ナロー用カプラーの高さについて

今まで、ナローモデルにおいてカプラーの高さについて論じられたことなど、恐らくなかったのではないでしょうか?私のような模型の設計に携る人間は、いつもそのことを考えに入れて、図面を起こしているのですが、一般的なユーザーの皆さんは、HOナローに使われるKDカプラーはレール面から7mmの位置が取付面、という程度は御存知でも、あえてそれを低く設定してみよう、とかは考えたこともないのではないでしょうか?
 そこで、あらためて調べてみると、結構面白いことに気付かされます。
 実物のカプラーの高さ(レールからカプラー中心までの高さ)は鉄道ごとにバラバラなのが実情ですが、大別すると四つのグループに分けることが出来そうです。国内の主だったナロー鉄道を拾い出してまとめたのが下の表です。350mm前後のAグループ、400mmのBグループ、450〜530mmのCグループ、560〜610mmのDグループです。


沼尻頸城花巻尾小屋井笠仙北遠州草軽静鉄九十九里木曽運材簡易軌道自走客車
高さ(mm)350356457460501527530560610610345400〜450
HO(mm)4.04.15.35.35.86.16.16.47.07.04.04.6〜5.2
グループAACCCCCDDDA好みでBかC


うっかり簡易軌道のカプラー高を忘れていました。大まかに云うならば「戦前は280mmでしたが、戦後になって車体が大型化したために450mm以下に」改められました。鉄道ファン誌に連載された湯口徹氏著「レールバスものがたり」に使われている標茶線・藻琴線の自走客車の図面は450mmですが、当社の「簡易軌道写真帖」に使った釧路製作所の図面ですと400mmになっています。従って、自走客車(いわゆる気動車)は400〜450mmと考えて良いでしょう。
 これにより400mmという規格が登場しましたので、更に細分化してA〜Dの四つのグループに分けして、上記の説明文を修正させて頂きました。
 以前製品化した自走客車は、台車マウントのKDカプラー装着だったため叶いませんでしたが、今の目から見ると、写真のように(浜中町営軌道)朝顔カプラーマウントが車体から大きく垂れ下がった本来のスタイルで製品化したいものです。(2005.02.04)           <撮影:平田邦彦>