もりこーの木曽路日記

平成21年9月21〜22日

「王滝のB客 NOW!」の巻


滝越の水交園に保存されていた王滝のB客ですが、王滝村の手により松原スポーツ公園に移動しました。
 その目的は動態保存!
 お客様を乗せて安全に走行できるようにしよう、ということで移動&修理を開始し始めました。
 この連休の2日間が作業に充てられ、ボクも1日だけですがお邪魔してきましたのでリポート致します。皆さんの知らない間でも着々と保存活動は進行してるんです(^^♪。




これが滝越から松原に移動保存された王滝のB客No.12です。現役当時は氷ケ瀬所属だったようです。決して美しいとは云い難い姿ですが、屋根付きの状態で保存されていたので、痛みは最小限。木造車でここまでシッカリしていたのは奇跡的ですらあります!
 今回の作業は台車の履き換え。オリジナルの台車の管理番号は営1049+1050なのですが、これをレストアするために仮に同じ岩崎後期型の台車に振り替えよう、というのが目的です。

 

松原の車庫の裏側には運材台車が数組保存されていますが、中にはもとB客で使われていたデッキ板付きのものも含まれています。これを充当しようという腹です。幸いこの台車の木製の部分はしっかりとしています。

 

 

車庫裏から引っ張り出した台車をB客の前後に配置して、車体に馬を噛ませて浮き上がらせます。そして元の台車をスライドさせて抜き取り、そこへ交換する台車を滑り込ませて車体を下ろす。書いてしまえば簡単なようですが、ガントリークレーンも無い現場ではひたすら力作業の連続!
 B客を床下から見たことなんて無いでしょ?皆さん!腐らずに結構しっかりしていますネ。いわゆるセンターピンはこの細い棒なんです!

 

 

まるでパズルのような作業ですが、着々と進行していきます。ボクは今回初めて運材台車のステイクポストを廻してみましたが、錆びていないので実に軽々と動きました。

 

これが取り外した元の台車。この裏側の写真も珍しい光景ですよね!軽量化のためにスカスカなのがよく判ります。(タイトル写真を除き、ここまでの写真撮影は小堺健司)

 

今回の交換劇の主題となった木製部分。つまり軸受と台枠の間に挟まっている緩衝材の劣化です。もうボロボロな状態でした。またそこに付くゴムも劣化していたので新しいものと交換することになりました。ブレーキシューもかなり擦り減っています。

 

さて2日目の作業です。とりあえず台車の履き換えは完了したので、台車間のエアーホースを結んでエアータンクのテストなどです。
 そのために一度仕舞った車庫から引き出します。流石にコロ軸受の転がりは良く、最初さえ二人で押せば、あとは一人でも大丈夫なほどです。

 

今回の作業の中心になってやってくれたのは小堺さんという(オレンジ色のツナギを着ている)方。この方は本職の自動車整備士で、何を隠そうウチのすぐ近くで開業されていて、しかもウチのお得意さまだったりします(^^ゞ。保存会の皆さんもこのようなヘルパーを得て、心強いのではないでしょうか?今回も様々な工具やコンプレッサー・発電機などをトラックに積んで持ち込まれていました。

 

132号機とエアーホースで結んでエアータンクのチェック。エンジンを吹かしてやると見る見るコンプはエアーを送りこみ、非常ブレーキレバーを引いてテストしたら作動OK!
「ちょっと走らせてみようか」運転手・三浦さんのひと声に皆賛成!反対するわけ無いでしょう(^^♪。テスト走行だからね、テスト(^O^)。


 

考えてみれば5tDLがB客を牽いて走った、というのは廃止されてから初めてではないでしょうか?例え塗装が剥げハゲでも、窓ガラスに新聞紙が貼ってあってもイイんです!この光景をどれだけ待ち望んでいたことでしょうか!
 皆さんの笑顔は今までの力仕事の疲れも吹っ飛ぶような輝きでした。



10月31日〜11月1日には恒例の体験試乗会も予定されています。この時にこのB客が間に合うかどうかはまだ不透明ですが、きっとこのパワーで間に合わせてくれるのではないでしょうか。
「どうせ車体を塗るんだったらレタリングの書体にも拘って、位置なんかもチャント再現してネ!」とボクも頼んで、ウチのB客Vのパンフを渡しておきましたので、ちゃんと仕上げてくれることでしょう。う〜ん楽しみですネ(^^♪。