木曽のモーターカー改造コンテスト入賞作品

ユニーク賞

天羽貴裕さんの作品*高所作業車



 



*題材:木曽の酒井製MC(初期型)、改造点:屋根上に探照灯およびバケットを設置。後妻面に昇降用
 梯子設置。左右窓に保護枠設置。全面窓に跳ね上げ式保護枠設置。ラジエター開口部のメッシュ化。

*「ものがたり」
 トンネル内、落石被い下などでは、冬季、湧水によるつららが形成される。つららの長さにより、背
 の低い5t機には支障なくとも運材貨車あるいは人員輸送客車に支障が発生することがある。本線で
 は10t機のつらら切りで対応できるが、支線には入線できない。そのため、冬季における安全確保
 を目的として高所作業車を機工課で作成した。また、トンネル、落石被い下のみならず、冬季、積雪
 により生じる樹木枝葉の垂下による支障の対応、また夏季には台風被害として同様な樹木折損による
 支障の対応などにも活躍している。なお、バケット作業中は転落防止のため安全帯を装着し、移動速
 度は10km以下とするなど受傷事故防止対策としての運用上の規則が定められ、労基署の特認を受
 けている。

*改造にあたり、トラックタイプの14号も候補に上がったが、作業場所までの人員輸送を考慮し、さ
 らには冬季作業の一時休息場所も確保できることから、ワゴン型のMCを改造するに至った。なお、
 外部からはわからないが、バケット装着にあたり、屋根の一部補強および社内にロールバー様のパイ
 プフレームが追加されている。

*前面窓に保護枠を装着するとワイパーの使用が制限されるため、最近では保護枠無しでの作業もしば
 しば行われているようだ。また、照明追加による電装強化は当初バッテリーの容量UPで対応してい
 たが、長時間作業時には不足気味であるため。現在は本田技研製小型発動発電機を搭載し、作業電源
 を確保している。この発電機は助手席後部車内に置かれており、排気は床下から外部へ導かれてい
 る。

*外部色は当初ダークグレー一色だったが、昨今、他省庁の作業車の例にみられるよう、塗色変更をし
 ている。建設省水防事務所、警察の救助工作車など他省庁の防災関係車輛を参考としたとの話を機工
 課で聞いた。








 


正直に申し上げて、最初に見たときに「汚いな〜」と思いましたが、それにも増して、実にユニークな発想がボクの琴線に触れてしまいました。今回、「酒井製モーターカーVとW」の発売直後だっただけに、これを題材とした作品が多数寄せられましたが、このような発想は予想だにしていませんでした。前回のV(というのも変ですが)を使いながら屋根上にテラスを設け、高所作業車に仕立ててしまう。しかもガラスはサファリパークの遊覧車のように防護柵で武装して。添えられた説明メモを読んでみて、なるほどと納得しましたが。ただ、もう少し丁寧に仕上げられていれば、特選間違い無しだったでしょう。