。

第1回
1.まず、116・118・131・132号機・遠山以外のラジエターは、写真で赤く塗った肩の四角く出っ張った部分を削り取っておきます。


2.76号機は更にラジエター脇の板部分にエッチングヌキパーツを半田付けします。また、60号機は赤く塗った部分を1ミリ削っておいて下さい。76号機の向かって右側には背の高いエッチングヌキパーツを半田付けしてからその裏側に、86号機はそのまま菱形の板を半田付けします。継ぎ目は出来るだけ目立たないように仕上げておきましょう。


3.ボンネットには仕切り板を半田付けしてからラジエターを半田付けします。この時ボンネットを万力で軽く挟んで作業をすると、落ち着いて出来るでしょう。直角になるように留意して、しっかりと半田を流すようにしましょう。76・131号機・遠山にはバックミラーステイを穴に差し込んで半田付けして、更にバックミラーを半田付けします。そのガイド溝は前側になるようにします。なお、76号機は高くなったラジエター横の板がボンネットの一部と干渉する場合がありますので、その場合には写真のように角型に少し削っておきましょう。なお、見本を組み立てて気付いたのですが、60号機のボンネットの前方は0.5mmほど短くヤスッておいた方が落ち着きが良いようです。


4.ボンネットに小物を半田付けしていきます。砂箱蓋は向きに注意して、排気管は垂直になるように留意しましょう。



第2回
1.キャブの組立てに入ります。まずは前妻板に窓枠とヒサシ(76号機を除く)を、ワイパーとヘッドライトがある号機にはそれも半田付けします。ヒサシは外観図を見ながらRに曲げて、足を妻板の穴に差し込んで半田付けします。出来上がった妻板をボンネットと組み合わせて半田付けしますが、ボンネットのボスが入りにくい場合には、写真のように斜めにヤスッてみましょう。くれぐれも無理やりに押し込まないように。特にその直上に細い窓柱がある号機では禁物です。
 


2.二重屋根の60号機は、屋根上に上屋根を半田付けします。ヘッドライトの小穴が揃うように留意して、裏側の角穴から半田を流すようにしましょう。それからヘッドライトを半田付けして、裏側を平らに仕上げます。後ろの妻板には窓枠を半田付けしてから側板に半田付けします。
 


3.この段階でキャブとボンネットとを組み合わせます。但し、前妻板の裏側は出来るだけツライチにヤスッておきましょう。これをやっておくと、あとで窓ガラスを貼る時に苦労しなくて済みます。


4.雨樋とドアレールとが一体化されたアングルを、キャブ側面に半田付けしますが、左右で違いますので注意してください。このままでもOKですが、凝る方のためにボルト表現をしたドアレールを今回は御用意しました。これを使うにはアングルの上に半田付けして下さい。塗装済完成品ではこの板が標準装備されます。


5.ドアーを組み立てます。写真のように、まず上下部分を半田付けしてから、左右部分を半田付けします。テスリを半田付けして裏側をツライチに仕上げておき、キャブの下の部分(写真で赤く塗った部分)で半田付けしますが、雨樋の取り付けいかんで微妙にドアーの下面とキャブの下面がツライチにならない場合があります。この場合には、写真のようにドアーの上部裏側を写真のように斜めにヤスると良いでしょう。また、76号機の縦方向の帯板は長めになっていますので、半田付けをしてからカットして仕上げて下さい。このドアーはこれで上まわりは出来上がりです。
 


 



第3回
1.下まわりはギヤーフレームから工作を始めます。より正確に、しかも簡単に組み立て易くするために治具を用意しました。まず写真のように、前後の取付板を治具に4本の1.4x2mmビス(大頭)で止めます。長穴のある方は、治具の縁に合わせれば位置が合うようになっています。これにフレームを1枚差し込んで半田付けします。この時にプレスによるねじれを修正しておいて下さい。それから角型スペーサーを挟みながらもう一方のフレームを半田付けします。スペーサーのネジ穴は垂直になるように留意して下さい。半田付けが終わったら、そのままサンドペーパーの上で下面をツライチに仕上げて、角型スペーサーが光るようにします。この時に動輪を仮に組み込んで、押さえ板をセットしてみて、動輪が上下にガタつかないようになるまで、写真で赤く塗った部分を注意深く削って仕上げます。ここで使ったネジはフラックスが付いてしまっているので、錆が出ますから捨ててしまいます。
 




2.2個あるエンドビームの片方は写真のように上部をヤスッて下さい。116号機・遠山以外は、これにエアーホースを差し込んで半田付けして、後ろに出た部分はツライチに仕上げておきます。台枠には軸受を組み込んで半田付けします。半田を流す部分はキサゲなどで磨いておくと、良く半田が流れるでしょう。
 


3.今度はエンドビームをL字型に組み合わせて半田付けします。接合面の直角には注意しましょう。60号機の台枠は左右ありますので、前後のエンドビーム(上に突起がある方が前用です)を半田付けする時には、間違わないように注意しましょう。そして、L字とL字とを組み合わせて箱型にします。ガラス板などの平らな板の上に台枠をひっくり返して乗せてみて、歪みがないかどうかをチェックしておきます。ドアーレールもこの段階で半田付けしておきます。
 




4.床板を台枠に落とし込んで半田付けします。これで台枠の工作は完了です。上まわりの組み立てからここまで約5時間程度で出来てしまいました。そこでチョット色気を出してみたくなり、ボンネット仕切板に2連タイフォンを付けてみました。現役当時の60号機のここにタイフォンが付いていたかどうかは判りませんが、どこかに付いていたでしょうから、雰囲気・雰囲気。このような部品は分売もしておりますので、御希望の方はどうぞ。
 



