キット組立講座

鶴居の泰和製自走客車




泰和車輌が昭和31年に製造した単端式気動車ですが、日車型単端とは大きくイメージが異なっているのは、昭和30年代製だからでしょうか。
 当社で発行した「簡易軌道写真帖」に詳細な図面が掲載されているので、寸法に間違いは無いと思うのですが、実際に模型製品として三次元の形になってみると、車体長が短くて丸っこいからでしょうか、ズングリとした感じがまた野暮ったくて、それが得も云えぬ魅力に感じられます(^v^)。
 今まで発売してきた釧路製などの新世代的なデザインとは一線を画する、旧態依然としたこの自走客車の魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず最初に側板の裏側に窓枠を半田付けしますが、左右の区別があるので注意して下さい。写真で見えている方が左サイドです。窓枠の下窓の下辺が側板の穴と合うようにセットします。
 その後にドアーも半田付けしますが、これも前後で微妙に異なりますので、間違わないようにしましょう。写真で見えている方が後ろ側のドアーです。このドアーは側板の下端合わせにセットします。
 後ろの妻板にも窓枠を半田付けしますが、これは窓枠の下窓の下辺が側板の穴から0.8mm程度上がるようにセットします。
 


2.次に上下止め板を半田付けしますが、上下方向はいま貼った窓枠板に突き当てるようにして、左サイドはドアー板にも突き当てる位置にセットします。右サイドはドアー板から1.5mm離れた位置にセットします。
 2ケ所のネジ穴の部分と中央部の3ケ所で半田付けすれば良いでしょう。



3.車体に前後妻板を半田付けします。まず前の妻板に関してですが、左右それぞれの下端合わせで半田付けして、屋根の部分に段差が出来たら、まず平ヤスリで大雑把に仕上げてから、目の粗いサンドペーパーでなだらかにして、最後に目の細かいサンドペーパーで継ぎ目が判らないように仕上げます。特に左サイドの継ぎ目には表側からも半田を盛るようにしてやり、仕上げると良いでしょう。
 後ろの妻板は側板の板厚が見える方向で組み合わせて、それから屋根部分を填め込んで半田付けします。ここの仕上げ方も同様ですが、特に屋根の肩の部分は表側から半田を盛って仕上げるようにしましょう。
 


4.ウィンドウシルを半田付けします。まず最初に一番長いものを左サイドのドアーの脇から半田付けして行き、最終的には右サイドのドアーの手前でカットして半田付けします。シルの裏側には半田メッキをしておくと作業がしやすいでしょう。カットして余ったシルは捨てないで下さい。
 次に後ろの妻板にもシルを半田付けしてから右サイド、最後に左サイドのドアーの後ろ部分を半田付けしますが、この一番短いシルは短かすぎますので、最初にカットして余ったシルを再利用します。写真のように余った部分はカットして、ツライチに仕上げておきます。

 


5.ここまで来たらドアー下の足掛け、後部カプラーやヘッドライトケース、ワイパーを半田付けしますが、ワイパーはランナーに付いた状態で折り曲げ加工をします。
 まずブレード部分を溝側を山折りにして、その後で下部の車体への取付部分は溝側を谷折りにします。折り曲げた部分には少量の半田を流して補強しておきます。



6.通風器を瞬間接着剤で止めて出来上がった上まわりです。通風器は後ろの丸くなってる部分に空気抜きの僅かな出っ張りがありますので、そこは事前にサンドペーパーで軽くこすって仕上げておきましょう。
 前面や屋根の継ぎ目は綺麗に仕上がっていますか?満足がいくまでペーパーで念入りに仕上げておきましょう。



第2回

1.床板は表裏ありますので(先端部がクランク状になって出ている側に部品を付けていきます)注意しながらボルスターと床下機器取付ボスを半田付けします。次にラジエターを床板の欠いた部分と合わせて半田付けしますが、垂直になるように留意します。
 次にエンジンケースのエッチングヌキパーツにハッチを半田付けしますが、これもウィンドウシルのように裏側を半田メッキしておくと良いでしょう。

 


2.床下機器取付板に左右のエンジンケースをコの字型に折り曲げて半田付けします。床下機器取付板に明いたスリットには大小があるので、左右の方向は間違わないでしょう。
 それから燃料タンクとバッテリー箱を半田付けしてからエアータンクを瞬間接着剤で止めます。この床下ユニットを床板に1.4x2mm(大頭)ビスで固定してみたのが写真ですが、この段階では固定はせずに塗装後に固定します。ウエイトを1.4x4mmビスで止めます。

 


