キット組立講座

尾小屋のホハフ5



尾小屋には多種多彩な客車が在籍しましたが、その多くは三重交通から譲渡されたものでした。
 この客車も例外ではなく、前後非対称の窓配置が物語るように、もとは荷物室付きの合造車でした。
 その変則的な窓配置と共に、一段上昇窓のため異様に広い幕板部が、この客車を強く印象付けています。
 今回製作した見本は窓がところどころ開いた「夏姿」ですが、作り方は「冬姿」も同じです。
 また塗装は幕板部までクリーム色の新塗装と、そこが赤い旧塗装の時代がありましたので、それを選ぶ楽しさもあるでしょう。
 そんな魅力あふれる「尾小屋のホハフ5」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まずはボディーにウィンドウシル・ヘッダーを半田付けする事から始めます。このような場合はシルの裏側に半田を薄く流しておく「半田メッキ」をしておくと綺麗に半田付けが出来るでしょう。
 妻板のシル・ヘッダーは予め丸い棒に巻き付けてカーブに仕上げておき(妻板よりも若干カーブはきつ目の方が半田付けがしやすいでしょう)妻板に宛がってみて、余分な長さをニッパーでカットしておきます。巻き付けた場合には、どうしても両端部分はカーブにしにくいので、ピンセットなどで修正しておきましょう。
 因みに幅が広い方がシル、細い方がヘッダーですが、シルのリベットは心持ち下寄りになる向きで半田付けをします(見本ではウッカリ逆にしてしまいました・・・)



2.次に窓枠やドアーを半田付けします。このキットは予め「夏姿」と「冬姿」とをお選び頂きますが、作業は同じです。
 側板のテスリ用穴と窓枠の半丸の欠き取りが合うようにしてチョンと仮に半田付けをしてみて、表側から見て良ければ本格的に半田を流します。
 側板の前後部やドアー部は平ヤスリで仕上げておきます。
 窓枠を半田付けしたらドアーを半田付けします。
 妻板の窓枠は裏側を谷折りにして半田付けしますが、左右の両端部だけでOKでしょう。



3.ここまで行ったら上下止めアングルを半田付けします。これは窓枠に突き当てるようにして上下方向の位置決めをして、左右方向は中ほどのドアー脇が均等になるような位置で決めます。



4.妻板は屋根板に宛がってみて、カーブが合うようにしておき、サンドペーパーの上で写真のように端部を削って、板厚の断面が見えないようにしておきます。
 左右に飛び出たシル・ヘッダーはツライチで仕上げておきます。



5.側板と妻板とを半田付けします。妻板の左右部で削った部分に側板の板厚が当たるような位置関係になります。
 上面でピッタリと合うようにして、まずL型に半田付けをして、次に箱状に半田付けをします。

 


6.この状態でガラス板の上に置いてみて歪みが無いかを確認しておき、屋根板を宛がってみます。
 もしも屋根板に歪みがあるようでしたら丁寧に指で曲げて、ボディーにピッタリと合うようにしておき、前後左右が均等になる位置を確認しつつ、瞬間接着剤を屋根裏に流して固定します。



第2回

1.下まわりの組み立てです。床板にまずエンドビームを半田付けしますが、左右の出具合が均等になるよう留意しましょう。
 次にボルスターを裏側から、キングポストを表側から半田付けします。



2.床板の側面に台枠補強材を半田付けしますが、足は床板の板厚ぐらいにカットしておくと後の仕上げが楽です。
 キングポストの先の二股に割れた部分に引張棒を半田付けします。次に引張棒アンカーを台枠に半田付けしますが、引張棒の先端が床板の上面とツライチになるように留意して下さい。
 ターンバックルは写真のように湯口が付いた部分をピンセットで摘まみながら半田付けをすると良いでしょう。
 半田付けが終わったら根元の部分をニッパーでカットして、平ヤスリで仕上げておきます。また、床板の上面もツイライチになるよう仕上げておきましょう。



3.台車枠には軸受を半田付けしますが、集電する訳ではないので瞬間接着剤で止めても良いでしょう。


4.これで半田付け作業は完了ですので、ボディーと床板とをビス止めしてみて、不具合が無いかを一応チェックしておきます。


第3回

1.塗装に入ります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下処理してから、ボディー全体にMWC-03 クリームに塗り、床板から下はMWC-02 黒で塗ります。
 ドアーハンドルはテスリと共にMWC-03 クリームを塗ります。
 その後、新塗装の場合はウィンドウシルから上をマスキングして、MWC-15 赤を塗ります。旧塗装の場合は少々手間ですが、まず窓枠の寸法にマスキングテープをカットして貼り、それからウィンドウシルと窓枠の上辺をマスキングして、MWC-15 赤を塗ります。

 


2.これが乾いたら、屋根の下をマスキングしてMWC-17 ダークグレーを塗ります。
 塗装を完了した旧塗装のボディーです。



3.テスリはドアーハンドルと共に差し込んでエポキシ系接着剤で止め、塗り分けラインの位置で赤く塗ります。
 別売のインレタを貼ってから、好みによってMWC-10 フラットベースを入れたMWC-09 クリヤーでオーバーコートして全体の艶を整え、それから屋根の部分はMWC-05 ライトグレーで、その他はMWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧をします。
 新塗装と旧塗装では検査標識の位置が違いますので、この写真や外観図をよく見て間違わないようにしましょう。


4.台車枠は車輪を挟みながらマクラバリに1.4mmビスで止めます。そしてボルスターにコイルスプリングを介しながら段付きビスで止めます。そして、床板とボディーとは1.4x2mm大頭ビスで止めて出来上がりです。

 










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