第4回
1.塗装に入る前に、エンジンの加工をします。コスト削減の為に、このエンジンは他の機種にも使えるように設計されているので、上の部分を若干削って頂く必要があります。写真で赤く塗ったカムカバーの4つの突起と、エアークリーナーへ行く配管と排気管を斜めにヤスッてからファンを瞬間接着剤で付けます、出来上がったら仮にボンネットに入れてみて下さい。納まりが良かったら塗装に移ります。また、コンプレッサーは左右共通になっていますので、後部のエアークリーナーへ向かう配管は、エンジン寄りの部分をカットしておきます。このカットした部分は影になりますので、さほどヤスリ仕上げをしなくても目立たないでしょう。
 


2.遠山以外の上まわりは総ての号機でマッハカラーの62番「京阪若草」に塗ります。遠山は台枠も含めて同228番「2等車等級帯」に塗ります。86・118・132号機の屋根は黒ですので、一旦全体を黒く塗ってから、屋根をマスキングしてボディーの若草色に塗ります。ギヤーフレーム関連やラジエター保護枠・エンジンやコンプレッサーは黒塗装です。例によって竹串に部品を刺したり、エンジンやドアーなどの小部品は、竹串に両面テープを巻きつけて、それに部品を貼り付けて塗装します。車体の裾をマスキングして台枠と同じ色に塗ります。それからヘッドライトケース・排気管を黒く筆で塗ります。


3.86・118号機の台枠は「阪急マルーン」に、その他は「近鉄グリーン」に塗り、コンプレッサーを接着し(116号機・遠山には付きません)、カプラーはカプラーピンで止めて、台枠の下側でエポキシ系接着剤で押さえておきます。


4.Hゴム窓にグレーを差して、オイルクーラーのある号機には、メタリックグレーに塗っておいたものを、ラジエターに接着しますが、ラジエター保護枠の取付足に干渉しないようにチェックしましょう。エンジンはボンネット裏側のネジ穴が付いている板部分にエポキシ系接着剤で止めます。




第5回
1.モーターの軸にウォームギヤーを打ち込みます。写真のように平らな鉄の上に置いて、軸端とウォームが揃う位置まで小さな金鎚で軽く打っていきます。配線は、写真のように集電シューとの間を半分にカットしたコードで結びます。特に集電シュー部分は少しの半田で付けるように留意しましょう。因みにモーターの+側が車体左側にきます。マシマのステッカーは、完成したあとで光るとあまり気分の良くないモノですので、剥がしておきましょう。
 




2.集電シューを2種類の絶縁リングで挟みながら1.4x2mmビス(小頭)で止めます。集電シューの前半分は黒く塗っておきましょう。動輪に対する圧力は微妙ですので、何度も調整して快適に廻るようになるまでトライしてみましょう。ギヤーフレームには小さなギヤーをギヤー軸とEリングで、大きなギヤーはプラのギヤー軸で組み合わせますが、後者のギヤー軸は若干ガタがありますので、下の方に押し付けるようにして、ゴム系接着剤で固定します。集電シューがギヤーフレームと当たる場合には、間に小さく切った紙を挟んで絶縁するようにしましょう。


3.ギヤーフレームの前部は1.4x1.3mmビスで、モーターを1.4x2mmビス(大頭)で止めます。配線はモーターに沿わせるようにしましょう。ウォームギヤーと小さなアイドラーギヤーとの組み合わせはビスで調整しましょう。更に動輪を組み込んで、押さえ板を1.4x2mmビス(小頭)で止めます。


4.118号機・遠山以外はディカールを水で転写してから、ライトリムとライトレンズとを接着したものを、ライトケースに接着して、車体全体をクリヤーラッカーでオーバーコート、更に軽くウェザリングをします。ディカールはそのままでもOKですが、幅を2/3程度までカッターで細くすると、グッと感じが良くなるでしょう。特に60号機はボンネットの裾の寸法が狭いので、この作業は励行するようにして下さい。オーバーコート作業には写真のように、割り箸などに強力タイプの両面テープを巻いたもので、キャブ前妻板を支えて塗装をすると良いでしょう。レンズ部分にはプラカラーのクリヤー原液を妻楊枝などで落とすようにして塗りますが、乾かしては塗り、乾かしては塗りを何回か繰り返すと、得もいえぬ深みのあるイイ感じに仕上がるでしょう。窓ガラスを塩ビ板などで貼り込み出来上がりです。最後に床下ウエイトを挟みながら1.4x4mmビスで止めます。このビスの長さは微妙で、若干短めになっています。ネジ穴に届かない場合はウエイトの上面をヤスッて調整して下さい。なお、別売の「アルプスモデル製インレタB」を使用して、ナンバーを入れるとより細密感が増すでしょう。
 


 


5.さあ、出来上がりました。くだんのタイフォンに赤を差したこともあって、チョットしたポイントが出来ました。貴方ならどんな列車の先頭に立たせてあげますが?エメラルドグリーンに彩られたウグイ川沿いに走る運材列車ですか?それとも濁川沿いのティンバーを渡るB客列車ですか?そんな木曽谷の光景をイメージしてみて下さい。きっと在りし日の素晴らしい光景が、目の前に拡がることでしょう。

番外編:別売の「酒井製DL用砂箱セット(¥1260)」を使えば、このような全開のスタイルに仕上げることも出来ます。このセットには砂箱の他に、ブレーキシリンダーやボンネット枠2枚も入っています。