もりこーの木曽路日記

平成24年3月11日

「寝覚めの床に120号機を見に行く」の巻


この「木曽路日記」も大変御無沙汰になってしまいましたが、先日、木曽の名勝地「寝覚ノ床」まで120号機の取材に行ってきました。
 120号機は皆さんも御存知の通りロータリーDLですが、夏はロータリーヘッドを外して普通のDLとしても使えるよう設計されています。
 実は将来の製品化に向けて設計中なのですが、いざ設計し始めると判らないところというものがたまに出てくるもので、雪解けのこの時期を待っていたのです。
 こうやって8tの99号機と並ぶと、とても5tDLとは思えない大きさですね!



 

木曽福島の老舗の蕎麦屋「くるまや」でまずは腹ごしらえ。実はこの「くるまや」には2軒あって、方や「本店」方や「元祖」(^^ゞ。
 国道沿いの元祖には以前寄って食べた事があるので(どうもボクの口には合いませんでした)、今回は本家の方へ。
 どちらも創業は享保年間というから徳川吉宗の時代。今から300年も前になるので、老舗中の老舗。ただ、どうやらお互いに仲が良くないらしく、恐らく根元の部分では同じだったものが、何らかの理由でふたつに分かれて、お互いが本家を名乗りあっているようです(^O^)。
 肝心の蕎麦ですが、今回もどうもボクには合わないというか、麺の表面がぬるぬるしてサッパリ感に欠ける感じ。つゆも味醂が強すぎて甘い感じなので、きりりと辛いつゆの江戸前蕎麦で育ったボクにはNG。蕎麦の道は実に深いものです!(^^)!

 

さて腹ごしらえもしたので、いざ取材へ!寝覚ノ床に行くのは、一緒に保存されている99号機の採寸に行った平成17年以来ですから7年ぶり。
 その時に120号機も採寸しておいたのですが、上にも書いたように判らない部分が出てきた訳です。
 ウチから2時間ほどの距離ですから、まあ気軽に行ける強みはあります(^_-)。

 

これらの写真は当社に御協力頂いている上松在住のNさんが撮られた当時の夏姿なのですが、排気管は屋根上のマフラーを外して普通のパイプになっています。
 あと、上松で入換機として活躍していた時代だからか、右側にはバックミラーも装着されています(ロータリーヘッド側が前ですから、このバックミラーは右側、という事になります)

 

ロータリーヘッドは現在、赤沢に保存されています。何故生き別れになってしまったのか経緯は知りませんが、何とか合体させて保存展示して欲しいものです。
 設計をしていて判らなかった問題点のひとつに、ロータリーヘッドとDLとはどのように固定されていたのか?があります。
 雪のない時に撮られた形式写真があれば一番なのですが、残されている写真はみな、勇壮な姿で雪を吹き飛ばしているものか(しかも決まって斜め正面から。だから雪で見たい部分が見れない・・・)、ヘッドを外して代わりにバランスウェイトを装着した夏姿かのどちらかです。

 

そして今回の取材。保存機の排気管は元のマフラー付きのものになっていますが、この排気管はパイプ煙突になっても別にとっておいたのでしょうか・・・。
 あと、Nさんの写真を見ていて疑問に感じたのが後部窓枠。開いた状態なのですが、左右でガラスの大きさが違う。
 まさかねえ、と思っていたのですが、確かに左右で窓の大きさが違う事が確認できました。

 

前側のエンドビームに3個取り付けられているのが、ロータリーヘッドを外した時にその重さに相当するようなバランスウェイトです。
 実はこの120号機はロータリーDLとは云うものの、ロータリーヘッドを装着した時には自走できず、他の機関車に押して貰う構造になっています。
 つまりエンジンで発生した動力を、走行用もしくは除雪用に切り替える部分があるんです。そのチェンジレバーはあとで出てくるキャブ内の写真に写っています。
 ロータリヘッドを装着したときの動力は、真ん中のバランスウェイトを外すと大きな穴があって、そこにヘッド側のギヤーを差し込んで噛ませるようになっています。
 そのヘッドとエンドビームの固定方法ですが、キャブの中からでは判らなかったので、台枠の下に潜り込み、ようやく理解できました。

 

対して後側のエンドビームはスッキリしています。ボンネットの先端部は全体がRではなく、三面鏡の端にRが付いているような感じです。
 ボンネットの上のハッチはこの大きなのがひとつで、見慣れた砂箱ハッチはありません。背の高いものは給油口です。

 

今回確認したかったもののひとつがこれ。バックミラーは本当に右側だけだったのか?という事です。この写真を見ても判るように、左右とも同じ位置に台座が残っていました。
 ということは、左側にもバックミラーがあった時期があった訳です。
 実は模型化する際には、ロータリーヘッドを装着して屋根上にマフラーを載せたスタイルと(この際にロータリーを回せるようにするか、その場合は代わりに自走出来ないようにするかどうか思案中)、ヘッドを外してバランスウェイトを装着したスタイルの2通りを考えているのですが、後者にはパイプ煙突とバックミラーを装着させても良いかな?とも考えています。

 

軸箱まわりは独特のスタイル。これも新規に作ってやらないとダメなようです。
 案外外観上で目を引くのがこのステップ。車幅よりも大きく張り出したステップは、とかく引っ掛けたりする場所なので、弱いエッチングヌキなどではダメで、ある程度強度のあるロストで表現するのが一番でしょう。

 

先輪ならぬ従輪は小さな穴が6個あいたφ350。模型化するとφ4.0になります。この部分もどうするか思案中ではあります(^O^)。
 普通のDLとはチョット違うキャブ内の感じ。左がヘッド側になります。これを再現するのは無理でしょうが、一応資料として撮っておきました。第一動輪への砂箱が見えますネ。



ということで、現在設計中の120号機。これで様々な不明点の確認ができたので、設計に弾みがつきそうです(^^♪。
 一家に一台、ならぬ「林鉄ファンの方に一両」は持っていて頂きたいロータリーDL。皆さまの御期待に沿えるよう努力致します!(^^)!