キット組立講座

木曽のホイットコムU
中標津/安曇木材のホイットコム


木曽のNo.1〜3を製品化した前回に続いて、今回は開放キャブが魅力的な原型、全く形が違う台枠の中標津、バックミラーやタイフォンなどが賑やかな安曇木材の3種類を加えて再登場。ここでは新しい3タイプを中心に、組み立ての流れを解説していきます。

第1回
1.まず、キャブから工作を始めます。6タイプの総てでディテールが違いますが、新しい3タイプの場合を解説致します。No.1〜3の場合は安曇木材の組み立てが参考になるでしょう。前後の妻板と側板とを組み合わせます。横から見た時に、前後の妻板の板厚が見える方向で組み合わせます。歪まないように充分注意して下さい。
 


2.原型と中標津には大型の前照灯が付きます。このライトはブラケット部分が別パーツになっていますので、首を上下に振らせることも可能です。Cの字型のブラケット先端部にヘッドライトケースのピンを差し込み、Cの字型の部分を軽く潰して止めます。キャブに屋根を半田付けしたら、ライト受を前妻板に当てるようにして屋根に半田付け、さらにその穴にブラケットを半田付けします。
 


3.組みあがった原型のキャブです。中標津は前妻板に直接ブラケットを半田付けします。
 


4.安曇木材のキャブの部品構成です。No.1〜3もほぼ同じですので、参考になるでしょう。前妻板には窓枠を半田付けし、後妻板にはまず窓枠を半田付けし、上のドアレールをエッチングで凸表現された一番上の線をガイドに半田付けしてからドアーを付けて、さらに下のレールを半田付けします。側板には窓枠を、ヒサシを斜めに半田付けして、テスリを付けたら裏側をツライチに仕上げておきます。


5.組みあがった安曇木材のキャブです。ヘッドライトやタイフォンも付いて賑やかになりました。
 


第2回
1.今度はボンネットの組み立てです。No.3だけは特徴的なスタイルをしているので解説をしておきます。まず、側板の段差になっている部分に上板を被せるようにして半田付けし、砂ハッチは外側から、排気管は内側から差し込み半田付けします。
 


2.他のタイプは大同小異ですので、安曇木材を参考に御覧頂きます。中標津と安曇木材にはラジエター保護板が付きますので、ランナーから切り離して凹部分を内側に折り曲げてからラジエターに半田付けします。バックミラーは凸鏡の表現をするために今までの製品とは逆の向きに半田付けするようにしてみました。軽く半田を盛って、紙ヤスリで凸形に成形して仕上げてみて下さい。出来上がったらキャブと組み合わせて半田付けします。もちろん下面合わせでピタリと合うと思います。
 


3.あらためて組みあがった上まわりを御覧ください。上から原型・中標津・安曇木材です。
 


 


 


第3回
1.さあ、下まわりの組み立てに移ります。中標津だけは台枠の形が違いますが、組み立ての考え方は同じです。まず、側枠とエンドビームを直角に留意しながらL字に半田付けし、これを組み合わせて四角にします。中標津の場合は側台枠とエンドビームの高さが同じですから迷わないのですが、その他のタイプは下面合わせになりますので、上には段差が出来るはずです。
 


 


2.床板を上から落とし込むようにして台枠に半田付けしますが、後ろ合わせで(中標津の台枠には前後がありませんが、その他は軸受からの距離が長い方が後ろです)前の方に隙間が出来るようにします。そしてNo.3以外にはステップを半田付けします。幅方向は台枠の外一杯の位置、前後方向は外観図を参考にして下さい。
 


3.いよいよ半田付け作業も大詰めです。ギヤーフレームはスペーサーを挟んで組み立てますが、極力歪まないようにしましょう。前後方向がありますので、裏表を間違えないようにして下さい。スペーサー側(つまり下側の面)は、平らなガラス板などの上に紙ヤスリを置いて、その上でヤスッてスペーサーがキラリと光るまで仕上げておきます。次に前後の取付板を半田付けしますが、中標津の後ろ側だけはニッパーなどで写真のように斜めにカットしておきます。ギヤーフレーム自体に前後方向がありますので、注意して下さい。上のほうに切り欠きがあるのが後ろ側です。つまり、組みあがった写真で右の方が前です。
 


