*急峻な山岳地帯を縫うように敷設された大井川鉄道井川線には、落石防止や異常気象時の線路点検の ため運行されていたモーターカーがあった。10数年前に訪問した両国車両区の片隅に埃をかぶって留 置してあった姿を目にしたとき、小さい姿に魅了され「いつか摸型化したいものだ」とおぼろげに考 え、写真を撮った。 *その後、モデルワーゲンから頒布会で発売された木曽の岩崎製小型モーターカーNo.65がゲージは違 うが改軌すれば模型化できると考えストックしていた。 *今秋、偶然KMCの仲間から「奥さんが持っていたほうが役に立つかも」と頂いた井川線開通50周年 記念乗車券の中にモーターカーの写真が使用されており、裏面に主要諸元が記されていた。井川線車 両はナロー並みの特殊サイズのため、木曽で使われていた岩崎製モーターカーと共通規格のようで、 特に軸距離、車輪径はまったく同じ。全長・幅・高さなども近いことが判明。今回のコンテスト用の ネタにすることにした。 *前面のラジエターグリルが縦長だったので外枠を削り、真鍮板から切り出し、半田付けしてイメージ を変えた。 *屋根はキャンバス地ではないのでロスト表現してある巻き上げられた側面幌部分を切り取り、洋白板 で側面・ドアーなどを切り出し後部に半田付けした。 *改軌は真鍮パイプと洋白線を組み合わせて車軸を作り、車輪に付属していた車輪固定用のカラーを1 軸2個のところを4個付け、ワッシャ代わりにして車輪の横動を抑えている。ブレーキシューも幅を広 げて対応した。 *車内インテリアは製品に入っていたものをそのまま使った。諸元によると定員8名となっているので 恐らくもう1列3人掛けシートがもうひとつあるのだろうが、逆向きに接着した以外はそのままにし た。 *極小車輪に使えるギアがあれば動力化も挑戦してみたいところだが今回は見送った。 *木曽森林鉄道で終焉まで活躍したモーターカーNo.4は酒井製の大型で、正面窓のたれ目気味のユニ ークな表情と、前にはみ出したラジエターが特徴である。 *「木曽の酒井製モーターカーU」として発売されたキットを組んだもので、木曽モジュール倶楽部の 運転のため、デコーダーを搭載し、運転会で走行するため、HPや雑誌などで登場する機会も多い。 *改造は@後部給油口をNゲージの電車の信号煙管で作った。Aワイパーをエコー製に交換。Bレンツ 製LE0511デコーダー搭載。Cライト点灯準備作業として前後各ライトに細密パイプをつける。D今 回新たに前照灯のみ点灯可能とする。など。 *5月の王滝村運転会では、林鉄倶楽部所有の実物と初対面し、記念写真に納まったのが大きな思い出 である。DCCを搭載した2004年5月の王滝村の運転会以来、2回のJAM、りんてつフェスティバ ル、軽便鉄道模型祭に参加。さすがにギアが磨り減り空転しだしたため、ギア交換を行った。 *今後はドアに新キットは装備されているノブを追加、後部ライトの点灯化などの課題もあるが、塗装 も傷みが出ており、その修復も必要かと思われる。 *2000年に発売された木曽の酒井製モーターカー。初期製品は車輪径などを前製品と共通化したため 多少スケールと異なる部分があったが、12mmに改軌するには好都合。西野泰男さんがHPで発表さ れたのを真似て12mmの気動車用車軸に取替え、集電ブラシを広げるなどの改造を行った。塗装は私 の好みで大井川鉄道井川線風の色調で、製品のディカールを活用して、木曽の雰囲気も残してみた。 デジトラックスのDZ123デコーダーを搭載し、DCC化してスローにも対応。塗装の劣化もあり、今 後再塗装と点灯化をもくろんでいる。 |