キット組立講座

問寒別の日本鉄道自動車製客車U(原型・更新型)



正式には幌延村営(→町営)軌道問寒別線。
 ここは終点の二十線停車場から4.3km奥にあった幌延炭鉱から産出される鉱石を問寒別まで輸送する目的で敷設された事から、殖民軌道から出発した他の簡易軌道とは少し趣を異にする線でした。
 昭和28年に村営軌道に、さらに同35年に町営軌道となったと同時に雪印乳業問寒別集乳工場が設置され、これを機に牛乳輸送が盛んになりました。
 従って、住民の為の旅客輸送には自走客車が最後まで導入されず、専らDLが牽引するこの客車がその任に当たっていたのも特徴です。
 当別線から昭和31年に入線したこの客車は、同39年に車体更新され、いわゆるバス窓タイプの窓を持ち、乗降扉も作り直されました。
 そんな魅力あふれる「問寒別の日本鉄道自動車製客車U」の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず更新型はボディーにHゴム窓枠を半田付けする事から始めます。
 以前の製品ですと、この部分は下の窓枠と一体のエッチングヌキになっていたので、ボディーより一段凹んだ位置にHゴム窓枠がきていましたが、今回の製品は実車と同様にHゴム窓枠を取り囲む鉄板をボディーに半田付けするようになっていますので、より実感的になりました。ただ、若干組み立てには手間が掛かりますが、その点は御容赦を。
 作業方法としては定板の上にボディーを横たえ、そこにHゴム窓枠を填め込み、裏側から半田付けしていきます。
 その作業が終わったら、ドアーとステップを半田付けします。ドアーの横は妻板の板厚を逃げておいて下さい。
 Hゴム窓の下の窓枠は、塗装後に無着色のまま車体に接着しますので、この段階で半田付けはしません。


2.逆に原型は簡単で、窓枠やドアーは塗装後に接着しますので、ステップだけを半田付けします。



3.ここまで行ったら上下止めアングルを半田付けします。これは側板の裾とツライチになるように半田付けをします。
 更新型の方の前後方向はドアーに突き当てるようにして、原型の方は妻板が入るスペースを確保して固定します。
 その後で裏側を半田メッキしておいたウィンドウシルを半田付けして、僅かに長い部分を車体長に合せてカット&仕上げておきます。



4.妻板にもウィンドウシルを半田付けして、更新型は窓枠を半田付けしますが、ソケット穴がある方は写真のように0.5mmほどヤスっておいて下さい。
 原型の方の窓枠はまだ付けませんが、写真のように更新型と同様に幅を狭めておいて下さい。塗装の便を考えて、写真のように部品はランナーに付けたままにしておきます。
 カプラーを半田付けして、更新型はソケットを半田付けします。

 


5.妻板をボディーに填め込んで半田付けします。ドアー脇の小さなウィンドウシルはこの段階で半田付けするとラインが揃って良いでしょう。
 原型の方の裏側、ドアーの脇などは半田を綺麗に除去しておき、ドアーや窓枠を塗装後に接着した際にピッタリと接着できるように仕上げておきましょう。
 これで上回りの半田付け作業はオシマイですので、埋ってしまったテスリ穴はφ0.4ドリルで明け直しておきます。



第2回

1.下まわりの組み立てです。原型は床板にボルスターを半田付けするだけですが、表裏を間違わないようにしましょう。
 更新型はこれに暖房器と燃料タンクを着けますが、床板に付けた時に両者のセンターが揃うような位置関係になります。


2.台車枠には軸受を半田付けしますが、集電する訳ではないので瞬間接着剤で止めても良いでしょう。


第3回

1.塗装に入ります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下処理してから、原型はボディー全体にMWC-17 ダークグレーを、更新型とテスリはMWC-03 クリームを、床板から下はMWC-02 黒で塗ります。
 原型の窓枠やドアーはプライマー処理してから、タミヤのプラカラーXF-29 デザートイエローを塗ります。


2.これが乾いたら、原型は屋根をマスキングしてMWC-03 クリームを塗ります。
 原型の屋根の板厚部分をマスキングするのは面倒でしょうから、ここはクリーム色で塗っておき、赤を塗って乾燥後にタミヤのプラカラーXF-63 ジャーマングレーを筆塗りしても良いでしょう。
 その後にウィンドウシルから上をマスキングして、MWC-15 赤を塗ります。窓の内側もマスキングしておく事をお忘れなく。

 


3.更新型のHゴム部分にはライトグレーを差し、ドアーや窓枠を接着してから、クリーム色に塗っておいたテスリを接着します。
 テスリは塗り分け線に合せて、タミヤのプラカラーXF-7 フラットレッドを、カプラーは黒で塗ります。
 インレタは更新型にも「幌延村営簡易軌道」の文字がセットされていますが、これは使いません。
 ここまで来たら、好みによってMWC-10 フラットベースを入れたMWC-09 クリヤーでオーバーコートして全体の艶を整え、それから原型の屋根部分はMWC-05 ライトグレーで、その他はMWC-17 ウェザリンググレーで軽くお化粧をして、プラ板から切り出した窓ガラスを貼ります。



4.台車枠は車輪を挟みながらマクラバリに1.4mmビスで止めますが、左右均等になるように注意します。そしてボルスターにコイルスプリングを介しながら段付きビスで止めます。そして、床板とボディーとは1.4mmビスで止めて出来上がりです。
 









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