キット組立講座

歌登の単端U




北海道簡易軌道シリーズの発売開始第一弾製品としてリリースされたのが1995年。それから17年の時を経て新設計で再登場した「歌登の単端」。
 そのスタイルは、まさにリアーエンジンのバスそのもので、砲弾型尾灯も当時の流行そのものです。
 この17年の間には様々な技術の進歩があり、ディテールもより細かいものになっていますので、以前の製品をお持ちのベテランの方でも御納得頂けるのではないでしょうか?
 そんな違いをこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回

1.まず、前側の妻板の加工を行いますが、前期塗装で仕上げる場合にはこの作業は不要です。後期塗装の場合には、カプラーの両脇に補助灯が装備されますので、それを取り付けるための穴を裏側の凹をガイドにφ0.6mmのドリルで開けます。
 側板と妻板とを組み合わせて半田付けしますが、妻板は鋳物ですので、もしも歪みがあるようでしたら現物合わせで指で修正しておきましょう。
 半田付けを終えたら肩や天井の部分のRをプレス部品に合わせるようにヤスって仕上げておきます。
 


2.窓枠を半田付けしますが、エッチングヌキの窓枠は前後に僅かに長いので、ピッタリと合うようにヤスって仕上げます。このエッチングヌキの下の長い角穴の部分には、アングル状の上下取付板を半田付けします。ネジ穴は前後に、しかも穴が二つ開いているアングルが後方に付きます。アングルの向きはバラシ図をよく見て、間違わないようにして下さい。
 次にウィンドウシルを半田付けしますが、シルの裏側は半田メッキをしておくと半田の流れが良いでしょう。また、前後共にシルは長めに出来ていますので、端から徐々に半田付けしていき、最後にコの字に折り曲げたとき、余計な部分はカットしておきます。
 

3.雨樋を半田付けしますが、その位置は上下方向は車体プレス部品とロストワックスの継ぎ目が雨樋の下面になるように、前後方向は前端がやはり車体プレス部品とロストワックスの継ぎ目になるようにします。
 このような部品の半田付けの場合は、まず前の位置決めをしたらそこでチョンと半田を流しておき、次に後部も同様にチョン付けをしてから中央部で半田付け。いま3か所で半田付けをした訳ですが、これで水平が出ている事が確認されたら、その3か所の真ん中、つまり次は5か所の位置に半田を流して、最後にサッと残りの部分にも半田を流してやると上手くいくでしょう。
 雨樋を半田付けしたら、後妻面のウィンドウシルの下に沿うように点検扉を半田付けします。左右の扉の間は僅かに空くようにして下さい。
 次にワイパーや点検扉のハンドルを半田付けしますが、いずれもφ0.4mmのドリルで穴を開け直しておきます。ついでにドアー脇のテスリ用穴もφ0.4mmドリルでさらっておくと良いでしょう。テスリは車体の塗装後に接着します。
 最後にテールライトが水平になっていないようでしたら、車体を工作台の上に置いて、木片を挟みながら軽く金槌で叩いて修正しておきましょう。
 


第2回

1.床板の付随台車用ボルスターを半田付けします。傾かないように注意しましょう。ネジ穴に半田が流れ込むのを恐れず、シッカリと半田は流しておきましょう。この段階でウエイトを1.4x4mmビスで止めておきます。


2.ギヤーボックスを組み立てます。まず側板に角型スペーサーを半田付けして(垂直になるように留意)、スペーサー板を挟みながら左右を歪みなく組み合わせます。この段階で動輪を組み込んで動輪押さえ板で仮止めして、動輪の軸箱が上下にガタが無いかをチェックします。もしもガタがある場合にはギヤーボックス下面を僅かにヤスって、ガタが無くなるようにします。但し、ヤスり過ぎには注意しましょう。軸箱に負荷が掛り動きが悪くなりますので。モーター軸の入る穴は左右に若干ヤスっておき、ウォームギヤーが入りやすいようにしておきましょう。

3.付随台車(ネジ穴のある方)の軸穴には軸受メタルを半田付けしますが、メタルの先っぽにバリがある場合はヤスっておいて下さい。
 これで半田付け作業はオシマイ。さあ、勢いに乗って塗装に掛かりましょう!


第3回

1.全体をMWC-53のMWプライマーで下塗りしたあと、床板から下はMWC-02ブラックで塗ってから、MWC-09クリヤーで艶を整えて、MWC-17ウェザリンググレーで軽くお化粧をしておきます。
 ボディーはMWC-03クリームを塗ってからマスキングをして、前期塗装はMWC-16ダークブルーを、後期塗装はMWC-15レッドを塗ります。
 そのマスキングについてですが、クリーム色の部分というのはウインドウシルを含めずにその上と、ウインドウシルの下側1.8mmなので、その部分をマスキングする事になります。
 Hゴム支持でない窓には面倒でも、窓の大きさにカットしたマスキングテープを1枚ずつ貼り込みます。正面の「ヒゲ」は説明書の図面の上にプラ板をセロテープで止めて、図面のRをなぞるようにカッターで軽く切れ込みを入れておき、マスキングテープを貼ってその切れ込みをカッターでなぞると希望するヒゲ型のマスキングテープが出来上がります。
 


