キット組立講座

王滝の33号機

第1回
「助六の酒井製5tDL」のあとを追うかたちで発売されるこの製品は、「助六」の基本設計を踏襲しつつ、妻板の表情やボンネットのディテールを変え、台枠も古めかしい「井カサ」のレタリングという出で立ちで登場。「似ているようでいて似ていない」妙味をお楽しみ頂けるのではないでしょうか?

1.まず、ボンネットに仕切板を半田付けしてから、ラジエターを半田付けします。この部品は、最終組み立ての時に負荷が掛かる部分ですので、シッカリ半田付けしましょう。テスリ用の小さい穴を半田で塞いでしまったとしても、気にしないようにしましょう。0.4mmのドリルさえ有れば良いのですから。


2.細かい部品を付けていきます。砂箱ハッチが4個あるのが、この機関車の特徴です。排気管は垂直になるように留意しましょう。「助六」の時にあったエアークリーナーカバーや手摺もありませんので、スッキリした感じです。


3.次はキャブの組み立てです。キャブ側板に前後の妻板を半田付けします。そして、細かい部品も付けていきます。屋根に付くドアーレールと雨樋は、「助六」の時と取り付け場所が少し違います。ドアレール(リベットが6個の方です。台枠に付く方は5個です)はエッチングで表現されているキャブの帯状の下に半田付けし、雨樋はエッチングの帯状を挟んでその上に付けます。後部の引き違い窓は、自分の部屋にある窓を観察して、右側が手前にくるように半田付けしましょう。


4.ドアーを組み立てます。まずランナーから切り離し、長手そして短手の順に折り曲げます。この折り曲げ作業をし易いように、折り曲げしろを敢えて長めにしてありますので、折り曲げて各コーナーを半田で補強してから、ドアーの厚みを0.8mm程度までヤスります。#400位の耐水ペーパーの上でシコシコやっていれば、じきにこの程度の厚みにまでヤスれます。そののちに、テスリを半田付けして、ドアーの裏側をツライチに仕上げておきます。このドアーをキャブに半田付けしても良いのですが、塗り分けの事を考慮して塗装後に接着する事にします。自信のある方は半田付けしても勿論構いません。


5.ここでキャブの角穴にボンネットの凸部を差し込んで半田付けします。点検扉の部分でも半田付けしておきます。この際に捻じれがないように注意しましょう。これで一応上まわりの半田付けは完了です。カッティングマットの方眼が10mm角ですから、この機関車はいかに小さいかがお判りでしょう。


第2回
1.下まわりはギヤーフレームの組み立てから始めます。スペーサーを挟んで組んでいきますが、歪みがないように注意しましょう。前後の取付板は水平になるように注意。


2.台枠を組み立てていきます。まず軸受を半田付けしてから、エンドビームを直角度に注意しながら半田付けしますが、この部品は前後がありますので注意しましょう。L字の部品が2つ出来たら、四角に組みますが、歪まないように注意しましょう。床板を落とし込んで台枠に半田付けしますが、なるべく前の方は隙間がないようにして、後ろの方に隙間を持ってきましょう。上下取付板は角穴が0.5mm程見える位置に半田付けします。





3.モーターに配線をしておきます。リード線の半田付けの向きは、写真のようにしておくと良いでしょう。


4.エンジンは汎用性を持たせるように作られているので、若干ヤスる必要があります。写真のように平ヤスリで上部と左上部をヤスッておいて下さい。


第3回
1.さて、塗装に掛かります。例によって竹串にパーツを差したり、両面テープで止めたりしたものを、発泡スチロール板に差して備えます。今回はドアーをキャブにエポキシ系接着剤で止めてから、一体で塗装をしてみました。


2.車体はまず、全体をライトグリーンに塗ってから、細い帯を塗り分けるようにマスキングをします。ラジエター横の部分は、他の助六の5tの斜めとは異なり、横一直線です。


3.上でマスキングした部分を濃緑で塗り(一説によると黒だった=台枠も含めて、という説もありますが、OBの方に聞いたところ「元来は濃緑だったものが汚れて黒くなっていたもの」という話をお伺いしました。まあ、好みで黒く塗っても良いのではないでしょうか)、ラジエター・ヘッドライトケース・排気管を黒く塗ります。


4.左が塗りあがったところ、右は更にあらかじめ黒く塗っておいたラジエター保護枠を、エポキシ系で接着したところです。


5.Hゴム部分にグレーを差してから軽くウェザリングしたところです。ところで、33号機のキャブは一見「前期型」と同じように見えますが、高さは同じもののHゴム窓の位置が低く、ドアーの高さも違うので、真横から見ると似て非なるものと判ります。この段階でエンジンもライト関係の部品もエポキシ系で接着しておきます。更に窓ガラスをプラ板から切り出して、貼って出来上がりです。


第4回
1.台枠を濃緑に塗ったら、別に黒く塗っておいたカプラーをピンを差して、エポキシ系で止めます。そして軽くウェザリングして仕上げます。


2.動力装置を組み込みます。モーターの配線は写真のようにしておくと良いでしょう。なにしろとっても狭いキャブ内ですから。ギヤーにはシリコーングリースを少し塗っておきましょう。


3.さて、出来上がりました。助六の5tと並べてみると、少しずつ違いが有るのが判るでしょうか?左から前期型、後期型、33号機です。33号機は最後まで空制化されなかったので、コンプレッサーもエアーホースも装備されていません。しかも、ワイパーも装備されていなかったんです。


4.さて、整備も済んだ33号機が残雪の山を脇に眺めながら、田島に配属されました。早速仕業に就いた彼は、滝越まで空車を運んだあと、前夜からヤードに入っている運材貨車の入れ換えを始めました。そして先ほど左に眺めていた山並を右に、一路上松を目指したのでした。