キット組立講座

木曽のC型客車(1段下降式窓・2段上昇式窓)



C型客車というのは2軸の小型客車を示し、主に事業所の職員や視察に訪れた人々を運ぶ用途に使われていたようで、その可愛らしさからか他社からも製品化されていました。
 この製品の前に発売したC型客車No.5は、同じC型客車でありながらデッキ付きという特殊なスタイルをして、しかも座席はロングシートだったのですが、今回製品化したものは箱型で転換クロスシート、つまり背ずりの部分をバタンと倒すことによって座席の向きが逆転するタイプを備えています。
 当社の製品では、この転換クロスシートを模型的なカラクリで再現できないものかと考え、ユニークな方法でそれを実現。作って楽しい、走らせて可愛らしい、それに加え眺めても面白い三拍子揃った模型に仕立て上げることが出来ました。
 そんなところをこの組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まずエッチングヌキパーツの妻板と側板をランナーから丁寧に切り離します。妻板の写真で左半分は外側から見た外板と内板、右半分はそれらを内側から見た状態です。側板の写真でも上半分は外側から見た外板と内板、下半分はそれらを内側から見た状態です。つまり内板にもインテリアとしての木目表現がされていますので、これらを組み立てるときには勘違いをしないように注意して下さい。
 


2.これらを半田付けで組んでいきます。妻板の内外板は上下合わせで左右均等に段差が出来るように、側板の内外板は上合わせで(下には段差が出来るはずです)左右均等に段差が出来るようにします。妻板の外側上部には幕板も半田付けします。


3.妻板の窓下にはウィンドウシルを半田付けしてから、割ピンを使って雨樋を半田付けします。ウインドウシルは妻板の幅よりも長いので、左右均等に飛び出るようにします。なお、1段下降式の場合のウインドウシルは腰板の木目のすぐ上にくるようにして、窓との隙間が出来るようにします。ウインドウシルの半田付けには「半田メッキをする」方法を採ると綺麗に仕上がるでしょう。
 この「半田メッキ」とは、あらかじめウインドウシルにフラックスを塗って薄く半田を流しておき、これを妻板の該当部分に置いてフラックスを流し、ウインドウシルの上に半田ゴテを置いて「メッキしておいた」半田を溶かして半田付けをする方法です。そうすると、木目に半田が流れたりせずに綺麗に仕上がります。
 雨樋の上部は外側を向くようにセットして、下部は妻板の下面合わせになります。裏側に飛び出た割ピンはツライチでカットして仕上げておきましょう。
 ブレーキハンドルカバーのボスを穴に差し込んで半田付けしたら、段になったボスの先端部にハンドルを半田付けします。ロストワックスの半田付けには、薄く水で溶いた「ステンレス用フラックス」を使うと、半田が流れやすくなるでしょう。


4.側板にもまずウインドウシルを半田付けしてから、テスリとドアーハンドルを半田付けします。この場合のウインドウシルも左右に僅かに飛び出ていてOKです。テスリとドアーハンドルの裏側はツライチでカットしておき、平ヤスリで仕上げておきましょう。


5.妻板と側板とを組み合わせます。その組み合わせ方ですが、側板を見たときに妻板の外側の板の板厚が見えるように組み立てます。箱状にしたらH型の上下止め板を側板の下部の段差部分に合わせて半田付けします。この板はキッチリと入れられるように敢えて少し大きめになっていますので、現物合わせでヤスリながら組み合わせるようにして下さい。
 


6.次は椅子の組み立てです。ロストで出来た椅子本体の側面段差部分にエッチングヌキの飾りを半田付けします。但し、9個あるうちの6個には片側だけしか飾りは付けません。また、座面の下にある2個の突起は、2連になる内側の部分では削り取っておきます。出来あがった椅子本体を床板に半田付けして裏側をツライチに仕上げておきます。写真をよく見て、床板の表裏には注意して下さい。
 


7.背ずりの組み立てです。エッチングヌキの骨を写真のようにランナーから切り離して、背あてを半田付けします。背あてには凹スジがあるので、骨をその凹スジにはめるようになっています。
 これは後の話ですが、この背ずりは単体で塗装しますので、写真のように両面テープを巻いた割り箸などにランナーごと貼って塗装をしてから、不要なランナーを切り離すと塗装がしやすいでしょう。
 


8.屋根板にはまず雨樋を下面合わせで半田付けしてから屋根端板を半田付けします。端板を半田付けしたら、裏側の余分な半田を綺麗に仕上げておきます。妻板の上部の板厚は斜めにヤスッておき、屋根板を被せやすいように調整しておきましょう。屋根板を被せてみたら、妻板の雨樋の上方は現物合わせでカットしておきましょう。


第2回
1.側台枠の穴に軸受を差し込み半田付けします。この軸受があるために、ロスト部品で車軸を受けるのとは格段の違いで転がりが良くなっています。
 次に主台枠とエンドビームを組み合わせて半田付けします。エンドビームに小さな穴がある方が写真の上側になるように留意しましょう。この際にエンドビームの凹穴に主台枠のボスが差し込みにくいようでしたら、穴をφ0.6ドリルで軽くさらってやって下さい。片方のエンドビームにはブレーキテコを半田付けします。下まわりの組み立てはこれで完了です(^^ゞ。前後左右から眺めて歪みがないかを確認しておきます。なお、エアーホースの向きを修正するときには、ゆっくり焦らず折ってしまわないように注意しましょう。
 


2.さて塗装に掛かります。まずボディー全体を「MWC-03 上運営林署DL用クリーム」で、屋根を「MWC-02 王滝営林署DL用ブラック」で塗ります。ボディーは内側をマスキングテープで覆ったら「MWC-06 木曽の客車用レッド」で塗ります。そのあとブレーキハンドルを「MWC-01 王滝営林署DL用グリーン」で、テスリをプラカラーの「フラットイエロー」で塗り、別売の「アルプスモデル製インレタA」で表記を貼って、「MWC-10 フラットベース」を好みに応じて混ぜた「MWC-09 クリヤー」でオーバーコートしておきます。
 屋根板は雨樋と妻面を残してマスキング。ボディーと同じ色調にするために、一旦クリームを塗ってから赤を塗ります。
 




3.椅子は全体に「MWC-01 王滝営林署DL用グリーン」で塗り、背ずりと座面をプラカラーの「レッドブラウン」で塗ります。床はプラカラーの「フラットブラック」で塗っておきましょう。やはりこれも「MWC-10 フラットベース」を好みに応じて混ぜた「MWC-09 クリヤー」でオーバーコートしておきます。塗料が乾いたら背ずりを椅子の脚の小穴に差し込みますが、その向きは好みにセットして下さい。
 


4.作例では別売のKMC林鉄人形などを使って車内を楽しく演出してみました。折角インテリアが装備されているのですから、ぜひ皆さんもやってみて下さい。この車内の床板はボディー側の床板にゴム系接着剤で接着してから、プラ板などで切り出した窓ガラスを貼ります。
 


5.下まわりは車輪を組み込みながら1.4x2mmビスで組み上げ、ボディーに2x3mmビスで止めます。連結には別売の「朝顔カプラー用ピン」と「朝顔カプラー用リンク」をお求め下さい。出来あがったC型客車。いかがでしょうか?
 


6.このように屋根を外すと、車内の語らいが聞こえてくるようではないでしょうか?








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