9月6日 馬路村の巻

 

恐れていた事態になりました。四国内の交通機関は全面ストップ。本来でしたら、6時ごろの土讃線で窪川を経て宇和島へ向かう予定だったのですが、これではどうしようもありません。しかし元来が楽天的な性格のボクと工藤クン。これは千載一遇のチャンスと考え直して、ホテルに戻ってバイキングの朝食を摂ったあと、レンタカー屋に向かったのでした。街は暴風雨。看板が飛んで来る恐怖に晒されながら。アッと云う間に傘も壊れてしまいました。レンタカー屋でも「この台風のなか何処へ行くんですか?」と聞かれてしまい、「とにかく気をつけて。あと、早めに今日は店も閉めてしまうかも知れないので、昼過ぎに電話を入れてみて下さい」という声を背に昨日のデミオで乗り出したのでした。





向かった先はもちろん前日取りこぼした「酒井3.5t」。ようやく馬路村まで辿り着いたものの、クルマの外は凄い雨。台風というのは時々雨が弱くなるので、しばらくクルマの中で待機。しかし、弱くなったとしても手元にあるのは壊れた傘。かろうじてカメラをかばいながら撮影をしました。



 

この写真はかつて静岡県の天竜林業高校に保存されていた時代のもの。地元の水窪(みさくぼ)営林署で使われていたからで、塗色も使われていた頃のものとはチョット違っていました。思えば、この頃から模型化してみたいと考えていたもので、今回製品化が果たせれば、28年越しの祈願達成となるのですが・・・。



 

  

まずは各部の撮影から。酒井でC型と呼ばれる板台枠の車体。ラジエターの下部は床板にはまり込むようなスタイルです。小型機なので砂箱蓋も一ヶ所です。下まわりは右側の撮影ですが、軸箱は前方のものが左右イコライザーで結ばれていて、全体で3点支持になっています。



 

写真を整理していて気づいたのですが、向こうの方で「この台風の中なにやってんだ〜」と見ている人が居ますネ。3.5tという小型ながらも酒井というブランドを背負ったこの機関車。やはり整ったスタイルをしています。ここでふとよぎった不安。国道までの道が不通になったら村に閉じ込められてしまうのでは?もうこうなったら雨の合間など言っておられません。「晩飯おごってやるから」という励ましの言葉に支えられ、工藤クンは雨合羽で巻尺手に採寸開始。ボクは小屋の軒下でノートに筆記です。ずるいって?ノートが濡れたら駄目でしょ?でも横殴りの暴風雨は容赦なくボクにも打ち付けていました。「23センチ!74センチ!」という確認の声も、耳に吹き付ける防風でかすれがちになりながらも、何とか作業終了。逃げ込むように戻ったクルマの中でホッとひと息。帰りに廃線跡の鉄橋も撮影して今日の作業は終わり。(続く)