3.ギヤーボックスを組み立てます。左右のギヤーフレームと角型スペーサーで箱状にしてから、上部のマクラバリを半田付けし、最後にモーターブラケットを半田付けしますが、くれぐれも歪まないように注意しましょう。
 付随台車枠(軸穴がドリル加工してある方)に軸受を半田付けして、配線以外の半田付け作業は完了ですが、動力側のボルスターは写真のように大きな方の穴の際まで丸くヤスって仕上げておいて下さい。

 




第3回

1.塗装に掛かります。総ての部品をMWC-53 MWプライマーで下塗りしてから、車体は初期塗装の場合はMWC-05 ライトグレーをサッと塗ってからMWC-04 マルーンで、中期&末期塗装の場合はMWC-11 ライトグリーンで塗り、下周りの部品はMWC-02 黒で塗ります。
 初期塗装の車体はそのあとマスキングをして白帯を塗りますが、その他の塗装の場合には前面が単純でないので少々ワザが必要になります。
 説明書の原寸図をコピーして、その上に0.3mmのエンビ板をセロハンテープで止め、白帯の下の辺に沿ってカッターで軽く切り溝を作ります。白帯の下の辺にするのは、帯のディカールを貼ったときに発色が良くなるからです。
 今度はそこにマスキングテープを貼って、その溝をなぞるようにカットします。それを車体に貼ってマスキングしていく訳です。そのマスキングが完了したらMWC-18 ディープグリーンを塗ります。



2.中期塗装の場合は屋根をMWC-05 ライトグレーに塗る必要があります。前後の位置はちょうどロストワックスを接いだ部分になりますが、側面は窓枠から1mmの位置が塗り分けラインになります。
 普通の考えでは窓枠から1mmの部分にマスキングテープの上辺をセットしますが、テープで窓枠が見えなくなってしまうので、これを正確にするのは至難の業です。
 そこで一計を講じたのが写真の方法で、一旦屋根側にガイド用マスキングテープを貼ります。その下辺に合うように本来のマスキングテープを貼って、ガイド用テープを剥がします。
 こうすればラインが斜めになったりせず正確に出す事が出来るでしょう。急がば回れです(^v^)。



3.塗り上がってディカールも貼り終えた中期&末期塗装です。ディカールは長短の「ヒゲ」と長い直線を使いますが、なるべく白帯の際で切り出すようにして下さい。長さ的には継ぎ目部分で各1mm程度余る感じですが、予備として短めの直線も用意されています。
 ヘッドライトケース、カプラーの取付金具から先の部分をプラカラーの黒で塗り、ワイパーとヘッドライトケースの内側を銀色で塗っておき、ドアーのHゴムにはプラカラーのグレーを塗っておきます。
 そのあと、フラットベースを僅かに加えたクリヤーでオーバーコートしてから、フラットベースを僅かに加えたMWC-17 ウェザリンググレーで化粧してやります。
 これが乾いたら、ヘッドライトにリムとレンズを、後部にはテールライトリムとレンズをエポキシ系で接着し、ヘッドライトにはプラカラーのクリヤーで、テールライトにはクリヤーレッドを差します。
 特にヘッドライトの方は一度では塗装面が収縮してしまいますので何度か塗ってやって下さい。表面張力で少しこんもりする感じがベストです。
 このあとプラ板から切り出した窓を貼っていきますが、別売のアクリル製窓ガラスを使用すると、正面の肉厚による凹みが軽減されて良いでしょう。ドアーの窓ガラスの内側には保護棒を接着します。





第4回

1.下まわりの組み立てです。まず、ギヤーボックスの動輪軸箱が入る部分をカッターで削いでおきます。
 配線コードは16cmありますので、これを半分にカットしてから、3.5cmと4.5cmにカットします。3.5cmの方は集電ブラシの小穴に差し込んで半田付け、4.5cmの方は付随台車のL字金具に半田付けしておきます。
 ギヤーボックスには小さい方のアイドラーギヤーや集電ブラシを組み込みながらアイドラー軸を差し込んでEリングで止めます。大きい方のアイドラーギヤーは単に軸を差してEリングで止めます。
 動輪を組み込んで押さえ板を1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。

 


2.組み上がった動力側台車にボルスターを段付きビスで止めて、これを床板に1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。
 それからギヤーボックスにモーターを1.4x2mm(大頭)ビスで止めますが、写真の向こう側を+にセットします。
 モーターの軸受部分にオイルを垂らしておき、ウォームギヤーの穴にゼリー状瞬間接着剤を少量塗ってモーター軸に押し込みますが、ウォームギヤーの歯のセンターがアイドラーギヤーのセンターと合うように留意して下さい。
 こちら側の2本の配線をモーターのー側に、向こう側の2本の配線を+側に半田付けして、床下機器ユニットを1.4x2mm(大頭)ビスで床板に止めます。

 


3.上まわりと下まわりとは1.4x2mm(大頭)ビスで止めての組み立て出来上がりです。



















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