木曽のモーターカー改造コンテスト入賞作品

最優秀賞

山下貴之さんの作品*遠山森林鉄道のボンゴくん



 



遠山森林鉄道で熊谷組が所有していた車両です。昨年発売された写真集に掲載されている数枚の写真を見てどうしても作ってみたくなったのですが、はたして1/87のクルマを金属で作ることが出来るのかが課題でした。
 製作にあたってまず、近所のディーラーに行って、この当時のボンゴの寸法が判るような資料は無いかを聞いてみましたが駄目でしたので、マツダの本社に駄目モトで趣旨を書いて手紙を送ったところ、非常に好意的に対応してくださり、真横を含む写真のコピーを3枚と、諸元が判るものを送って下さいました。それによると、何とかスケールに忠実に出来そうでしたが、幅は1mm弱は拡げざるを得ませんでした。それが11月末。締め切りまであと一ヶ月もありません。
 その間インターネットで写真を探しまくり、この写真集を出された方に問い合わせたりして、出来るだけの写真を集めました。そこで判ったことは、台枠から下の部分はどこで働いていたものでしょうか、モデルワーゲンでも発売した「酒井製モーターカー」の足まわりを使い、マツダボンゴのボディーを被せたものですが、長さの関係から、運転室のドアー部分をカットし(まるでNゲージの切り継ぎ工作のように)、荷室部分を溶接してしまっているということ。これには驚きました。
 工作を始めたのは12月に入ってからですが、さすがにクルマを作るのは初めてのこと。どこから手を着ければ良いかも判りませんでしたが、とにかく手を動かそうと思いました。t0.1〜0.3mmの真鍮板や各種真鍮線などを切ったり抜いたりをしていきましたが、ヘッドライトの窪みは良いサイズの角パイプが無かったので、真鍮板にPカッターで溝を入れてから四角く折って角パイプ状にして作りました。その奥にやはり真鍮板で塞ぐ形にしておき、塗装後にレンズを接着しました。Hゴム窓部分はt0.2mmの真鍮板を半田付けしてから窓を切り抜く方法、屋根のリブは真鍮線を半田付けしました。
 レタリングはどうしても入れたかったので、原稿を作ってくろま屋さんで特注で作って貰いました。ようやく半田付け工作が済んだのが締切日の3日前の12月22日夜。翌日は早速塗装です。何とか締め切りに間に合わせることが出来ましたが、愛着もひとしおです。
 集めた写真を見ると、前のバンパー部分が撤去されてラジエターがむき出しになっている姿がありました。これはどうやら事故ってしまい、撤去されたもののようで、それを機に塗装も変更されているようです。
 下まわりは「酒井製モーターカーV」を使い、高さが無いことから「DCC化用コンバージョンキット」のモーターを使いました。
 実は遠山森林鉄道には他にもモーターカーが在籍しており、それらも順に作っていくつもりですが、出来上がったばかりの今はただ放心状態です。








 

使った素材は平凡な板と線、そして根性。下まわりは基本的には当社の「酒井製モーターカー」。片方のエンドビームは加工がされています。

 

ともすると「何かミニカーで使えないか?」と考えてしまい、herpaあたりの外車で済ませてしまいがちなところを、スクラッチビルドしてしまうところは脱帽ものです。



木曽森林鉄道No.18モーターカー



 



*前回のコンテストの参加賞を動力化したものです。動力化出来るのか、出来ないのかを試してみたも
 のです。
*参加賞のエッチング板にKATOのBトレ用動力のモーター、5tボギーDLの動輪などを使いました。