キット組立講座

浜中の運輸工業製自走客車



趣味とはおかしなもので、特にナローが好きな方々(もちろんボクもですが)は垢抜けしないデザインに得も云えぬ魅力を感じたりするものです。
 この運輸工業製の自走客車はその「垢抜けしない度」の誉れも高く、泰和工業が何とか当時流行のデザインに近づけようとしていたのに対して、実用本位と云いますか、鈍重なデザインを採用していました。
 雪害を恐れているのか、裾一杯に垂れ下がった正面はどことなく鉄仮面を彷彿させる反面、ドアー脇にテスリを設けるなど他社製にはない気遣いも見せてくれたりもしています。
 そして最後に印象付けているのが屋根の色。他には見られないマルーンに塗られたその姿は、一度見ただけで強烈なインパクトを与えてくれます。
 そんな魅力あふれる浜中の運輸工業製自走客車の楽しさを、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まずはボディーに窓枠を半田付けする事から始めます。客室角窓の上辺と窓枠の上辺が合う位置で上下方向を決め、左右は均等になるようにセットして半田付けします。その後にドアーを半田付けします。
 テスリを半田付けして余分な部分をニッパーでカットしておきます。そのあと窓枠に突き当てるようにして車体アングルを半田付けしますが、左右方向はこのテスリの突き出た部分に当てるようにして位置決めをします。左右と真ん中の3か所でOKですが、迅速に作業するようにしましょう。あまりコテを長く当てていると、ボディーが熱で歪む場合がありますので。

 


2.次は前面の半田付けです。この前面を横から見ると逆Lの字になっていますが、ここが直角でない場合には指で修正します。それからボディーと合せてみて、隙間がないように歪みを直したり、場合によってはボディー側を少しヤスッてみたりしてから半田付けします。
 半田は裏側だけでなく、場合によっては写真のように表側からも流して、極力隙間が出ないようにしましょう。またヘッドライトケースの端部はボディーと組み合わせた時に垂直になっているかも確認しておきましょう。もしもロストの具合で垂直になっていないようでしたら、軽く平ヤスリを当てて修正しておきます。



3.この継ぎ目を平ヤスリやサンドペーパーで丁寧に仕上げたら、雨樋を半田付けします。この雨樋は外観図を見て頂くとお判りのように、両端部はヘの字に下がってます。プレスではこの両端部以外の所がどうしてもカーブしていますので、これをまず直線になるように指で軽くしごいて修正しておきます。それをボディーの肩の部分にエッチングで出たガイドラインの上側に乗せるようにして半田付けします。
 最後にベンチレーターを瞬間接着剤で止めます。



4.次は下まわりの工作です。床板の表裏に気を付けて付随台車のボルスターと床下機器を止めるボスを半田付けします。その後でスノウプロウを半田付けしますが、床板と接する部分は磨いておいた方が良く半田が流れるでしょう。
 燃料タンクは2ピース構造になっていますので、写真のように組み立てて半田付けしますが、給油口は少し上向きにしておくと良いでしょう。

 


5.床下機器取付板にはまずエンジンカバーを半田付けしますが、あらかじめ駆動軸を内側から差し込んで半田付けしておきましょう。エンジンカバーの取り付け自体は4辺にフラックスを流しておけば、取付板の裏側に出たボスの部分に多めに半田を付けたコテを当ててやるだけでジワーッと半田は流れていくでしょう。
 その他のパーツも半田付けをして、最後にホワイトメタルのバッテリー箱を瞬間接着剤で止めます。出来上がった床下機器ユニットを1.4x2mmビス(小頭)で床板に止め、ウエイトを1.4x4mmビスで止めます。

 


6.ギヤーボックスを組み立てます。まず側板に角型スペーサーを半田付けして(垂直になるように留意)、スペーサー板を挟みながら左右を歪みなく組み合わせます。この段階で動輪を組み込んで動輪押さえ板で仮止めして、動輪の軸箱が上下にガタが無いかをチェックします。もしもガタがある場合にはギヤーボックス下面を僅かにヤスって、ガタが無くなるようにします。但し、ヤスり過ぎには注意しましょう。軸箱に負荷が掛り動きが悪くなりますので。モーター軸の入る穴は左右に若干ヤスっておき、ウォームギヤーが入りやすいようにしておきましょう。
 付随台車(ネジ穴のある方)の軸穴には軸受メタルを半田付けしますが、メタルの先っぽにバリがある場合はヤスっておいて下さい。

 


