キット組立講座


上松の凸型DLU(No.98&99)

オールリニューアルになった「上松の凸型DL」。5年ぶりにリリースされる本製品の魅力を、組立講座の視点で解説させて頂きます。


第1回
1.まず最初にラジエターと前部ボンネット、後部グリルと後部ボンネットを半田付けします。写真左から、98号機・99号機の前部・春秋仕様・盛夏仕様の後部です。99号機はラジエター左側に出ているテスリとテスリ座はヤスリ取っておいて下さい。また、春秋仕様の後部ボンネットの下端に出ている2ヶ所の爪はカットしておいて下さい。99号機の前部と春秋仕様の後部は上側で合わせて、下面はツライチに仕上げておきましょう。このようなロストワックスの半田付けには、ステンレス用フラックスを使うと、半田が流れやすいでしょう。98号機にはバックミラーが付きますので、ステイを2本半田付けしてからミラーを半田付けします。また、98号機には前後に票差しが付き、99号機の前にはSKWの銘板が付きます。これらは裏側に半田メッキをしておくと作業がし易いでしょう。





2.この部品は「厳冬仕様オプションパーツ」です。閉じた状態のボンネットとコンプレッサーカバーで構成されています。排気管の位置は98号機に準じていますので、99号機にするには穴を埋めて、新たに開け直す必要があります。また、キャブ妻板と組み合わせるときに、下端の2ヶ所の爪はカットしておいて下さい。コンプレッサーカバーを半田付けする前に、裏側の湯口は平らに仕上げておきましょう(そのままですと台枠と干渉しますので)。



3.写真のようにキャブ側板と妻板とを組み合わせてから、まず裾の部分に片方のステップをカットしておいた下側ドアレールを半田付けしてから縦雨樋を半田付け。縦雨樋は春秋仕様と盛夏仕様とでは違いますので、両方をいっぺんに組み立てる方は間違えないようにして下さい。下側は妻板の下端あたりの位置でカットしておいて下さい。そしてテスリを半田付けして裏側をツライチに仕上げておいたドアーを半田付け。この位置は任意ですから、盛夏仕様にする場合は開けた状態にするのが良いでしょう。次に横雨樋や屋根上のフックを半田付けします。
 


4.前後にヒサシを半田付けしてから、窓枠を半田付けします。98号機のヒサシには小さな標識灯が着きますが、湯口(大きな方のランナー)をピンセットで摘み、半田付けしたのちに、そこをカットして仕上げると作業がしやすいでしょう。ヘッドライトケース、タイフォンも半田付けしてから、最後に窓枠ステイを半田付けします。この部品は繊細ですので、取り扱いには注意して下さい(半田付けすれば、案外しっかりします)。これでキャブは完成です。もしも、窓を閉じた状態にしたい場合には、窓枠の凸型の出っ張りをヤスリ取って妻板に半田付けします。



第2回
1.上まわりの続きです。盛夏仕様には燃料タンク&バッテリーが付きます。後妻板のスリットに仮止めして後部ボンネットを被せてみます。タンクのコーナーが若干当たる感じがあると思うので、現物合わせでヤスッて後部ボンネットが水平に付くように仕上げます。



2.キャブとボンネットとを組み合わせます。その後に妻板にはボンネット枠(春秋仕様は前のみ、盛夏仕様は前後に)と排砂管を半田付けします。





3.下まわりに移って、ギヤーフレームを組みます。角型スペーサーをフレームに垂直に立てて半田付け。そしてもう一枚のフレームを組み合わせて箱状にします。くれぐれも歪みのないように注意しましょう。前後にはフレーム取付板を半田付けして、中央部にはシュー取付板を半田付けします。シュー取付板のネジ穴が2軸ある動輪の中央にくるように向きには留意しましょう。組みあがったらサンドペーパーの上で上面と下面とを平らに仕上げておきます。



4.98号機の側台枠は加工して頂く必要があります。裏側中央部に四角く出ている部分を、根元からカットして平らに仕上げて下さい。写真では加工していませんが、軸箱部裏側の2ヶ所の四角い出っ張りも、平らに削ってしまった方が良いでしょう。そののちに軸箱をはめ込んで半田付けします。98号機と99号機とは、軸箱が違いますので、両方を一緒に組まれる場合には、混ぜないように注意して下さい。
 


