Chapter.6「雪印乳業の集乳所を作る」の巻




最初にハッキリ云ってしまいますが、ボクにとっては超大作でした(>_<)。
 プロトタイプとして問寒別の集乳所があるにせよ写真も少なく、しかも箱型をしていないこの建物はとりとめがなくて、途中で投げ出したくなるほどでした(^-^;;。
 製作の気持ちを維持できたのはたったひとつ、誰も作ってない、ってこと!(^^)!
 少なくとも今までどなたも作った作品をボクは見た事がないのが原動力になりました(^^♪。



11月10日

 

この集乳所は簡易軌道写真帖に載っていますが、鉄道ファンの皆さんは軌道側の写真しか撮ってない(^^ゞ。全体像はおろか、Webも含めて今まで他のサイドの写真を見た事がありません。
 スケールモデルを作ろうとしているのではないので、この「見た事がない」というのを逆手にとって、「らしく」仕上げるように努めました。
 その一助になったのが、友人から以前プレゼントして頂いた「雪印乳業史」という本です。昭和36年に雪印乳業が発行したものですが、これが凄い!
 生産量の推移や製品開発の話は勿論のこと、当時全国にあった全工場の外観写真や歴代所長名、雑誌や新聞などに掲載された広告の類まで載っていて、B5判で5cmほどの厚みがあるズッシリした本です。
 まあこの際、工場長のお名前や生産量はともかく、参考になったのは北海道各地にあった工場の外観写真。
 見て行くと一定のセオリーのようなものが読めてきて、逆に云えば「こうすれば、らしくなる」という法則が判ったんです(^_-)-☆。それが判ったら模型化図面にすれば良い訳で、あとは割とスラスラと進みました。
 側面の素材は2mmピッチのエコーモデル製下見板セット。但し下から10mmの部分は車両庫同様にコンクリの土台とします。
 この10mmというのはレール上にミルクカーを置いて、荷台の高さにも相当しますので、まさに床の位置にする事が出来る高さでもあったのです。

 

これがようやく下見板を貼り終えて十字型に組み立てたところです。朝から設計を始めて、昼食後に製作を開始して、ここまで出来上がったのは深夜2時です・・・。
 ヤッター!って感じでしたネ\(^O^)/。思わずレイアウト上に置いて記念撮影までしてしまいましたが、またしても屋根をどうやって作るか、という問題が残っていて、お風呂に入ってもその事ばかり考えていました・・・。

11月11日

 

屋根の製作方法はそのうち良いプランが出てくるだろうと判断して、塗装を進める事にしました。
 この建物を作ると決めた時から「清潔感のあるモダンな色調で」仕上げようと思っていたのですが、ボクのイメージにあるライトブルーにしようか、それともグリーンライムにしようか最後まで悩みました。
 でも周りを見回すと車両庫の緑の屋根があるし、日通事務所の飾り屋根も緑です。あんまり緑ばかりというのもナニですから、最終的にはライトブルーで仕上げる事にしました。
 使った塗料はハンブロールの89番。かれこれもう30年ほど前に買って使いかけの塗料ですが(そうそう使う色ではありませんから)、驚くべきことに撹拌してみたら全く問題なく使えそう(^_-)-☆。
 タミヤのエナメル用シンナーで薄く溶いたものを何回も塗り重ねて仕上げました。土台のコンクリ部分はグレーです。
 極く薄く溶いた黒いエナメルで軽くウェザリングして窓枠貼りです。引き違い窓の段差がない、などの不満はありますが、手間対効果でアッサリとエコーモデル製の印刷された窓枠を使う事にしました。

 

窓ガラスが入るとグッと引き立つもので、「ウ〜ン、なかなかイイなあ!」なんて僅かな時間ナルったりして(^-^;;。
 少しまだ早いですが「画竜点睛を入れるのは、やっぱ雪印のマークでしょう!」ということで、くだんの本から使えそうなマークを物色したら、アイスクリームの広告に使われているマークが良さそう。
 出来あがったこの現物を測ってみたら、φ13.0の大きさがバランス的に良さそうだったので、このコマーシャルも縮小コピーして、措定の大きさにカット。それを1.2mm厚のプラ板(これもφ13.0に丸くカットしておき)に貼り付けて準備完了!

 

注意深く位置決めをしてゴム系接着剤で貼り付けたのがこの状態。ライトブルーの外壁に柿色の社紋。ウ〜〜ン、実に素晴らしい色のセンス!と、またナルったりして\(^O^)/。
 ここまで来たら、屋根は何とかするしかない訳でして・・・。ボクの性格は考えてもなかなか纏まらない場合には、とりあえず手を動かすもの。十字型と思うから大変なのであって、メインの長方形+枝の棟x2だと思えば何とかなるさ、と、2mm厚バルサ材で作り始めてみました。
 まずメインの方は、長方形にカットしたバルサ板の中程に台形の切欠きを入れ(枝の棟の壁が差し掛けと干渉するので)、突き合わせる部分は斜めに仕上げておきます。
 次に問題なのが枝の棟の屋根ですが、慎重に現物の寸法を測って組み合わせてみました。
 何度も試行錯誤をした結果、ようやく継ぎ目の隙間も出なくなるようになり、屋根の稜線の水平も出るようになって、本格的な組立は翌日に。

11月12日

 

各々の屋根板に補強のリブを接着してシッカリとさせておいてから、両者を思い切って木工用瞬間で接着します。
 何度も試行錯誤しても、どうしても微妙な隙間というのは出るもので、その部分は端切れを接着してOKです。

 

屋根の芯が出来たところで、その上に貼る屋根材を作ります。この建物を作ると決めた時から「四角い板が斜めに貼ってある屋根(専門用語を知らない)」にしようと決めていたので、その仕様に沿って板取から開始します。
 仕様する素材は何にしようかと悩んでいたら、目に入ったのがトレーシングペーパーの台紙に使われていた粗悪な質感のボール紙。塗装面がツルツルになってしまわない粗悪なボール紙は大歓迎です!
 各々の屋根の寸法を正確に測ってボール紙に書き込み、5mmピッチで斜めにカッターで切り込みを入れていきます。そして切り出したのですが、果たして屋根の芯に載せた時にピッタリと合うか?不安でしたねえ(^^ゞ。

 

これが載せてみた図。まさにピッタシカンカン!
 実物がそうであるように継ぎ目にはカバーをする板を貼ります。コピー用紙を4mm幅にカットしたものを貼ってやると、まるで本物のよう(^O^)。余った部分はVの字にカットしてやります。

 

屋根の稜線になる部分は2mm幅にカットしたボール紙を2本、1mmほどの隙間を空けて接着して、その外側でカットします。
 この隙間がミソでして、折り曲げた時に隙間が埋まるように仕上がります。

 

これも最初から決めていたのですが屋根は赤。まずラッカー系の赤(使ったのはグンゼの艦底色)を塗って充分に乾かした後に、エナメル系の艶消しバフにフラットベースを更に加えたものを極く薄く溶いて、ざっと大まかに塗っていきます。
 これも乾燥したら、エナメル用シンナーを布に浸して拭っていくと、切り込みの目地に入ったバフはそのまま残り、表面のバフはそこそこ綺麗に拭き取れて、(艶消しの効果は残したまま)目地が際立ってきます(^^♪。
 一時はどうなるかと危ぶまれた集乳所ですが、こうやって出来上がってみると可愛いもの。これで先が見えてきました(^_-)-☆。