「川を見に行く」の巻


「黒渕」のときもそうでしたが、川を作るとなると実物を見に行きたくなってしまいます。幸いウチから歩いて5分ほどの所に烏川という北アルプスを水源とする川が流れているので、観察には事欠きません。真夏には水量も減ってしまう烏川ですが、今は流石に雪解け水のためか、勢い良く流れていました。濁川の写真をみると、撮影された季節が夏が多いためか、水量が殆どなく、何だか枯川のようですが、ボクが表現したいのは、まさに雪解けの今の季節。勢いのある姿に仕上てみたいものです。



 

堰の表情をまず見てみました。当然の話ですが、上手の水位は堰の上面と同じ高さです。いや、もっと正確に書くならば、堰の上手の僅か手前から上面は少〜し盛り上がっています。つまり堰に当たった水が、盛り上がっているのでしょう。堰の下手の水しぶきの白と対照的に、水底の色を見せるような穏やかな表情です。面白いのは、上手には流れてきた岩が無いのに対して、下手には案外有ります(テトラポットもありましたが)。イメージ的には堰でせき止められた岩が、上手にはゴロゴロしてそうな感じですが、意外にも逆でした。やはり実物を見てみるものですね。



 

次は中洲の表情。小さな中洲とチョット大き目の中洲がお誂え向きにありました。小さな方は砂利が溜まっているだけでしたが、大きな方は木も生えていて、その幹には流木などが引っ掛かっていました。



 

川岸の表情に目を向けてみます。水量が多かったときに岸辺の木に引っ掛かった流木。水でえぐられた岸。さまざまです。やはり上手に比べると白波が目立ちます。しかも波頭が尖っている点に注目。



 

今度は流木を見てみます。まさに「根こそぎ」流れてきた木もありました。川岸の木に引っ掛かった流木は(写真では流枝ですが)、当然ながら上手に付いていますし、木も心なしか下手に傾いています。



 

最後に水の色。この色合いを何とか出したいものです。浅いところは川底の石の灰色が、少し深いところは青緑色をしています。いや、真上から見れば同じ色なのかも知れませんが、我々の普段の視線ではこう見えます。だからジオラマでもこの感じで仕上ないと、却って不自然な感じになってしまうかも知れませんネ。中洲で分流していた流れが合流する部分は、まさにポイントが片方に開いているように、勢いの強い方に弱い方が割り込むような感じで流れが出来ています。そして合流している部分には白波が立っています。
 あと全体に云えることですが、水面は平らではないということ。確かにプールなどに入っている水面は平らですが、流れている水面は決して平らではありません。水底の高さに応じて盛り上がっているし、流れが合流したところも、ぶつかり合って盛り上がっています。ここいら辺が「流れ」を表現するコツだな、と収穫を持って帰りました。

さてさて、こんなイメージをどこまで再現できるかな〜。イメージをそのまま再現できるようになればプロですが、ボクはジオラマの初心者ですから、60点も出せれば及第点でしょう。でも、見ないより見ておく方が、イメージを作り易いことは確かなようです。