5.側台枠が出来上がったら箱状に組み上げます。写真の様にL字に組んで歪みが無いことを確認してから箱状にします。エンドビームに付いているエアーホースの後部は、側台枠の前後ステップの後ろ面の位置になっていますか?もしもそれよりも長いようでしたら、カットしておいて下さい。箱状になったら台枠上に前後デッキを半田付けします。上面は水平になっているか、も重要なチェックポイントです。あとは実際に上まわりを組み合わせてみて、春秋仕様の場合には後部ボンネットが収まるか、キャブは収まるか、などもチェックしておきます。そして凸型の下の出っ張りを平らに仕上げておいたコンプレッサーをデッキに半田付けしますが、コンプレッサー側を半田メッキしておくと、綺麗に半田付けできるでしょう。半田付けする位置の前後方向は、プーリの前側がデッキ前端から1.5mm下がったところ、左右方向はコンプレッサー基盤の内側がデッキの内側と揃う位置です。

 


6.エンジン上部にはエアーフィルターを側面にはマニフォールドを、前面にはファンを半田付けしますが、各々の部品は半田メッキをしておくと綺麗に仕上げられるでしょう。このエンジンを床板に後方から差し込み半田付けします。水平度には留意しましょう。



第3回
1.さあ、塗装作業に移ります。台枠は全体をマルーン(マッハ模型の「阪急マルーンNo.59」が一番近い色でしょう)に塗り、ギヤーボックスとウエイトは黒く塗ります。車体は98号機は全体を黒く塗ってから屋根をマスキングして、99号機は全体をグレーに塗ってから前後のボンネット上面をマスキングして、クリーム(マッハ模型の「スカ線クリームNo.17」が一番近いでしょう)を塗ります。

 


2.下側のドアレールから下と、そのライン上のボンネット下部分をマルーンに塗り、ラインディカールを水貼りします。春秋仕様はラインディカールの長さに殆ど余裕がありませんので御注意下さい。妻板に付けたボンネット枠の内側・排気管・ラジエターコア・ヘッドライトカバー・98号機のタイフォン・盛夏仕様の後部ボンネット内部を黒くプラカラーで塗ります。盛夏仕様の下側のドアレールの上(ドアーを閉じたときに隠れる部分)と後妻板の裏側を、プラカラーの淡緑色(作例ではタミヤのコックピット色XF-71を使用)で塗ります。98号機の4個ある標識灯のうち、後部2個の標識灯はマルーンに塗り、レンズ部分に赤色を差しておきます。ヘッドライトカバーの内側に銀色を塗ってから、リムとレンズをエポキシ系接着剤で接着します。98号機の前後の票差は白く塗っておきましょう。作例のように別売の「アルプスモデル製木曽森林インレタB」を使って、ナンバーを入れると良くなるでしょう。最後に別にクリーム色に塗っておいたラジエター保護棒をエポキシ系接着剤でボンネット正面に接着します。この状態でクリアーラッカーをオーバーコートして艶を整え、軽くウェザリングなどをします。写真はオーバーコート前で、各々左側が98号機春秋仕様、右側が99号機盛夏仕様です。オーバーコートを終えたら、ヘッドライトレンズにはプラカラーのクリアーを、標識灯にはクリアーレッドを差しておきます。





3.盛夏仕様には椅子が付きます。全体を淡緑色に塗っておき、座席と背当ての部分を黒く塗ります。別に塗っておいたカプラーをピンで下からエポキシ系接着剤で止めますが、エンドビームには5本のスリットがありますので、下から2番目のスリットに差して止めます。作例では別売の当社製「朝顔カプラーシステム」の「ピン」をカプラーに差してあります。

 


第4回
1.ギヤーボックス関係の組み立てです。まずモーター軸にウォームギヤーを打ち込みます。モーターの軸受とウォームとの隙間は2mmです。集電ブラシには配線コードを半田付けしますが、コードの先を剥いたら半田メッキしておき、先をLの字に曲げて写真のように半田付けして下さい。

 


2.ギヤーボックスの動輪が入るUの字型の部分の塗装をカッターなどで剥がして、動輪を入れた時に軽く回ることを確認しておきます。アイドラーギヤーを軸で止めてから、絶縁ワッシャを介して集電ブラシを1.4x2mm(小頭)ビスでギヤーボックスに止めます。コードは集電ブラシ取付板の切り欠きが無い方に出すようにセットします。この状態で動輪は軽く回りますか?ブラシを付ける前よりも渋くはなったでしょうが、ストレスなく回るようでしたらOKです。



3.床板にモーターを1.4x2mm(大頭)ビスで仮止めします。モーターのラグそばにある極性で+が進行方向右側になるようにセットして下さい。ギヤーボックスを床板に1.4x1.4mmビスで止めてみて、ギヤーの噛み合せが良いことを確認したら、ギヤーボックスを一旦外して、モーターをしっかり止めます。配線コードはモーターの前方にある小穴を通してモーターのラグに半田付けします。コードは写真のようにモーターに這わせましょう。



4.窓ガラスをプラ板などで切り出して貼り、上下はウエイトを介して1.4x6mmビスで止めて出来上がりです。盛夏仕様のドアーガラスは填め込んでクリアーボンドで止めると良いでしょう。