「鉄道記念館のホハ1」の巻


5月3日。次なる訪問先は笠岡の鉄道記念館です。
 ここは昨夏にも訪れたのですが、ウッカリ開館時間を勘違いしてしまい閉館後だったところ。今回は9時からの開館に合わせてお邪魔しました。
 館長さんの田中さんは井笠鉄道がまだ営業していた頃、この新山駅の駅長さんだった方で、むかし話などを色々と聞かせて頂きました。




 

取材のときには夜することがないので早寝早起き。普通では考えられないような6時半に起床して、7時から始まる朝食が待ちきれないようにレストランへ急行。笠岡の宿を8時に出発して行きがけに、井笠鉄道本社前の公園に保存されているホジ9の安否を確認したりしました。

 

 

展示室は旧新山駅舎の待合室だった所を利用していて、室内はまさに井笠グッズの宝庫。ボクがお邪魔していた3時間少しの間にも、数組の訪問客が見えていました(クルマを見たら、みな県外ナンバーでした)。
 館長さんにお聞きしたら、GW以外の普通の日曜日でも結構訪問客が居るそうで、遣り甲斐がありますね!と云ったらニコニコされていました(^^♪。



フェンスの中にはコッペル1号機・ホハ1・ホワフ1という、正に黄金トリオが保存展示されています。郵便ポストが邪魔ですが、まあしょうがないか・・・。
 ひとしきり採寸しては椅子に座ってひと休みしたりしたのですが、車輛のオーラというか、この椅子に座っていると妙に落ち着いた気分になれました。


 

まずはホハ1から。竣工図によるとホハ1〜2は同一の図面になっていますが、屋根の形状を改造したときにか、デッキ妻面やエンドビームの形状が違ってしまいました。
 ホハ1は御覧のように妻面やエンドビームは平らですが、ホハ2は共に弧を描いています。


 

ホハ1の車内からコッペルを見た光景は在りし日のよう。
 デッキにはハンドブレーキが立っていますが、ハンドルは丸型ではなくL字型のシンプルなもの。つまり井笠の客車は、デッキ妻板に半円形のブレーキハンドルカバーが付く、あのスタイルは存在しなかったということで、エンドビームにブレーキテコが見えるのは、オープンデッキタイプのみということになります。


 

台車は当社で模型化したホハ2など用と同一のものです。台車枠4個をつぶさに観察したのですが、中央の担いバネの段違いは左右サイドで逆で、総てハンドブレーキ側のコイルバネが上側になっていました。
 但し、現役当時の様々な客車(このタイプの台車を履く)の写真を観察すると、必ずしもこれが法則になっている訳では無いようで、まあ、云ってみればいいイイ加減だったようです(^^ゞ。
 今まで見てきたクイーンポスト(支柱が1本のものをキングポスト、2本のものをクイーンポストと云います)と比べると、1本の支柱で張力を支えなければいけない為か、このキングポストはシッカリした構造になっています。


 

窓2個分の所で仕切り板が設けられていて、そこは晩年に手荷物室だったところ。最盛期には有蓋貨車を併結して手荷物運搬用に供していたのですが、その量も減ったことからこのように改造されたそうです。
 コッペルのヘッドライトはもとホジに付いていたものだそうで、確かに少し大きい。しかし、クランクの位置を真下にセットするなどの配慮は嬉しいですね。