皆さんの工作台から

伊藤Mさんからのお便り

2010/10/31
4.木曽の砂利運搬車
 冒頭に書いたとおり、酒井10tDL 124号機と共に木曽物ファンにしてくれた張本人です。製品紹介を見て最初に思ったのは、これを走らせたい。ディスプレイ専用だと、なんだか惜しい気がしてしまったのです。それから組立講座が掲載されて思ったのが、ダンプさせたい。せっかくヒンジが作りこまれているので、カタンと倒してザラザラーっとばら撒いて、などと考えました。
 先にヒンジの加工が出来上がりました。ヒンジピンが収縮誤差でうまく収まらずに折れてしまったのを機に真鍮線で再生し、受け側も穴をドリルでさらう、隙間を金ノコで削って拡げるといった加工を施し、傾ければカパッと開きます。ロックバーも別パーツ化されているので、極端にオモチャっぽくならないように留意しつつ可動式にしてみたいところです。
 それにしても、このバケットが1パーツ構成というのは驚きです。これまで見てきたロストパーツといったら、曲げやプレス、エッチングでは表現の難しい立体パーツ程度のものしか見たことが無く、細かなヒンジや側面のフックまでもが一体成型というのは、これまで型割の関係で一体化に制約を受けやすいプラキットに馴染んできただけに意外でした。これほど入り組んだパーツ自体見たことが無く、貴社の技術の高さが実感できる一品だと思います。バケット底面だけは面が乱れていたので、ハンダを流してツルツルに削り込んでみました。ベコベコな底を表現したのだったらゴメンナサイ。おっと、バケットの内側にもフック裏のリベットが。危ない危ない。
 走行対応については、あの手この手と色々と考えて行き着いたのが、ABS樹脂から車軸を削りだすことでした。ただのABS材を売っている店はそうそう無いので、我が家に大量に住まうロボットのプラモデルからABSパーツのランナーを分けてもらいました。そのままでは太すぎるので、適当に竹割で4分割した後、リューターに咥えて簡易旋盤加工。付属の金属車軸と同じくらいまで削り込み、車輪が嵌る部分は軽く留まるくらいに段落とし。車輪は付属のシャフトでリューターに留め、踏面・フランジをヤスリ磨き。裏面も削り込んでバックゲージの調整をしたら、台枠に嵌めてみます。ブレーキシューが盛大に当たる個体だったので、根元から反らせ、シュー裏側・摩擦面の削りこみで車輪から離してショートしないように加工していきました。まだ完全には絶縁できていないのですが、後は塗装で何とかなると考えています。
 そういえば、今年発売の新製品で唯一形にした車です。ということは…。



5.木曽の酒井7tDL 84号機
 こちらは5t 74号機の落下事故後にオークションで落札したものです。当面完成させられないからと、代わりになる車を手配したかったというところです。ようやく形になった砂利運搬車の走行テストをするべく、先週から突貫で下回りを組み上げました。ディテールパーツは付けていませんが、走行可能な状態になるところまでは組んであります。ラジエターは5t機と違ってギアフレームの固定に必要なものではなく、気分で付けた飾りです。結局この車も組み立て中に部品を壊してしまい、軸箱もなぜか回転が渋くなる症状が出て、仕掛品になりかけたのですが、幸いにも同じ7t 107号機が最近転入しており、こちらから補充して事なきを得ました。
 幾分古い製品ゆえにコの字ドローバーが付属していたのも幸いでした。なぜかずっと今までピン&リンクを買っていなかったのです。まだ上回りの無いどこかの簡易移動機みたいな風体ですが、試運転中の砂利運搬車の先導役を務めています。


 我が家で今手がけているものはこういったところです。欠損部品発注は近いうちに車両補充と併せてしようと思っています。手付かずの井笠シリーズ、近日中には取り掛かります!
 長文となってしまい、申し訳ありません。今後も意欲的な開発に期待しています!
組み立てを失敗したり無くしてしまったパーツは在庫がある限り分売しておりますので、伊藤Mさん、心置きなく御請求下さい。皆さんも御安心下さいネ(^^♪。(もりこー)


2010/10/29
森川様 井笠シリーズ発売以来お世話になっております。大阪の伊藤です。
 井笠に混じって発売された木曽シリーズに手をつけるようになって以来、中古市場で酒井DLなどを買い集めるようになり、井笠だけのつもりがすっかり木曽のファンになってしまいました。仕掛品の恥ずかしいものばかりですが、ご覧に入れたいと思います。