第2回

1.塗装に掛かります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、床板から下はMWC-02 黒で塗り、好みにより若干のMWC-10 フラットベースを加えたMWC-09 クリヤーで艶を整え、MWC-17 ウェザリンググレーで軽く化粧しておきます。
 車体はプライマーを塗ってからMWC-03 クリームで全体を塗ります。
 作例では今後製品化される可能性のある、もう1両の運輸工業製自走客車はヘの字のストライプに仕上げるので、違いを出したくて東藻琴から移管されてきた当初の旧塗装に仕上げてみました。張り上げ屋根のような塗装も珍しくて面白いし(^^♪。
 写真のように説明書の外観図の上にプラ板を、その中心と前面の中心とが合うようにセロテープで止めます。次に定規を使って軽くカッターで塗り分け線をなぞっていきます。「金太郎」の部分はフリーハンドで良いでしょう。そうしたらマスキングテープをこれに貼って、いま付けたカッターの溝をなぞっていきます。余分な部分を剥がしたら金太郎姿のマスキングテープの出来上がりです。これを車体に貼り付けてMWC-15 赤で塗りますが、白いストライプの下辺は窓から2.3mmの位置になります。

 


2.これが乾いたら、屋根を幅18mm残してマスキングしたうえでMWC-04 マルーンを塗ります。前後方向の塗り分けはヘッドライトケースの直後です。
 新塗装の場合は、雨樋のすぐ上からと(雨樋自体はクリームです)、その雨樋の両端が下がった部分を起点として正面は外観図のようにMWC-04 マルーンを塗ります。いずれの場合もカプラーは取付板部分から先を黒く塗っておきます。
 車体が塗り上がったら、帯のディカールを水に浸して転写してから、マークソフターなどで密着させてやります。カッターで切り出す時には出来るだけ際で切るようにしましょう。帯の幅は1.5mmですから、転写する上下方向の位置は窓から0.8mm下がったところに帯の上辺が来るはずです。なお、ディカールの長さ20mmの直線は予備用です。
 Hゴム部分には黒を差しておき、運転室横の窓桟は銀色に塗ります。ワイパーは穴に差し込みエポキシ系接着剤で止めます。それにしても、こんなに短いワイパーでチャンと拭けたのでしょうか(^^ゞ。
 この段階で好みでフラットベースを混ぜたクリヤーでオーバーコートしておき、更にMWC-17 ウェザリンググレーでお化粧をしておきます。
 ヘッドライトケースの内側はエナメル塗料の銀色に塗っておき、ライトリム&レンズをエポキシ系接着剤で止めてプラカラーのクリヤーを塗ります。テールライトは穴にケースを差し込み、さらにレンズを差し込んでエポキシ系接着剤で止め、プラカラーのクリヤーレッドで色を差しておきます。

 


第3回

1.さて、最終組立です。ギヤーボックスにアイドラーギヤーをプラシャフトで止め、バラシ図を見ながら1.4x3mmビスで集電ブラシと台車枠を止めますが、ギヤーボックスの動輪軸箱が入るUの字型の部分の塗装は剥がしておきましょう。また、集電ブラシの向きは間違えないように注意しましょう。



2.モーターの軸受にはオイルを差しておき、軸の先端に僅かなゼリー状瞬間接着剤を塗って固定します。ゼリー状を使う理由は、普通の瞬間接着剤よりも僅かに硬化時間が長いためで、差し込んでいる間に硬化せずに作業が出来るからです。またその先には同様にしてウォームギヤーを固定します。
 ギヤーボックスにはクランク状のボルスターを段付きビスで止めておき、モーターを1.4x2mm大頭ビスで仮止めしますが、マシマのラベルがボルスターと反対側になるように留意しましょう。動輪を組み込んでみてギヤーの噛み合わせが最適な位置を見つけてからこのビスを本止めします。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めます。
 配線コードは24cmありますので、まずそれを半分にカットして、更に35mmと85mmにカットします。短い方のコードを集電ブラシとモーターラグに半田付けします。

 


3.付随台車はバラシ図を見ながら1.4x3mmビスで組み立てますが、台車枠の軸受部分はφ1.1mmのドリルで揉んで塗装を剥がしておきましょう。
 動力台車のボルスターは1.4x2mm小頭ビスで床板に止め、コイルスプリングを挟んだセンターピンで付随台車を止めてから、長い方のコードで配線をします。

 


4.ボディーと床板を1.4x2mm大頭ビスで止めて出来上がりです!










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