2.ボディー色の次は屋根ですが、図面を見ながら境目にマスキングテープを貼ってから(雨樋の側面はクリーム色です)、前期塗装はMWC-08グリーンを、後期塗装はMWC-05グレーを塗ります。
 レタリングについて当初は「歌登村営軌道」だけで行く予定でしたが、或るお得意様から「歌登町営軌道」も欲しい!という声を頂き確かにそう、両方作ってみました。何事も云ってみるもんです(^O^)。前期塗装は村営、後期塗装は町営にすると良いでしょう。塗装済完成品もそのようにします。
 これはディカールですので、水に浸して転写してから、マークソフターなどで密着させてやります。
 カプラーは黒く塗っておき、テスリは銀色のまま接着してから内側に飛び出た部分をカット、Hゴム窓部分にはエナメル塗料のグレーを塗り(お客様の作品を見ると、板厚の部分を塗り残している方がいらっしゃいますが、これは間違い(^^ゞ。Hゴムですから板厚の部分もグレーに塗っておきます)、MWC-09クリヤーで全体の艶を整え、MWC-17ウェザリンググレーで軽くお化粧をしておきます。
 ワイパーと後期塗装の補助灯凹部、ヘッドライトケースの内側はエナメル塗料の銀色に塗っておき、ヘッドライトにはライトリム&レンズを接着します。
 補助灯の凹んだ部分には、エポキシ系接着剤を極く少量垂らしてレンズとします。ヘッドライトレンズにはプラカラーのクリヤーを塗っておくと良いでしょう。
 最後に窓ガラスをプラ板などから切り出して接着しますが、別売のアクリル製窓ガラスを使うと前後の表情が良くなるでしょう。なお、ドアー上の窓は内側から白く塗っておきます。
 

第4回

1.さて、最終組立です。ギヤーボックスにアイドラーギヤーをプラシャフトで止め、バラシ図を見ながら1.4x3mmビスで集電ブラシと台車枠を止めますが、ギヤーボックスの動輪軸箱が入るUの字型の部分の塗装は剥がしておきましょう。また、集電ブラシの向きは間違えないように注意しましょう。


2.モーターの軸受にはオイルを差しておき、軸の先端に僅かなゼリー状瞬間接着剤を塗って固定します。ゼリー状を使う理由は、普通の瞬間接着剤よりも僅かに硬化時間が長いためで、差し込んでいる間に硬化せずに作業が出来るからです。またその先には同様にしてウォームギヤーを固定します。
 ギヤーボックスにはクランク状のボルスターを段付きビスで止めておき、モーターを1.4x2mm大頭ビスで仮止めしますが、マシマのラベルがボルスターと反対側になるように留意しましょう。動輪を組み込んでみてギヤーの噛み合わせが最適な位置を見つけてからこのビスを本止めします。動輪押さえ板は1.4x2mm小頭ビスで止めます。
 配線コードは20cmありますので、まずそれを半分にカットして、更に35mmと65mmにカットします。短い方のコードを集電ブラシとモーターラグに半田付けします。
 

3.付随台車はバラシ図を見ながら1.4x3mmビスで組み立てますが、台車枠の軸受部分はφ1.1mmのドリルで揉んで塗装を剥がしておきましょう。
 動力台車のボルスターは1.4x2mm小頭ビスで床板に止め、コイルスプリングを挟んだセンターピンで付随台車を止めてから、長い方のコードで配線をします。
 

4.ボディーと床板を1.4mmx2mm大頭ビスで止めて出来上がりです!
 さて、ボクもこれから展開する簡易軌道シリーズ向けに、何かジオラマでも作ってやらなければいけませんネ(^O^)。貴方もこれを機に小さなものでも作ってみませんか?













*後期塗装で「町営」のレタリングを貼りましたが、村から町になったのは1962年で廃止が1970年ですから、村営軌道から町営軌道に移行したことは間違いありません。ただ、用途済みになって放置されてる1965年の写真(後期塗装)にはレタリングが入っていませんので、後期塗装の塗装済完成品を御希望の場合は「貼るか貼らないか」を選択頂けるように致します。特に御連絡のない場合は「町営のレタリングを貼る」ようにさせて頂きます。(2012.07.01)

この件に関しての御連絡はこちらへ。タイトルは「町営のレタリングに関して」として下さい。

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「歌登の単端U」製品の御案内

「MWカラー」の御案内


*説明の補足
この製品の前後妻板には大きなロストワックスをしております。これだけ大きいと鋳込むときの伸び縮みの誤差があるため、ある程度は上下方向に大きく作ってあります。実車では車体裾から僅かに妻面が出ておりますので、この誤差分を利用してそれを再現するのも良いでしょう。(2012.07.20)