1.明延のわかば号
 もう13年も前の古い製品ですね。まだ炭鉱・簡易軌道シリーズが主力だった頃でしょうか。当方が初めてモデルワーゲンの名を知った、今に連なる第一歩となった思い出の一品です。別の記事が縁で購入した模型雑誌の新製品コーナーで知りました。ナローのキットとしては決して高価ではないものの、当時まだ高校生で、小遣い銭では到底買える額ではなく、泣く泣くあきらめた後、そのまま長らく忘却の彼方へと消えていました。
 再び目にしたのは、5年位前でしょうか。当時の任地は長崎県壱岐島で、福岡博多の鉄道模型店に通っていました。ある日、ショーケースの片隅で明延の基本編成が眠っていることに気づきました。再会したときの感動は今でも忘れていません。とはいったものの、セットゆえに少々高価で、なかなか連れ帰ることは出来ませんでした。そうこうしているうちに、昨年まで勤めていた山口県の職場を離れることが決まり、博多に出入するわけにもいかなくなりました。このとき、5年間お世話になった店の思い出にとようやく手にしました。
 組立はなんと大阪への引越しの数日前に行ったものです。部品構成がシンプルだったため可能だったのでしょう。といっても、軸箱周り、ドアステップの組立に苦労した覚えがあります。屋根の部品を付け忘れているようですし。ギアフレームですが、実はハンダ付けしていません…。林鉄・軽便シリーズと異なり、床板に直接台枠をホゾ組みする構成なので、組み合わせるだけでがっちりと固定されているのです。わずかなすり合わせだけでぴったりと組み合わさる製品精度の高さに驚いたものです。いずれはきちんと固定し、残りの車両と共に仕上げたいと思います。あと、後に同じく先の店で眠っていたくろがね号も我が家に迎えています。

2.木曽のC型客車1段窓
 こちらは井笠シリーズ発表後にオークションで引き取ったものです。比較的近年の製品ということもあり、ホジ12製作前に最近の製品の構成を理解する習作として組み上げたものです。
 ハンダを流しすぎて危うく再起不能にしかけたり、まっすぐ付くべきものが歪んで修正に明け暮れる羽目になったりと、悪戦苦闘しながらも何とかご覧のとおり形にすることができました。まだ在庫のある製品なので、木曽物として仕上げるときは正規に購入することにし、こちらはどこかの保存鉄道の客車ということにしようと考えています。
 酒井3,5tGLとおそろいの塗装にしてやろうとマッハの色缶を買ってきた直後、ブレーキシューが1本行方不明という事態に気づき、いっそGLにあわせて手ブレーキ化してやろうかなどと画策することに。そうこうしているうちに、今度は背もたれが1個行方不明…。こちらは破損したので類似の形態のもので再生したことにしようかと。
 下地完成の1歩手前で停滞していますが、卓上のマスコットとして鎮座しています。

3.助六の酒井5tDL 74号機
 これもC客に続いてオークションで手に入れたキットです。たまたま最新のバージョンVが売り出されていたというのもありますが、後述の砂利運搬車が発表され、それの牽引役が欲しかったといったところです。可動式車軸に精緻なロストパーツの数々など、最新規格モデルの出来の良さに感動したものです。
 で、早速取り掛かったのですが、大型ロストパーツのハンダ付けは長らく遠ざかっており、台枠によく火が通った状態で触れてしまい、反射で弾いて転落事故に。元々個体差で弱かったブレーキホースが折れてしまい、下回りの作業が停滞することになってしまいました。根本の原因は台枠の前後を取り違えてクランク受けを削ってしまったこと。説明書はよく読んで。
 上回りも、ラジエターとボンネットとがうまく固定されず、何度もやり直しました。一番確実だったのが、写真のようにマスキングテープで仮止めする方法。熱を加え続ければ当然焼け焦げるのですが、さっと仕上げることが出来れば殆ど問題ありません。排気管取り付け前なので、まだ貼りっぱなしです。エンジンも固定準備をしていませんし、キャブも妻板を付けただけの途中状態。思い切って窓を少し開けてみたことですし、早く形にしてお披露目したいところです。出来ればエンジンは外して楽しめるように加工してみたいものです。

伊藤Mさんは文章にもありますように最近になってお得意様になられた方ですが、なかなか熱心な方で工作の方も御覧の通りシッカリしたものです(^^♪。長文を頂いてしまったので、2回に分けて掲載させて頂きますネ(^O^)。(もりこー)