Chapter.4 実際に模型を作っちゃうの巻・人車編



「おはよう竹さん」
 安曇木材の楓チャンは、小学校のある安曇追分の町まで毎朝、おじいちゃんの「電車」に乗せて貰って通っています。「竹さん」はこの道50年のベテラン機関士。むかし森林鉄道で使っていた機関車が来てから、ずーっとその運転をおじいちゃんから任されています。そして楓チャンの大の仲良し。
「おう。今朝も凍みるなア」
「うんっ」
楓チャンが車庫に来ると、いつも機関車のエンジンは掛かっていて、その暖かさが車庫の空気を暖めてくれているので、何だかホッとした気持ちになります。
「さ、行くか!」
フォーン、という気笛を鳴らした機関車は、いつもの径を走り出しました。製材工場の横をすり抜け、吉野さんちのお勝手の裏を通ったと思ったら、小さな橋を渡っていきます。今まで右に見えていた追分山が、今度は左に見えてきたと思ったら、すぐに林の中に入って行きます。あっ、勝次クンが手を振ってる。楓チャンはいつもの「電車」の特等席に座って自慢げです。だって自家用車なんですから。
 10分くらい乗ったでしょうか。ガタゴトと揺れたと思ったら駅に着いたようです。ここから学校まではほんの15分くらいの距離なので、歩いて行きます。
「行っといで!」
竹さんの乗った機関車は、朝一番の材木を受け取りに、もう土場へと走り出していました。



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ホイットコムが出来上がる前に、人車(楓チャン言うところの電車ですナ)の方が先に出来てしまいました。ネタは「木曽の有蓋小型貨車」。それを人車に仕立て上げてみました。ただそのままでは面白くないので、台枠を木製運材台車Bのものに交換してみました。残り部品で作った関係上、在庫が無かったブレーキカバーは「やまばと号」用のを使用。却って変化が出たようです。ついでに書くと、ブレーキハンドルは「明延の5号機」、煙突は「ワブ」、だるまストーブは「真谷地のコハフ1」、椅子は「岩崎の小型モーターカー」用です。あっ、それから楓チャンは「やまばと号」の一員ですね。
 ドアーは開いた状態にしてみたのですが、塗装には結構手間取りました。まず車内色の薄茶色を塗って窓をマスキング。ドアーの開口部にはその寸法にカットしたプラ板をゴム系接着剤で貼り、外側を塗装しました。その外部色は悩んだ結果「伊豆急」色にしてみました。赤軍団の林鉄車輛の中にあって、私有車輛というイメージを出すために、明らかに違う塗装にしたかったからです。2色に塗り分けて(屋根も入れると3色ですが)からプラ板を剥がして少々のタッチアップ。更に全体にプラカラーの艶消し黒を筆でまぶして、よーく乾燥。乾いたらプラ用シンナーを布に浸して拭っていきます。そうすると凹部やコーナー部だけ黒が残ってイイ感じになります。それからチョット艶を消したクリアーラッカーを吹き着けて出来上がりです。
 さて、次回はいよいよホイットコムを作らなきゃ。