キット組立講座

木曽のカブースV(Bタイプ)


今まで各種のカブースをリリースしてきましたが、このVは素材から見直して木の質感を重視した仕上げに拘ってみました。キャビン部分の材質は本物の木ですから、組み立て方法も従来の金属製とは異なります。そんな新生カブースの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。



第1回
1.まず板部品セットを裏返して、各々1ヶ所ずつあるランナーをカッターで切り離します。カットしたら丁寧に仕上げておき、ウィンドウシルを側板や妻板に接着します。接着剤は木工用瞬間接着剤を使用し、反ってシルが浮かないように重しをしておきます。それを「側板の板厚が見えない組み合わせ方で」組んでいきます。なお、シルのランナー部分は下側にセットした方が目立たなくて良いでしょう。
 


2.その組み合わせたもののひとつに床板と上枠を接着します。床板は妻板の下部の段差で上がった部分と下面がツライチになるように、上枠は側板の上端とツライチになるようにしますが、床板は上面にナットをシッカリ(周りを接着剤で盛るように)接着しておきましょう。そしてもう一方のものと組み合わせて箱状にします。
 


3.テスリが入る穴が接着剤で塞がっていたら0.4mmのドリルで軽く開け直しておきますが、あまり深くすると窓枠を突き破ってしまいますので、注意が必要です。テスリの先端部に木工用瞬間接着剤を軽く塗ってから差し込んで止めます。


4.塗装作業です。別売で当社製ラッカー「MWC-06 木曽の客車用レッド」をラッカーシンナーで極く薄く溶いて、染めるように筆で塗っていきます。質感を重視するためにも、いきなり濃い塗料を塗るのではなく、薄く溶いたものを何度も塗り重ねるようにします。最後に極く薄く溶いた黒を塗ると、板目に染み込んで良い感じになるでしょう。この程度かな?という色合いになったら、テスリを黄色く塗り、別売の「アルプスモデル製木曽用インレタA」を使って標記を転写します。写真のように竹串をナットにネジ込んで作業をすると、塗装しやすいでしょう。
 


5.デッキ板はプラカラーのレッドブラウンを薄く溶いて塗ってみました。写真のように竹串の平らな先端部に強力両面テープを貼って作業をすると、塗装しやすいでしょう。


6.屋根板は端面内側に端板を半田付けし、平ヤスリでツライチに仕上げます。さらに雨樋を裾部分で合わせて半田付けします。これを「MWC-02 王滝営林署DL用ブラック」で塗ってから、雨樋以外の屋根部分(端板は含みません)をマスキングして赤く塗ります。乾いたらマスキングテープを剥がして「MWC-10 フラットベース」を若干加えた「MWC-09 クリヤー」で艶を整えておきます。
 


第2回
1.まず、側台枠の穴に軸受を差し込み半田付けします。この軸受があるために、ロスト部品で車軸を受けるのとは格段の違いで転がりが良くなっています。


2.2個あるうちのエアーホースの付いたエンドビームにブレーキテコを半田付けして、ブレーキポストを半田付けしますが、その時にブレーキシャフトがブレーキテコの穴に入るようにします。もう一方のエンドビームにはデッキテスリを半田付けします。


3.主台枠とエンドビームとを組み合わせて半田付けしますが、凹穴に凸突起を差し込むようになっているので、位置決めは容易でしょう。差し込みにくい場合には、ボスを少しヤスッて下さい。こうして出来上がった台枠です。側台枠を組み合わせてみて、ブレーキハンドルが当たらないように曲げておきましょう。


第3回
1.下まわりの塗装に掛かります。台枠はネジ穴を利用して、ブレーキシューのように穴の無い部品は写真のように両面テープを使って竹串を利用して、これを発泡スチロール板に差しておき、串を手にとって塗装作業をします(写真では2両分一緒に塗ったので、ブレーキシューが4個写っていますが、実際には1両あたり2個入っています)。全体に「MWC-02 王滝営林署DL用ブラック」を塗ります。乾いたらブレーキポストとデッキテスリを黄色く塗りますが、はみ出したら専用シンナーで簡単に拭えるプラカラーを使うと良いでしょう。
 


2.窓ガラスは必要な大きさにカットされていますので、ランナーを切り離してゴム系接着剤で貼ります。但し、貼る手順は妻板の方を先に貼らないと、側板の方が貼りにくくなってしまいます。


3.屋根は割とギュッと入りますので、そのままでも大丈夫でしょうが、妻板の上部にエポキシ系接着剤を塗り接着します。下まわりにはブレーキシューをエポキシ系接着剤で止めておき、上まわりとは2mmビスで止めます。
 


4.最後にデッキ板を台枠にエポキシ系接着剤で止めて出来上がりです。台枠の中心にある穴は若干ガタがありますので、ビスは緩めておいた方がデッキ板は入りやすいでしょう。ここまで行った段階でウェザリングを施しましょう。窓ガラスも少しぐらい汚れていた方が実感的でしょうから(^^♪。








木曽のカブースV・キットインプレッション

小鹿 酒歩(木曾モジュール倶楽部)

色々なキットを作っていると、初心者の頃のドキドキ感を失ってしまうものです。それでも、時々、ワクワクするキットに出会える事があります。このキットがまさにそうでした。
 金属、それもロストワックス部品を多用したハイディテールな商品作りをしてきたモデルワーゲンが、まさかレーザーカットの製品を出すとは想像もしていませんでした。ディテールが凝っているというのは、車両重量もあるということで、クラブでガンガンと長編成で運転するには機関車の場合は大歓迎でも、重いトレーラーは敬遠してきました。完成した車両をニヤニヤしながら眺めるにはいいんですけどネ。そこにこれです。
 レーザーカットの部品の組み合わせも正確で、何の問題もなく組みあがります。上回りが楽な分、下回りの半田付け工作が楽しくなりました。このキットのポイントは塗装だと思います。

車両の現役時代を作ろうとする時、パテなどで隙間を埋めたり、表面の処理をしっかりしないと、毛羽立った感じになってしまいます。逆に木の特徴を生かした作りにすると、限りなく廃車体に近くなってしまいます。その辺のサジ加減が難しい所です。
 そこで極端な例で2両製作しました。どちらも車体の塗装は黒(ジャーマングレイなど)で墨入れをしてから、デッキタンなどを筆でドライブラシします。乾燥したら最後に車体色をドライブラシします。そのままだと新品状態で、スチールブラシなどで表面を荒らすと赤の塗料の下からデッキタンの色が出て風化した車体になります。
 羽目板を破ってみたり出来るのも、このような木製キットの楽しみです。下回りの木製運材の台車も、それに合わせた塗装が必要です。車体は性質の違う塗料(エナメル&水性など)を重ねるのがポイントです。切れ端で練習してから本番に臨むと失敗しません。


転がりが良く上回りが軽いので、走行はすこぶる安定しています。少々のレールのギャップもクリア出来ました。作って楽しく、走らせても楽しい、本当に久々にドキドキ感をくれたキットです。もりこーさま!是非シリーズ化をお願いします。











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