「沼尻のセタ用積荷」について



沼尻鉄道は沼尻鉱山から産出される硫黄を運搬する鉄道ということは、皆さんよくご存知だと思います。しかし、その硫黄をセタに積む場合、どのようにしているかは、案外あいまいなのではないでしょうか。
 原石のまま?それとも精錬された粉の状態?実はボクも今まで、その点があいまいで、セタの見本が出来上がったので、近場の硫黄温泉にでも行って、黄色い硫黄でも拝借してきて、粉にして積もうなんて考えていました。
 しかし、幸いにもワーゲンクラブの会員さんの中に、旧沼尻鉄道の関係者の方がいらっしゃることが判明し、その点をお伺いすることが出来ました。

結論から申し上げますと、精錬された硫黄は筒に流し込まれ練炭のような形で運搬されていました。その中央部には穴が開いており、ちょうどトイレットペーパーのような形をしていたそうです。
 直径35cm、長さが50cm程度の大きさだったそうです。色はもちろん硫黄の黄色。天気の良いときはこれをセタに裸で、雪や雨の時にはシートで覆っていたそうです。ただ、割れやすいモノだけに、欠けてしまっているものもありましたが、気にしないでそのまま積んでいたそうです。それも綺麗に並べるのではなく、結構適当に放り込むような感じで。

あと面白い話では、沼尻から川桁へはこの硫黄を運んでいたそうですが、逆方向の場合には、セタに石炭を積んで帰ったそうです。この石炭は産出された硫黄を製品化する際の燃料にするため。
 この石炭の大きさは国鉄蒸機のテンダーに積まれるものよりも小さい粉炭のような状態で、模型の場合だと細かい目のバラストが良いのではないか、ということでした。

ただ、昭和40年頃からトラック輸送に順次切り替えていったため、セタによる運搬も段々と減っていったそうです。
 こういったエピソードというのは、現場の方でないと判らないもので、大変貴重なお話をお伺いできて良かったです。

当社ではこの硫黄を積んだ状態を再現できるように、「沼尻のセタ用硫黄」を発売することに致しました。準備が出来ましたら御案内させて頂きますので、楽しみにお待ちください。

          (Photo by : left= Hisashi Morokawa, right= Katsumi Satou from CD-ROM Vol.10&12)



「沼尻のセタ用硫黄」