キット組立講座

木曽の酒井製モーターカー

第1回
ボギーDLの組立講座が好評だったことを受けて、引き続きこの講座を開講することにしました。アイテムは順次遡るかたちで、やってみようと思っています。つまり今回は「木曽の酒井製モーターカー」です。

1.まず、正面に窓枠を半田付けすることから始めます。右が半田付けをしたところ、左がキサゲで仕上げたところです。ここで注意する事は、窓枠は繊細なので、ランナーから切り離して断面をヤスリ仕上げする時に、曲げてしまわないようにする事です。また、半田付けする際に、双方が水平になるように注意しましょう。

2.次に、ヘッドライトベースを半田付けしておき、車体と組み合わせます。左が半田付けしただけの状態、右が400番位の耐水ペーパーで継ぎ目を仕上げたものです(最後には800番位の耐水ペーパーで仕上げをします)。この作業は、塗装後に結果がハッキリと現れてしまいますので、入念に仕上げましょう。後ろのマスクも半田付けしておきますが、こちらは特に部品を付ける必要は現段階ではありません。

3.車体アングルと側面の雨樋を半田付けします。車体アングルは、L字の片辺を車体の裾に合わせて、また雨樋は側面に浮き出たエッチングに引っ掛けるように位置決めをするので、苦労しないでしょう。


第2回
今回は、上まわりで一番てこずるのでは?と思われる部分、後部ドアーの半田付けについて解説しましょう。逆に言えば、これ以外の点は、何ら難しくない、という事でもありますが。

1.まず、ドアーをランナーから注意深くカットし、切断面をヤスリで仕上げておきます。そして、スジが3本入っている部分をヤットコで挟んで、妻面の角度に合わせるように指で軽く曲げます。

2.このドアーを妻面に置いて、上部でまずチョン付けし、歪みが無いかを確認したら、周り全体に半田を流します。
3.ドアーと一体になっている雨樋は、まずコーナーの部分まで半田で止めて、指で軽く曲げます。余った部分を現物合わせでニッパーでカットして、その切断面をヤスリ仕上げ、そして半田付けします。くれぐれも水平に注意しましょう。
4.半田付けが終わったら、キサゲで仕上げて出来上がりです。これで上まわりの工作はおしまい。


第3回
今回は、下まわりの組立てです。この組立は基本的に、部品がホゾ組みになっているので、とても簡単です。さあ、やってみましょう。

1.まず、フレームの組立てです。重要なポイントは、”歪みなく”という事です。フレーム板に角棒のスペーサーを半田付けしてから集電ブラシ止板を半田付けします。出来上がったら、フレームの下辺を写真右のように、角棒の面まで平ヤスリやサンドペーパーでヤスッて仕上げます。

2.出来上がったフレームを床板に半田付けしますが、床板の角穴に差し込むようになっているので、位置決めは楽です。
3.さらに軸受を床板に半田付けしますが、この部品も床板に差し込む部分が段になっているので、作業が実に楽です。


4.写真の左から順に組立てていきます。つまり、エンドビームを床板に半田付けし、台枠を半田付けし、最後に補強棒を半田付けします。これらの部品も総てホゾ組みになっていますので、何ら難しいところは無いでしょう。最後に床板の上面に出た部分総てをツライチにヤスって仕上げます。ロストワックスの半田付けには、ステンレス用のフラックスを使うと気持ちよく半田が流れてくれます。お試しあれ。


第4回
今回は、塗装の段階に入ります。塗装作業というのは、半田付け作業と性質が違うため、とかく嫌がられがちですが、怖がらずにトライしてみましょう。要は慣れです。

1.まず、竹串をネジ穴に差して、ボディー全体をクリーム色に塗ります。あとで2色目を塗る部分は塗らない方が良い、と勘違いしている方がいらっしゃいますが、それは間違いです。塗らない部分にも僅かながら塗料が付着して、そこが肌荒れの原因になってしまいがちだからです。必ず全体を塗りましょう。他の例で言うならば、旧型客車の屋根なども同様です。全体をブドウ色もしくは青色にまず塗ってしまいます。

2.マスキング作業です。写真の左から右へと順に作業をしていきますが、窓部分にもテープを貼るのを忘れないように注意しましょう。


3.また竹串を差して2色目を塗ります。ちなみに青色ヴァージョンの方は、"伊豆急のブルー"を塗ってみました。


第5回
今回は塗装の続きと仕上げです。参考までに書き添えるならば、私はプライマーを塗ってから、まだ半乾きの状態で最初の色は塗り、翌日にマスキングをして、出来るだけその日の内に2色目を塗ります。

1.2色塗り終えたら、正面窓枠の塗装をキサゲで剥がして、磨き出します。キサゲだけですと傷っぽくなりますから、目の細かいペーパー(800番以上)で仕上げておくと良いでしょう。

2.そして次はディカール貼りです。プラモデルを作った事のある方ならば、きっと経験済みだと思いますが、まずディカールを皿に入れた水に浸して、フィルムが浮くのを待ちます。浮いたフィルムは注意深く車体の所定の位置に乗せて面相筆で位置を整えます。そこで、ソルバセットやマークソフター等の膜柔軟液を筆に浸して、車体とフィルムの間に浸透させます。すると、次第にフィルムは柔らかくなって車体の凹面に追従するようになります。つまりこの段階で固着する訳ですから、もう位置は変えられません。そして完全に乾くのを待てば良いのです。インレタはフィルムを車体に乗せて、写真のようなヘラ(インレタ専用のものがあります)でこすって固着します。ここまで行ったら、クリヤーラッカーを吹き付けてオーバーコートとします。


3.オーバーコートをしたら、小物類をエポキシ系接着剤で付けていきます。ワイパーは写真のように少し曲げて、出っ張った窓枠を跨ぐようにすると良いでしょう。


第6回
今回は下まわりの仕上げ工程について解説します。いよいよ最後の段階ですから、一気に進めて行きましょう。

1.塗装を終えた段階の下まわりです。大小のウエイトは、床板にビス止めした状態で塗装してしまっても構わないでしょう。

2.チョット見難いですが左から順に、@アイドラーギヤーを組み込んで、Aウオームギヤーを着けたモーターを仮止めして、B動輪も入れてみてギヤーの噛み合わせを調節し、C集電ブラシを組み込みます。モーターの位置決めは、アイドラーギヤーと動輪ギヤーとを指で回してみて、各々のガタが同じようになった所が、最適の位置です。


3.両方の動輪のギヤーには、エンドウ製のセラミックグリースなどを塗っておき、組み込むと良いでしょう。回転すれば全部のギヤーに行き渡ります。最後にモーターのラグ板に配線を半田付けします。


4.この段階でモーターのラグ板に結線して、フル電圧で前後各1分ほど放置しておきます。そうすると、最初は少しくらい渋かった動きも段々と馴染んでくるものです。一応テスト走行させてみて、調子が良かったら、既に出来上がっている上まわりと合体させて出来上がりです。