4.ここで上まわりと組み合わせてみて感じを見ます。ここでホッとしないで、一気に塗装に突入しましょう。上の左から原型・中標津・安曇木材です。ウエイトは床板に1.4x4mmタップビスで止めますが、前方は1.5mmほど削っておいて下さい。
 




5.モーター軸にはウォームギヤーを少量の瞬間接着剤で止めますが、念のために軸受には一滴の油を差しておきましょう。こうすれば万が一接着剤が付着しても固まることはありません。ウォームと軸受との隙間は1mm程度空けておきます。


第4回
1.いよいよ塗装に入ります。安曇木材は架空のモノですので、お好みの色に塗って頂ければ良いのですが、作例ではマルーンに塗りました。原形と中標津は黒です。黒という色は一見簡単なようですが、一番難しいとも云えるでしょう。塗り分けも無く塗装作業自体は簡単なのですが、ただ単に黒く塗るだけですと、メリハリの無いベタな感じになってしまいます。そこで作例では、敢えて強目のウェザリングを施してみました。貴方もチャレンジしてみませんか?定石通りにプライマー・黒のラッカーを塗って完全に乾いたら、プラカラーのライトグレーを筆でラフに塗りつけていきます。その状態が上の写真です。これも完全に乾いたところで、プラカラー用シンナーを浸した木綿きれをピンセットで摘み拭っていきます。そうしますと、凹凸の隅の部分は拭きにくいので、そこだけグレーが残ります。インレタを貼る安曇木材は、そのあとで貼るようにしましょう。これをクリヤーラッカーでオーバーコートすると、落ち着きますので、心配しないで下さい。ライトケースの内側に銀色に塗ってからリムとレンズを接着し、レンズにはプラカラーのクリヤーを垂らしておきましょう。
 

 


2.ギヤーボックスは黒く塗ってから動輪を入れ、アイドラーギヤーをシャフトで止めますが、動輪の軸箱には少量の油を差し、アイドラーシャフトはゴム系接着剤で軽く止めておきます。動輪押さえ板は1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。一方、集電シューは中央から8mmずつのところにマジックなどで印をしておき、そこでカットしますが、その前に集電シューのラグ部分を直角に折り曲げて、半分の長さに切ったリード線を半田付けします。半田付けする際の向きには注意して下さい。
 


3.床板に集電シューをビス止めします。段付と段ナシのワッシャで挟んで1.4x2mm(小頭)ビスで止めます。リード線は床板の小穴を通しておきます。集電シューの折り曲げた所は、レールの方を向くようにセットしますが、動輪と接する部分は「ヘの字」に少し曲げておくと良いでしょう。次に1.4x2mm(大頭)ビスでモーターを仮止めします。マシマのシールが貼ってある方が、前に向くようにセットしたら、このシールは剥がしてしまいましょう。次に組みあがったギヤーボックスを1.4x1.3mmビス4本で床板に止めます。この時にウォームギヤーとの噛み合わせを見ながら、モーターを止めているビスを調整して、本締めをして下さい。モーターのラグ板は外側に折り曲げておき、そこにリード線を半田付けしますが、配線はクロスしない向きになります。
 


4.DCC用のデコーダー(当社扱い:Lenz製LE0511W・\3360)を搭載する場合は、写真のようにモーターの前方にカーペット用両面テープで止めて、説明書に従って配線をします。それにしても極小とはいえ、このような小型機関車にデコーダーが搭載できるのは嬉しいことです。前後方向にキャブが比較的大きいホイットコムならではないでしょうか。但し、ウエイトの後方は4mmほどカットする必要があります。また、別途購入になりますが、中標津用台枠を分売しております(1両分\2200)。これを利用すれば写真のように、雰囲気の違ったロコに仕上げることも可能です。但し、床板の後方は2.3mmカットする必要があります。上まわりと床板とは1.4x4mmビスで止めて出来あがりです。