「経ケ丸のホジ101」の巻


今回の取材旅行で最後の訪問地となったのが、井原市郊外にある経ケ丸グリーンパークというキャンプ場です。
 ここにはホジ101とホハ8が保存されていて、特にホジ101の存在は貴重です。
 ホジ101について簡単に書いておきましょう。この車両は昭和30年に導入されたホジ1〜3の増備車で、ホジ101〜102として昭和36年に日車で製造されました(ホジ1〜2も日車製ですが、ホジ3のみは富士重工製)。
 ホジ1〜3が125馬力だったのに対して、ホジ101〜102は150馬力にパワーアップされています。
 外観的な違いは、前者の運転席前の窓が斜めに凹んだところにHゴムがあるのに対して、後者は正面窓が2枚とも同じ平面上にあること、運転席前に通風口が後者にはあること、ぐらいでしょうか。
 また、ホジ1〜3はデビュー当時には黄+緑の気動車色だったのに対して、ホジ101〜102は最初から赤に白帯の新色でデビューしています。
 因みにホジ3は井笠鉄道が廃止になってから下津井電鉄に譲渡され、同鉄道の部分廃止の撤去作業用に供される予定だったらしいのですが、結局はさして活躍もせずに車庫で惰眠を貪っていたそうです。




 

GW中とあってキャンプ場は家族連れで一杯。この保存されている場所は狭い駐車場にもなっていることから、写真を撮るにも苦労する有様でした。
 しかも採寸など始めると、何やってんだあのオヤジは?といった好奇の眼差しをビシビシと背中に感じ、周りでは躾の悪いガキがビャービャー泣きわめき、しかも藪蚊の大群に襲われるわで、散々な目に遭いましたが、ここは仕事。仕事第一と割り切って、ひたすら任務に励んだのでした(@_@;)。


 

ここでは特徴的な下まわりを中心に見ていきましょう。動力台車側は偏心台車です。ホイールベースは850+650mmとなっていて、一見同じように見えるホジ7など用の1000+650mmより僅かに小振りになっています。
 また軸箱の形状や小穴があること等も異なり、駆動軸側にはごつい砂箱も備わっています。因みにこの砂箱は左右で形が違うように見えますが、寸法を測りながら仔細に見ていくと、取り付けの向きが90度違うだけということが判りました。


 

狭い床下にビッシリという感じで並べられた床下機器。ホジ7などのような旧型車と違って、エンジンを吊っている枠はありません。

 

こちらは非動力側台車でホイールベースは1300mm。向かって右側の軸箱に取り付けられているのはスピードメーター検知器です。
 この写真を見てもお判りのように、従来のHOナローだったらKDカプラーを取り付けなければならず、そのためにカプラー周りはかなり違った印象にならざるを得なかったのですが、当社独自の「朝顔カプラーシステム」を使うことによって、実車通りの外観を損ねることなく再現できるので、イメージはグッと良くなるでしょう。


 

反対側の床下機器の採寸や撮影には苦労しました。というのは木製のホームがあるからで、藪蚊と闘うだけでなく、脇腹の筋肉を攣りながらもアクロバチックな姿勢を強要されつつ狭い空間に潜り込み、至近距離からワイドコンバーターを着けたデジカメでの撮影となりました。(^^ゞ。
 ブレーキシリンダーの隣には大きなラジエターが備わり、エンジンのドライブシャフトと直結したファンが冷却するような仕組みになっています。また、左右側面にはS字型になったダクトの開口部があります。


 

扁平な形をした燃料タンク。その隣には何とウエバスト式温風暖房機までもが備わっています。

 

屋根のR具合を見るのには正面から望遠レンズで撮るのが良いのですが、シチュエーション的条件からこれが精一杯。見事なまでに総ての窓ガラスは割られ、しかもHゴムまで総て外されてしまっていました。車内で駆け回るガキで車体は左右にユラユラと揺れていました(^O^)。
 コストの点で再現できるかどうか判りませんが、簡単ながらも運転機器も模型で再現できたらイイですね(^^♪。