キット組立講座



木曽の酒井製モーターカーX(No.18)


以前「助六の酒井製5tDLコンテスト」「木曽のモーターカー改造コンテスト」の参加賞としてエッチング板を製造したことがありますが、正規の製品としてリリースされるのは初めてのNo.18。このときを待ち望んでいたファンも多いのではないでしょうか?例によって素材を吟味し、適材適所に使い分けをしましたので、持つ喜びを味わって頂けるものと確信しております。そんなモーターカーの魅力を、この組立講座から感じ取って頂ければ幸いです。


第1回
1.まず側板に前妻板キャブ後妻板、後部あおり戸を半田付けします。総て下面合わせです。前妻板を半田付けする前に、側板の前端に軽くヤスリをあてて、エッチングの段差を無くしておくと、あとでスッキリ仕上がるでしょう。また、後部あおり戸の下面は、タップ加工によるバリが多少ありますので、あらかじめ平らにヤスっておくと良いでしょう。


2.通風孔をエッチングヌキのランナーから切り離し、前妻板の凹部に半田付けしますが、あらかじめ通風孔の裏側には半田メッキをしておくと、綺麗に仕上がるでしょう。ワイパーや給油口を半田付けして最後にボンネットを半田付けします。


3.キャブ後妻板に窓枠を半田付けしてから(向かって右側の窓が手前になるように留意)荷台柱を半田付けしますが、この柱は若干長めに出来ています。現物合わせで下側をヤスって長さの調整して下さい。チョットきつ目に入る位の方が、半田付けは楽です。柱から屋根の後端は0.5mm位出る感じでOKです。
 


4.後妻板には後部ライトケースを半田付けしておきます。写真で赤く塗った部分は若干プレスによるめくれが出来ていますので、後部はヤットコで、前部と中央部は平ヤスリで丁寧に仕上げてやって下さい。その後で雨樋を半田付けします。
 


5.ドアーの周囲に縁板を半田付けしますが、最初に上下の板を、後から左右の板を半田付けします。テスリを半田付けしたら、裏面はツライチに仕上げておきましょう。上部のドアレールを半田付けしてからドアーを素早く半田付けしますが、その前に写真で赤く塗った部分は1.5mmほどヤスっておいて下さい。これで上まわりの完成です。
 




第2回
1.下まわりはまず台枠の組み立てからです。2枚の床板を貼り合わせますが、網目でない厚い方の床板の反りを指先で修正して、平らな板の上に置いたサンドペーパーの上で綺麗に仕上げます。また4辺も綺麗に仕上げておきましょう。特に長い辺はプレスで樽型に膨らんでいますので、平らになるようにヤスって仕上げておきます。そして2枚の床板を半田付けしますが、各々の辺の「余白」は均等になるように留意します。4枚の台枠の組み合わせ方は、コーナーを45度に仕上げて板厚が見えないようになります。従って各々の合わせ部分は45度以下にヤスって仕上げておきましょう。床板の段差部分に台枠を半田付けしていきますが、前後の台枠は上下の向きに注意しましょう。リベットの部分の幅が狭い方が上側です。また、側面の台枠の向きにも注意しましょう。小さな排気穴がある側は、モーター取付穴とは反対側にきます。最後にカプラーを半田付けしますが、取付ボスは短く仕上げておき、裏側に出ないようにしましょう。


2.箱状になった下まわりにウエイト座を半田付けしますが、チョットきつい感じですから、スッと入るように幅を仕上げて下さい。穴はモーター側に寄るように留意します。最後に下側ドアレールを半田付けします。


3.ギヤーフレームの組み立てです。まずフレームの反りを指先で丁寧に仕上げてから、平らな板の上でヤスリ掛けして、バリを仕上げておきます。それから角型スペーサーをフレームに垂直に半田付けして、歪みの無いように留意しつつハシゴ状に組み上げます。フレーム取付板をこれに半田付けしますが、落ち着いて歪みの無いように注意しましょう。これで半田付け作業は完了です。


第3回
1.塗装にかかります。上まわりはまず全体にスカ線用クリーム色を塗り、屋根部分をマスキングしてから京阪若草色に塗ります。雨樋の上面はクリーム色です。正面とドアー前の窓枠は白く塗り、ワイパーは塗装を剥がしておきましょう。車体裾にある細いストライプは塗装で塗り分けても良いですが、プラモショップで売っているクリヤーディカールを買ってきて、作ってもわけないでしょう。おおよその幅・長さにカットして下まわりの色(近鉄濃緑もしくは阪急マルーン)のラッカーを塗ればOKです(下まわりを塗るときに一緒に塗れば楽チンです)。これを0.8mm幅位にカットするだけですから簡単です。なお、後部あおり戸にはストライプはありません。
 


2.写真はそのディカールを水転写して貼り、ヘッドライトリム&レンズをエポキシ系で接着し、ドアーのHゴム部分にグレーを塗り、仕上げに「アルプスモデル製」の車体標記インレタを貼った状態です。屋根は「タミヤのウェザリングマスターCセット」のうち「アカサビ」を使ってチョット錆びが浮いた感じに仕上げてみました。ここまできたら全体をクリアーラッカーでオーバーコートして艶を整えます。荷台には黒く塗っておいた上げ底ウエイトをエポキシ系で接着しておきます。窓ガラスはプラ板などから切り出して貼り、レンズにはプラカラーのクリヤーを垂らしておきましょう。
 


3.ギヤーフレームは黒く塗っておき、動輪軸箱が入るUの字型部分の塗装をカッターで剥がしておきます。真ん中のアイドラーギヤーはプラ製のギヤー軸で、集電シュー+ワッシャ+フレーム+ギヤー+フレーム+ワッシャ+集電シュー+Eリングと組んでいきます。集電シューの突起は外側を向かせ、Eリングで止める前に、シュー廻り止めピンを下方に組み込んで下さい。他のアイドラーギヤーは金属製のギヤー軸を使ってEリングで止めます。小さなアイドラーギヤーは、金属製のギヤー軸を使いEリングで止めます。集電シューの上端部に、半分に切ったコードを半田付けします。写真のようにモーター側に少し傾けて半田付けすると落ち着きが良いでしょう。動輪の軸箱にはオイルを僅かに差しておき、ギヤーフレームに組み込みますが、集電シューは動輪の裏側を軽く擦っていますか?あまり強く当たらないように注意しましょう。動輪押さえ板は1.4x2mmビスで止めます。
 


4.ウォームギヤーの穴に軸アダプターを差し込んで瞬間接着剤で止めます。これをモーター軸にも瞬間止めしますが、ウォームの穴から1mmほど軸の先端が引っ込むように留意しましょう。ロスト製のアジャスターをモーターに1.4x2mmビスで止めます。


5.ウエイト座に黒く塗っておいたウエイトを1.4x4タップビスで止めて、隙間に瞬間接着剤を僅かに流し込んでおきます。モーターは床板に1.4x3mmビスで止めますが、モーターの+端子が左側にくるようにセットして下さい。左側の集電シューからのコードは左側の+端子に、右側のコードは右側のー端子に配線しますが、途中に抵抗を入れて配線しておいて下さい。上まわりとは1.4x3mmビス2本で止めて出来上がりです。


 










貴方だったら荷台に何を載せますか?作例では綺麗に塗った線路標識を載せて、老朽化してしまったものと取替えに行く光景を表現してみました。こんなことを楽しめるのも、荷台付きのモーターカーの楽しみのひとつですね。