木曽のモーターカー改造コンテスト入賞作品

優秀賞

高塚慎司さんの作品*屋久島タイプのモーターカー



 



以前から岩崎製小型モーターカーを動力化したいと思っていたところ、友人から4o×8oのモーターを譲ってもらえることになり、ボンネットにモーターを納めることができそうな屋久島タイプモーターカーの製作を開始しました。
 まずは設計です。キットのパーツを測ったり、写真を見ながら10倍図を書き、これに動力装置も書き込んで行きました。その結果、キットのブレーキシュー部分を活用することにしました。
 設計が終わると工作開始です。車輪の片方を引き抜いてモジュール0.2の10枚ギアを挿入したあと床板、ブレーキシュー部分に動力化のための加工をしていきます。途中何度も何度も現物を合わせてギアの噛み合いが適当かチェックしました。ブレーキシュー部分の床板への固定は1.4oプラビスで行い、合わせて集電シューも固定するようにしました。
 モーターは切れ込みを入れた真鍮パイプに差し込んでいるだけです。車両を製作する際は、後々の整備を考慮してできるだけ分解可能な構造にしておくようにしています。リード線は友人の事例を参考に初めてエナメル線を使ってみました。ボンネットは洋白板から、後部座席部分は真鍮板からの自作です。
 塗装は黒染後クレオスのロシアングリーン1を使用しました。塗装後幌を付けようかと思いましたが、開放的な車両なのにあえてその特徴を殺すこともあるまいと思って見送りました。その結果、雨天時に運転手は合羽を着なければいけないというなんともスパルタンなモーターカーになりました。
 今回使用したモーターはトルクがとても小さく、採用した30:1程度の減速では不十分なようです。ちょっとした車輪のフレ、ギアの噛み合わせなど6oモーターではなんでもない程度のことが回転に大きな影響を与え、調整するのが大変でした。完成したのは締め切りの2日前、時間をにらみながらの工作は冷や冷やものでした。








 

実車は木曽から5tDLとともに移籍したもの。前面に面影を残していますが、エンジンを載せ変えています。作品ではその感じを実に良く再現しています。

 

 

ボンネット内に納めた超小型モーターから前部座席の間にセットされたスパーギヤーで床下に下ろし、車軸上のウォームギヤーで駆動しています。こんな小径の動輪にギヤーを組み込んで駆動してしまう。凄い技術です。あと見過ごしがちですが、床板の縁はテーパー状にして厚みを感じさせないような配慮がなされているあたりは流石です。右の写真は高塚さんが製作メモに添えて送って下さったもの。緻密な工作精度が要求される部分です。